角灯と砂時計 

その手に持つのは、角灯(ランタン)か、砂時計か。
第9番アルカナ「隠者」の、その俗世を生きる知恵を、私にも。

返言自在-9 朝日新聞の罪は海より深し

2016-01-06 06:30:31 | メディア論
〈会見場に居合わせた記者たちのキモチが、どんどん引いていくのが伝わってきました。

そこに充満した「朝日は、もうダメだ」という空気や、
先の選挙結果に見られる、朝日の思い通りに踊らない世論、
そういったものをこそ(要らぬお節介でしょうが)、
「朝日新聞となかまたち」は「重く受け止める」と良いですね。

自分たちがしてきたことの「重さ」が判るというものでしょう〉

(#009 「重く受け止める」→http://blog.goo.ne.jp/kawai_yoshinori/e/eec3dfd2d3aa445265486ac6fa88645b

2014年暮れの慰安婦報道に関する記者会見について、
そんな風に皮肉ってみたんだけれど、

さて、その後の朝日新聞は、
変わりない、というか元気(?)がない・・・

ところで、
この記者会見に先立って発表されていた、
「第三者委員会報告書」ですが、

今度の日韓合意でにわかにクローズアップされている、
「軍の関与」に関わるところだけ復習しておきましょう。

1992年1月11日、朝刊1面トップに「慰安所 軍関与示す資料」、「防衛庁図書館に旧日本軍の通達・日誌」、「部隊に設置指示」、「募集含め統制・監督」、「『民間任せ』政府見解揺らぐ」、「参謀長名で、次官印も」の見出しが付された記事が掲載された。
同記事は、中央大学教授の吉見義明氏が、防衛庁図書館所蔵の資料中から発見した通達類や陣中日誌に基づくもので、同記事の前文には、「日中戦争や太平洋戦争中、日本軍が慰安所の設置や、従軍慰安婦の募集を監督、統制していたことを示す通達類や陣中日誌が、防衛庁の防衛研究所図書館に所蔵されていることが十日、明らかになった。朝鮮人慰安婦について、日本政府はこれまで国会答弁の中で『民間業者が連れて歩いていた』として、国としての関与を認めてこなかった。昨年十二月には、朝鮮人元慰安婦らが日本政府に補償を求める訴訟を起こし、韓国政府も真相究明を要求している。国の関与を示す資料が防衛庁にあったことで、これまでの日本政府の見解は大きく揺らぐことになる。政府として新たな対応を迫られるとともに、宮沢首相の十六日からの訪韓でも深刻な課題を背負わされたことになる。」と記載する。「従軍慰安婦」の用語説明メモとして、「多くは朝鮮人女性」の見出しのもとに、「一九三〇年代、中国で日本軍兵士による強姦事件が多発したため、反日感情を抑えるのと性病を防ぐために慰安所を設けた。元軍人や軍医などの証言によると、開設当初から約八割が朝鮮人女性だったといわれる。太平洋戦争に入ると、主として朝鮮人女性を挺身(ていしん)隊の名で強制連行した。その人数は八万とも二十万ともいわれる」と記載する。(13ページ)

この記事に対しては、掲載のタイミングについての批判だけでなく、過去の朝日新聞における吉田証言の記事や、戦場に慰安婦が「連行」されていたという内容の記事等と相まって、韓国や日本国内において、慰安婦の強制連行に軍が関与していたのではないかというイメージを世論に植え付けたという趣旨の批判もある。しかし、記事には誤った事実が記載されておらず、記事自体に強制連行の事実が含まれているわけではないから、朝日新聞が本記事によって慰安婦の強制連行に軍が関与していたという報道をしたかのように評価するのは適切でない。
もっとも、本件記事の「従軍慰安婦」の用語説明メモに「主として朝鮮人女性を挺身隊の名で強制連行した。その人数は八万とも二十万ともいわれる」と記載されており、あたかも「挺身隊として『強制連行』された朝鮮人慰安婦の人数が8万人から20万人」であるかのように不正確な説明をしている点は、読者の誤解を招くものであった。(18〜19ページ)

(朝日新聞デジタル:第三者委員会報告書・全文
 →http://www.asahi.com/shimbun/3rd/2014122201.pdf


まあ、なんとも持って回った口振りというか隔靴掻痒というか、
「先生、はっきりして下さい!」って感じなんですが、

ともあれ、
「読者の誤解を招くものであった」とは言ってるわけです。
朝日新聞が(!)招いた誤解です。

すなわち、

まず日本国内に「軍の関与=強制連行」という誤解が広まって、
そこから世界中に「従軍慰安婦、20万人強制連行、性奴隷」なんていう、
トンデモナイ話が拡散してしまったんです。

故にこそ、
〈慰安婦問題は,当時の軍の関与の下に,多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題であり,かかる観点から,日本政府は責任を痛感している〉
という外務大臣の記者発表が、

不用意な英訳(らしい。正直、私には分かりません)、
The issue of comfort women, with an involvement of the Japanese military authorities at that time, was a grave affront to the honor and dignity of large numbers of women, and the Government of Japan is painfully aware of responsibilities from this perspective.
もあって、

日本政府が「強制連行・性奴隷を認めた」と、
またまた世界に誤って伝えられてしまった(らしい)んです。
(外務省:日韓外相会談→http://www.mofa.go.jp/mofaj/a_o/na/kr/page4_001667.html
(外務省:日韓外相会談・英語版→http://www.mofa.go.jp/a_o/na/kr/page4e_000365.html

(というか、外国メディアは初めからそのように伝える気でいたフシもある?)

何にせよ、朝日新聞の罪は海よりも深し。

あの日繰り返した「重く受け止める」が本気だったのなら、
今からでも遅くない。

「軍の関与≠強制連行であり、
 20万人の性奴隷など有り得ない、
 全て自分たちの不正確な記事が招いた誤解です、
 善良なるメディアの皆さん、真似しないで下さい」

その旨、
世界中の報道関係者に向けて、
英語で(!)発信してもらいたい。

「最終的かつ不可逆的に」誤解が払拭されるまで。

・・・ ・・・ ・・・ ・・・

長いし、今となっては正直どうでもイイのですが、
一応、例の記者会見の模様です。
慰安婦問題で朝日新聞社長が記者会見 2014-12-26


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