(産経新聞6/3大阪6版より)
「国際組織犯罪防止条約への日本の加盟に向けた積極的な一歩だ」
ごもっともです。
ごもっともなんですが、
国連薬物犯罪事務所=United Nations Office on Drugs and Crime(UNODC)と言いますと?
というわけで、ちょいと調べてみました。
えー、
〈法の支配をさらに進めるために協調的な国際行動を強化することによってその役割は拡大し、権威ある報告を作成するための調査と分析を行い犯罪とテロリズム、薬物に関する国際条約を批准、実施する国家に対する技術援助を行い、これらの国際条約と整合した国内立法を発達させ、司法担当官の研修を実施している〉(*1)
ところだそうで、
約698名(2015年6月時点)(専門職・一般職の合計)
約50か所に各国事務所やプロジェクト・オフィス等が置かれている他,各地に地域統括事務所(注)が置かれています。
(注)東南アジア・大洋州地域事務所(タイ),南アジア地域事務所(インド),中央アジア地域事務所(ウズベキスタン),中東・北アフリカ地域事務所(エジプト),西・中部アフリカ地域事務所(セネガル),南アフリカ地域事務所(南アフリカ共和国),東アフリカ地域事務所(ケニア),中米・カリブ地域事務所(パナマ)(*2)
という、それなりな規模の組織です。
で、
冒頭の記事にある「声明」は、
産経新聞の記者が捻り出した類のものではなく、
国連薬物犯罪事務所のホームページでも公開されているものでした。(*3)
ここのところ、
「国連特別報告(者)」なるものが俄に注目されるようになって、
虎の威を借るだか、我田引水だか、アッチ方面の方々が大層持ち上げてらっしゃるわけですが、
何というのか、
昔、クマラスワミさんが「性奴隷」云々の報告書を出した時からそうなんですが、
仲いいよなあ、と思います。
ちょっと前には、ジョセフ・ケナタッチさんという大学教授(!)が、
「法律の広範な適用範囲によって、プライバシーに関する権利と表現の自由への過度の制限につながる可能性がある」
と宣ったそうで、
日本政府は当然抗議したわけですが(日本政府も変わりました!)、
民進党が懸命に擁護してます(民進党は変わりません?)。(*4)
ま、それが彼等の生きる術なので、そっとしておきまようか。
ちなみにフェドートフさん、
6/2に岸田さんと会談されたそうで、
その席でも、
〈日本が国際組織犯罪防止条約を早期に締結することは重要であり,日本の努力が成功することを期待する旨〉
と述べたんだそうです。(*5)
その辺の大学教授と一定規模の組織を束ねている実務家、
どちらの発言に重みを感じるかは、ま、人それぞれ勝手です。
勝手ではありますが、
マスメディアが同じことをして良いことにはなりませんわね。
*1)国際連合広報センター:基本情報 国連薬物犯罪事務所
→http://www.unic.or.jp/info/un/unsystem/other_bodies/unodc/
*2)外務省ホームページ:国際組織犯罪に対する国際社会と日本の取組 国連薬物・犯罪事務所
→http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/mayaku/unodc.html
*3)UNODCホームページ:EXECUTIVE DIRECTOR STATEMENT
→https://www.unodc.org/unodc/en/press/releases/2017/May/statement-of-unodc-executive-director--yury-fedotov--on-the-japanese-governments-progress-in-ratifying-the-un-convention-on-transnational-organized-crime.html
*4)民進党ホームページ:国連特別報告者ジョセフ・ケナタッチ氏の書簡と菅官房長官への反論(日本語訳)
→https://www.minshin.or.jp/article/111839
*5)外務省ホームページ:岸田外務大臣とフェドートフ国連薬物・犯罪事務所(UNODC)事務局長との会談
→http://www.mofa.go.jp/mofaj/fp/is_sc/page4_002978.html
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