角灯と砂時計 

その手に持つのは、角灯(ランタン)か、砂時計か。
第9番アルカナ「隠者」の、その俗世を生きる知恵を、私にも。

#175 豊橋日独協会 ドイツ無声映画祭『メトロポリス』 gooでした。

2016-11-27 06:55:08 | ぶらり図書館、映画館



先週の話ですが、


豊橋日独協会、創立25周年記念事業の一環として、
「ドイツ無声映画祭」というものがありました。

無声映画にしてSF映画の金字塔と言われている『メトロポリス』を、
活動弁士と無声映画音楽伴奏で鑑賞するという、
なかなかに素晴らしいイベントです。





(豊橋日独協会:ドイツ無声映画開催のご案内
 →http://www.jdg-toyohashi.com/event/4160


前説で3人も喋ったのには、いささか閉口しましたが、
ま、イベントの性格上、やむを得なかったかもしれません。

ともあれ、活弁・生演奏付きで観る映画は素敵でした。


実はこの映画、
かなり前にNHKBSでやったのをビデオ(!)に録画してあって、
何度か観たはずなのですが、

どういうわけか、毎度毎度途中で眠ってしまって、
観たような観てないような、自分的に、何とも中途半端な状態だったのです。


もちろん、今日的な感覚で言えば、
一つ一つのシーンがやけに長かったり、演技が濃すぎたりで、
その辺には、やはり時代を感じたりもするわけですが、

それを置いても、
幾度となく出て来る群衆の描き方は、まあ素直に凄いなあと思います。
金字塔たる所以ですね。

「その意味」を考えることなしに、
何者かに付き従い、流されるまま流れていく、

「その先」を考えることなしに、
何者かに先導され、たやすく破壊の暴徒と化してしまう、

社会批判というか、風刺というか、予言というか、
そんなものを含んでいると評されているわけです。


けれど、

1927年においてこれを撮った監督は素晴らしいよね、
という評価は、ひょっとすると現在に生きる者の傲慢な物言いで、

むしろ、人間なんて、そんなに進歩するものじゃないのね、
っていう方向で捕らえるのが正解かもしれない、

と、そんなことを、ふと思ったりもしました。


あ、それと、
「魔女だ!」となれば、
寄って集って縛り上げ火あぶりにしてしまう、

そういう描写が自然に出てくるところなどは、
やっぱりドイツだなあ、とも思います。



以下、
映画の序盤で語られるマリアのセリフ、というか字幕です。


Lobgesang des Einen
wurde Fluch der Andern

喜ぶのは1人だけ
他の人は苦痛ばかり


Gleiche Sprache sprechend,
verstanden die Menschen sich nicht...

同じ言葉を話しているのに
人間は分かり合えない



Einen Mittler brauchen
“HIRN und HAENDE”

頭脳と手には
仲介者が必要なの


MITTLER ZWISCHEN
“HIRN und HÄNDEN MUSS DAS HERZ SEIN!”

頭脳と手をつなぐものは
心でなくてはならない



でもって、
これは映画のラストに再び映し出されるのですが、
ここでも結びといたしましょう。


MITTLER ZWISCHEN
“HIRN und HÄNDEN MUSS DAS HERZ SEIN!”

頭脳と手をつなぐものは
心でなくてはならない




ENDE.

・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・

映画『メトロポリス』については、
こちらのリンクが詳しいです。

喫茶パラダイス・アーミー:映画 メトロポリス/ METROPOLIS / 1927/ Fritz Lang/
http://www.paradisearmy.com/opt/metropolis_01.html



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