(丸の大きさがプラごみの排出量を示し,そのうち赤い部分が管理できていないプラごみの割合)
すかいらーくよ、お前もか! でございます。
(産経新聞8/18大阪6版)
〈年内に日本のファミレス「ガスト」で、客が自由に飲み物を取れるドリンクバーのストローを廃止し、20年までに日本、台湾の全店舗で使用を取りやめる〉
*Web産経ニュース:すかいらーく、プラスチック製ストロー廃止へ 国内外食大手では初
→https://www.sankei.com/economy/news/180816/ecn1808160026-n1.html
スターバックスがストロー止めても自分にはほとんど関係ないし、マクドナルドなら、そうね、年に1回シェイク飲みたいなと思った時どうするんだろうと考えるけれども、年に3回くらい(?)はお世話になるすかいらーく(ガスト)まで便乗するとは・・・
ということで、今更ながら「プラスチックごみによる海洋汚染」と「環境保護」のお話。
例によって「衝撃的な写真(あるいは動画)」で、世の中が動こうとしているわけだけれども、でもね、あえて突き放して言ってしまえば、クジラやカメが可哀想な目にあったとしても、短期的・直接的には、人間は困らないし、地球も困らない。長期的・間接的には「安心して食べられる魚介類が無くなる」という意味で確かに人間は困ります。けれどやっぱり地球は困らない。
ストローくらいなら、まあその不便さも受け入れられるし、対応もできるし、何より「いいカッコ」できるのかもしれないけれど、いや、ちょっと待って。じゃ、フォーク・スプーン、カップやそのフタはどうするの?
何かね、今は流行ゆえに「ストロー止めます」って言えば報道してもらえるし宣伝効果もあるけど、そのうち皆が飽きてきてニュースにもならなくなれば「お客様の要望が多いので」とかなんとか言い訳してストロー復活ってなりそうな気がしますよ。
あ、ワタクシ別に、それ自体悪いとは思いません。ストローだけ(!)がやり玉に上がってる現状のほうがオカシイんで。悪いのはストローだけ(!)じゃなくて、全てのプラスチックについて、焼却にしろ、リサイクルにしろ、きちんと管理・処理されてないこと、そのまま海に流れ出ていることが問題なわけですから。
冒頭の図もソコから拝借したのですが「プラスチックの海」というサイトがありました。「海のプラスチック汚染・問題について最新情報を発信する海洋ごみ情報サイト」だそうですが、あまり暑苦しくもなく、まあ、良心的だと思います。
*プラスチックの海
→https://marineplastic.net/
以下、ちょっと引用します。
2億7500万トン
これが世界中で年間に(2010年の時点で)生み出されたプラスチックごみの重さです.そのうち480万から1270万トン(中間値は800万トン)が海に入りこみ,海洋ごみになったと推定されています.
ワースト1位は,人口の最も多い中国でした.中国の沿岸域からは,年間推定882万トンのプラスチックごみが管理されずに排出されました(2010年の時点).これは世界の管理不行き届きプラスチックごみの27.7%に相当します(ほとんど1/4).
*プラスチックの海:海洋ごみ排出ワースト1位は中国,2位はインドネシア
→https://marineplastic.net/source/worst_ranking
直球ですね。もっとも「それ見たことか、これまた中国だよ」なんて涼しい顔もできないわけで、彼の国で処理しきれないプラスチックゴミの内、何割かは日本が輸出したものだということは忘れちゃいけません。
それはともかく、ここで言いたいのは、ストローだけ(!)止めたところで焼け石に水で、それ自体ほとんど効果はないってことです。
いや、もちろん「小さなことでもまずは出来ることから」「プラスチックの利用を控えましょう」という意識を喚起する、という意味はあるのだけれども、その象徴というか、やり玉にあがったストロー関係者はたまったもんじゃないだろうし、ちょっとお気の毒です。
こんなのもありました。
「プラ製ストローの廃止を始めたのは一部の外資系企業だけ。国内メーカーから『取引をやめたい』などの連絡はほとんど来ていない。今後も多くは来ないだろう」という。
今後は外資系企業を中心に、いったん紙製ストローに切り替えたものの、問題が生じてプラ製ストローに戻す企業が出てくる可能性もあるとしている。
国内の飲食事業者は今後、どんな対応を取るのだろうか。海外の流れに乗るのか、リサイクルに注力するのか、大きな変化はないのか――。今後の展開が注目される。
*ITmedia ビジネスオンライン:プラ製ストローは「日本では廃止されない」? 国内トップメーカーが主張する理由
→http://www.itmedia.co.jp/business/articles/1807/12/news127.html
先月段階での記事ですが、プラスチックストローの生産当事者に取材もしているし、微妙に変化球なところが良いなと思います。
こちらも先月段階の記事です。
そして読者もお気づきの通り、これはあくまできっかけに過ぎない。海洋を汚染しているプラスチックごみのうち、ストローなどはごく一部である。
燃料や薬品を入れる大きなプラスチックタンク、道具入れに使われるプラスチックケース、プラスチックシートといった別の種類のプラスチックにも、今後誰かが光を当て、それを減らす運動が求められるだろう。道のりはまだまだ遠いのだ。
まとめれば、ストローの廃止自体の影響は小さいかもしれないが、海洋汚染を減らしていくための戦略的な道筋の中では、実に大きく重要なニュースだったということである。
*DIAMOND ONLINE:スタバとマックの「プラ製ストロー全廃」は本当に環境に優しいか
→https://diamond.jp/articles/-/174706
「今週もナナメに考えた」と言うほどナナメだとは思いませんが、まあ、そうでしょう。
でもね、例えば「トルコの海岸に打ち上げられた難民少年の遺体」が、難民救済・受け入れの機運をわーっと盛り上げたのも、つい3年前のことですけど、ほとんどの人が忘れてますからね。
*(ほぼ)週刊 雑句場乱:#090 「写真一枚」の衝撃
→https://blog.goo.ne.jp/kawai_yoshinori/e/44d2d2abdc08829ba3b7ac136745235a
ストローが鼻に詰まったカメも、でもってストロー止めようって騒いだことも、じきに忘れらちゃうんじゃないかと思うよ。タバコのパッケージに義務付けられている警告なみに、あらゆるプラスチック製品に「被害写真」をつけて使用をためらわせるくらいにしないとね。
何故って? そりゃ、プラスチックは安価で便利だもの。
プラスチックストローに限らず(!)今そこにあるもの、使わないことよりも、きちんと使い切る(正しく捨てる)ことを考えようよ。です。
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