角灯と砂時計 

その手に持つのは、角灯(ランタン)か、砂時計か。
第9番アルカナ「隠者」の、その俗世を生きる知恵を、私にも。

#164 「どうしましたか?」への架け橋。ヘルプマーク・ヘルプカード

2016-09-11 08:17:04 | 素敵、なのか?
(東京都、ヘルプマーク・ポスター)



〈義足や人工関節を使用している方、内部障害や難病の方、または妊娠初期の方など、外見から分からなくても援助や配慮を必要としている方々が、周囲の方に配慮を必要としていることを知らせることで、援助を得やすくなるよう、作成したマークです〉
(東京都福祉保健局:ヘルプマーク
 →http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shougai/shougai_shisaku/helpmark.html

ここのところ、
「知らなかった」「知ってほしい」といったコメント付きで、
Twitter でリツイートされたり、Facebook でシェアされているのを見かけることが増えてきました。

何であれ、
知らないよりは知っている方が良いという意味で、
素敵なことです。

なのですが・・・ちょっとコチラを。

ヘルプマークPR動画


〈ヘルプマークは、外見からは分からなくても援助が必要な方が身につけるマークです〉

それを知っていたとして、

じゃあ目の前にそのマークを付けている人がいた時、
「あの・・・席、どうぞ」
と言い出せる人がどれほどいるのだろう、と思う。

人は、具体的に言ってもらわないと動けないものだからです。

目が見えないのか、耳が聞こえないのか、
あるいは知的障害があるのか、
ヘルプマークを見ただけでは、どうして良いのか判りません。

裏面に、何をしたら良いのか書けるようになっているとのことですが、
裏返してソレを見せてもらう、というものでもないでしょう。

ヘルプマークは、実は、ほんの「入口」です。

上手に使うためには、
身に付ける人にも、見つける人にも、
それなりの引き出しが必要になります。

例えば、こんなエピソードがあるんだそうで。


(東京都福祉保健課:ヘルプマーク紹介リーフレット
 →http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shougai/shougai_shisaku/helpmark.files/TOKYO_Helpmark_CCJMD6.pdf

・・・席を譲る(譲ってほしい)マークではないんですね。


よく似たものに(というか、先行する取り組み?)、
「ヘルプカード」というものがあります。



〈緊急連絡先や必要な支援内容などが記載された「ヘルプカード」は、障害のある方などが災害時や日常生活の中で困ったときに、周囲に自己の障害への理解や支援を求めるためのものです〉
(東京都福祉保健課:ヘルプカード
 →http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shougai/shougai_shisaku/card.html

基本、障碍者用で、
障碍の種類、援助の方法を具体的に書き添えることが前提となっているようです。

〈障害のある人には、自ら「困った」となかなか伝えられない人がいます。手助けが必要なのに、「コミュニケーションに障害があって、困ったことをなかなか伝えられない人」、「そもそも困っていることを自覚できない人」もします〉
(東京都保健福祉課:ヘルプカード紹介リーフレット
 →http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shougai/shougai_shisaku/card.files/leaflet1.pdf

から。


話は跳びますが(実は跳ばないのですが)、

この春「障害者差別解消法」というものが施行されました。
(内閣府:障害を理由とする差別の解消の推進
 →http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/sabekai.html

この法律は、
障害者に対する不当な差別的取扱いの禁止と、
合理的配慮の提供を求めるものです。

つまり、

〈障害のある人から、社会の中にあるバリアを取り除くために何らかの対応を必要としているとの意思が伝えられたときに、負担が重すぎない範囲で対応することを求めています〉

ということでして、
大切なのは「意思が伝えられたとき」「負担が重すぎない範囲で」というところなんです。


(内閣府:合理的配慮等具体例データ集(合理的配慮サーチ)
 →http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/jirei/index_general.html

法律なだけに、無茶は言ってませんね。

特に、どうして良いかわかりにくい知的障害者に対しては、
このような例があげらています。




察したり、配慮したりするのは素敵なことで、
日本人の美徳でもあるのだけれど、
それを当然のことのように要求し始めると、途端に息苦しくなります。

ヘルプマーク・ヘルプカードを身に付けている人は特別な人ではありません。
いつでも、どこにでも、当たり前にいます。

困っている人がいたら、
そして、困っていると言われたら(可能であるなら、言われなくても)、
「どうしましたか?」と聞きましょう。

マークを付ける人も、
ただ、マークを付けて「察してくれる」のを待つのではなく、
具体的に、どうしてほしいかを言ったら良いと思います。
(言えない人は、事前に書いておく)

ヘルプマーク・ヘルプカード、その他諸々同種のモノは、
あくまでも、きっかけであり、とっかかりであり、入り口です。

実際目にした時、自分に何ができるかを考えておきたいと思います。

・・・ ・・・ ・・・ ・・・

コチラは、東京都によるヘルプカードの広報用動画

終わりのほうで、

様々な障害を抱えている人が周りにいることをまずは知ってください

「どうしましたか?」
ヘルプカードが、ちょっと手助けが必要な人と
手助けをする人をつなぐ“架け橋”になってほしいと思います


と言ってます。
お時間あれば、どうそ。

ヘルプカードって知っていますか?(字幕あり)




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