第一篇 本質
第一章 印象(仮象)
111)存在の本質 → 直接知の背後的実体 → 単なる反照 → 存在を否定した純粋本質
112)存在と本質の無差別 → 二者区別の恣意的限定 → 純粋本質の否定
113)恣意的限定の否定 → 存在の否定の否定 → 存在と本質の区別の再擁立 → 非本質的存在と本質的存在
114)本質の欠けた空無な非本質的存在 → 本質の他者 → 印象(仮象)Schein
115)印象の自己同等性による空無の否定 → 本質の否定の否定 → 無の自己同一な自立 → 本質としての反省
第二章 反省された限定
121)印象の空無の否定における自己自身の否定と否定する自己 → 運動としての反省 → 反省における存在と無の排他的統一 → 運動の成 → 無から存在への移行
122)反省における自己自身と自己の擁立 → 両者の統一における自己自身の廃棄と再擁立 → 運動における前提擁立 → 擁立する反省
123)自己からの自己自身の疎外と物体化 → 排他的自己関係の外化 → 自己自身と自己関係の分断 → 物体と自己の二者関係の推論化 → 外的反省 → カント式限定的判断力
124)擁立する反省と外的反省についての反省 → 外化した自己自身の復帰 → 物体の観念への置換 → 本質の限定 → 限定する反省 → カント式反省的判断力と異なる内的反省
125)本質の限定の空無な恣意の否定 → 再び本質の否定の否定 → 無の自己同一な自立 → 反省された限定 → 運動の各契機における各契機の自己限定
126)本質の廃棄された直接性 → 本質の絶対的否定性 → 無の純粋な自己同一 → 自己の自己自身との絶対的区別 → 単純な自己同等性の擁立 → 同一律
127)同一律における矛盾律の捨象 → 矛盾律における同一律の契機的包括
128)同一と区別の契機的反省 → 自己と自己自身の区別の反省 → 本来的区別としての差異「これ」
129)同一性と差異の対立 → 差異する自己自身の外化 → 外的な同一性と区別の擁立 → 同等性と不等性
12A)外的に反省された時空の場的差異「ここ」「その」 → 変化する物の二面
12B)相互に自己の無である同等性と不等性 → 対立における同等性による不等性の駆逐 → 積極者と受動者 → 数における正と負
12C)受動者を駆逐する積極者 → 自己自身を駆逐する自己 → 駆逐において自己となる自己自身 → 受動者の積極者化 → 変化における矛盾の掌握
12D)積極者と受動者の自己否定 → 矛盾対立に無関心な第三者の擁立 → 積極者と受動者、および二者関係の必然的姿の露呈 → 対立の根拠
12E)外的反省における対立の無限な懸隔 → 対立の単純消滅による矛盾の隠蔽 → 矛盾を維持した根拠における排他的統一
第三章 根拠
131)最終限定者としての根拠 → 自己原因としての本質 → 目的論的因果
132)本質の積極的根拠と受動的根拠の分裂限定 → 根拠づけ関係の外化 → 形式
133)形式と区別される根拠の同一 → 根拠づけ限定の前提 → 無限定存在 → 質料
134)形式と質料の無差別と相互前提 → 形式と質料の統一 → 内容
135)内容限定の外化 → 根拠づけ形式 → 根拠づけ形式の前提 → 根拠内容
136)根拠づけと根拠内容の無差別 → 単なる相互限定 → 同語反復 → 限定された根拠
137)根拠内容の他者 → 根拠内容と根拠づけ形式の区別 → 根拠づけ形式の外化 → 実在的根拠としての個物 → 本質と非本質の恣意的結合(外的反省)
138)個物における本質と非本質 → 本質的結合と非本質的結合 → 内的結合と外的結合 → 因果の必然と偶然 → 偶然を根拠とする詭弁
139)本質に内的結合する非本質 → 本質と個物を両端にする媒介的個物 → 原因と結果を結合する第三者的根拠 → 実在的根拠の根拠 → 限定された根拠の自己展開 → 完全な根拠
13A)根拠づけの前提 → 自己自身としての制約 → 無制約な根拠づけの内容の材料 → 本質と非本質が混成した個物 → 根拠を彼岸にして擁立された相対的制約者
13B)個物の根拠 → 制約を否定して自己を擁立する自由 → 無制約な根拠づけの内容 → 本質の形式 → 制約を前提にする相対的制約者
13C)相対的無制約者の全体 → 自己自身と自己 → 反省の脱自 → 限定存在の形式
13D)形式づけられた質料 → 制約と根拠の二面が相互移行する排他的統一 → 事(仕事) → 絶対的無制約者としての実存
13E)事の制約 → 存在領域にある内容と存在領域から外れた内容の統一 → 没形式な無の直接性の外化 → 印象として生成した本質
13F)事の根拠づけ → 自己自身を反省する自己形式 → 根拠づけによる根拠との自己区別
13G)根拠の廃棄による根拠づけへの直接性の転移 → 根拠づけと制約の合一 → 直接性の運動としての事自体 → 根拠の間接性の消滅 → 実存となった事
第二編 現象
第一章 実存
211)媒介の間接性が持ち込む恣意 → 概念の証明不能 → 推論の拒否 → カント式の無根拠な概念
212)媒介の間接性の廃棄 → 恣意の廃棄 → 実存の擁立 → 物体Ding
213)物体の非現実な可能性と物体の現実 → 個物の実存と実存する個物 → 物自体DingSichと実存の外面を擁立する反省 → 物体の自己同一な本質、および非本質な区別
214)乱立する物体の反省、およびそれらの物自体への集約 → 乱立する過去的契機としての自己自身、およびそれらの自己への集約 →非本質的実存と本質的実存
215)カント式物自体の無差異 → 無差異な物自体の多についての外的反省 → 物自体間の外面的な限定 → 物自体の無差異がもたらす自己限定
216)物自体と実存の外面の統一 → 物自体の特性 → 特性で自己限定する非カント式物自体
217)物体同士の交互作用 → 物自体と特性の再分裂 → 反省された物体の同一性と区別 → 物体性と物質(元素)
218)物自体の物体性と特性の二重限定 → 物体性と特性の区別の廃棄 → 物体における同一性と区別の排他的統一 → 此の物Diesesとしての物体
219)各種物質を吸着する穴としての此の物自体 → 此の物における各種物質の廃棄と擁立 → 非本質を含む実存 → 空虚を根底とした現象
第二章 現象
221)自己関係が擁立する直接的実存 → 自己関係が含む媒介的自他関係 → 自他関係の自己関係からの超出 → 超出した自他関係の否定 → 自己の実存復帰 → 自己の直接的実存と対立する現象
222)擁立された恣意の外面的形式 → 本質の区別への恣意的還元 → 物自体と現象の根拠関係の逆転 → 反省における本質と非本質の統一 → 現象の法則
223)実存世界 → 現象と法則の全体 → 現象の区別と同一性の全体 → 現象世界
224)現象の本質と内容 → 静的法則と動的法則 → 現象の部分と全体 → 本質法則と実存法則 → 本質と実存の外的結合
225)現象法則の他者 → 法則内容としての物体
226)物体の根拠づけと内容 → 物体の他者 → 物体法則 → 現象の自己反省への復帰
227)法則と現象の排他的統一 → 無限定の限定 → 動的法則
228)静的法則の動的法則への変化 → 現象世界の超感覚的世界への変化 → 本質世界による現象世界の廃棄、本質世界の現象世界への外化
229)本質世界と非本質世界 → 超感覚的世界と現象世界 → 互いの他者としての二世界 → 二世界の間の根拠関係の復活
22A)超感覚的世界を超出する現象世界 → 現象世界の全体としての超感覚的世界 → 超感覚的世界の現象世界への脱自 → 区別された二世界の統一
22B)統一世界における現象と本質 → 生成実存と消滅実存 → 物体と観念の本質的相関
第三章 本質的相関
231)本質的相関における実存と本質の相対的自立 → 両項の単純な排他的統一 → 矛盾対立の第三者的根拠の欠落 → 実体の欠落
232)実存と本質の相関 → 部分と全体の相関 → 両者の相対的自立の根拠 → 媒介的第三者における両者の排他的統一 → 発現する力
233)部分と全体の相互前提 → 全体と無関係な部分、または部分に無関係な全体 → 無思想な無限分割または無限凝集
234)限定量を媒介にした本質の抽出 → 自己本質の抽出手法としての微分法
234)全体としての力、その発現としての部分 → 発現した部分の力の全体への還帰
235)部分と全体の排他的統一にある個物 → 他者である物体を媒介にした力の発現 → 力の物質的仮象
236)即自存在における排他的統一の否定 → 直接統一の前提と制約の力としての分離 → 即自存在における内面的自力と外面的他力
237)内面的自力の自己否定 → 制約としての外面的他力 → 外面的他力の自己否定 → 内面的自力の自己否定の廃棄 → 内面的自力の自己反発にすぎない外面的他力 → 自己反発を発現する他力としての触媒
238)非本質な外面的存在形式、内面的反省の本質形式 → 相互前提する実存と本質の全体 → 絶対事への非排他的統一
239)外面の内化と内面の外化 → 始元存在式の排他的統一した直接的概念の否定
23A)存在の本質への外化 → 非体系的共通体としての本質の否定 → 絶対知としての精神
23B)内面と外面が単純同一の外的形式 → 内面と外面が反転する純粋形式 → 外的形式と純粋形式の統一 → 自己自身の存在を外面とした反省する自己の形式
23C)外面的存在と内面的反省 → 本質と実存の反転 → 外面における個物の本性の外化 → 外化による本質と実存の統一 → 個物の完全な外化 → 現実性Wicklichkeit
第三篇 現実性
第一章 絶対者
311)無限定な物自体に留まる絶対者 → 絶対者に対する恣意的限定の否定 → 内的反省としての絶対者の開示Auslegung
312)力の外面と内面の排他的相関の全体としての絶対者 → 生成消滅する印象にすぎない個々の有限者 → 絶対者の自己開示の終端
313)絶対者の絶対的同一性 → 限定一般に潜む一般的な無 → 属性(本質)としての相対的絶対者 → 印象を内容とする単なる様式
314)属性の限定から脱自する絶対者 → 形式と内容限定に無関心な全体 → 絶対者の外面として表出した様相 → 絶対者の反省の自己復帰
315)反省の運動として擁立された絶対者の同一性 → 内面と外面の一致 → 区別の消失した内容 → 絶対者による自己啓示 → 即自かつ対自存在の現実性
316)スピノザの無 → 実体の外に現れる無 → 存在を含まない無 → 脱自の欠落
317)スピノザの実体 → 存在の内に現れる無 → 脱自の欠落した思惟 → 物理特性
318)スピノザ哲学における人格性の欠落 → 外的悟性にすぎないスピノザにおける反省 → 認識と存在の深淵の放置 → 自己原因としての実体限定の独断化
319)思惟と延長の統一 → 反省された実体運動 → 実体の自己反省 → 様相
31A)スピノザの様相 → 反省に外的な実体 → 運動の延長への統一 → 属性と様相、すなわち本質と概念の消失 → 思惟の消失 → 属性と様相、延長と思惟における対立と脱自の運動把握の欠落
31B)ライブニッツ単子における自立した有限者 → 有限者の全体としての絶対者 → 単子の個別と全体の調停についての概念展開の欠落
第二章 現実性
321)力の内面と外面の形式的統一 → 自己自身の現実から外れる自己の可能 → 全体の現実を超える可能の積極面
322)全体の現実を超えられない可能の消極面 → 不可能で非現実な自己の可能 → 現実の自己自身を他者として廃棄する自己 → 可能の現実化
323)現実の自己自身と可能の統一 → 過去と未来の統一
324)最初の現実 → 可能を含む自己自身 → 現実と単なる可能の統一 → 形式的実存としての現在 → 偶然 → 内面と外面、可能と現実、反省と存在、対自存在と即自存在、意識と物体の反転点
325)可能と現実の自己同一 → 偶然な自己自身の廃棄 → 偶然を形式的必然とする自己の擁立
326)形式的必然における可能と現実の単純な統一 → 可能と現実に限定された内容 → 特性を持ち実存する実在的現実 → 可能な自己自身と現実の自己
327)実在的現実の即自存在 → 事物固有の限定的諸状況 → 実在的現実を限定する実在的可能 → 廃棄される実在的他者の即自存在 → 現実の無矛盾において破滅する実存 → 他者の即自存在から自己に復帰する現実
328)自己不一致において自己同一なだけの形式的可能 → 実在的現実における直接的実存を否定した実在的可能を否定する自己復帰の運動
329)自己不一致の現実を現実の自己同一にする実在的可能 → 実在的必然 → 可能と現実の否定的統一 → 他者に限定される実在的必然 → ただの自己同一
32A)自己自身に無関心で偶然な自己の現実 → 可能にも現実にもなる絶対的可能 → 自己自身が自己を限定する絶対的必然 → 可能と現実の積極的統一
32B)実在的必然の制限 → 自己自身に無関心な事物 → 自己否定に媒介された可能 → 絶対的必然における自己否定の否定 → 制限の消滅
32C)絶対的必然の単純な自己反省の直接性 → 純粋存在かつ純粋本質 → 自己自身が制約であり根拠である可能と現実の統一 → 盲目的偶然の絶対自由
32D)絶対的必然に対する存在と本質の没落 → 反省された存在と本質の相互逆転の全体
第三章 絶対的相関
331)自己と自己自身を媒介する絶対的相関 → 存在と反省を統一する絶対的媒介 → 可能と現実の統一した成 → 印象Scheinの存在と無の相互反転
332)反転する二者の無差異 → 前提される差異 → 反転に現れる存在と無 → 無の即自存在を成す偶有の可能性 → 可能性に与えられた必然の現実的存在
333)無限定で同一な実体 → 実体における生成消滅 → 生成した自己における前提 → 消滅した自己自身の擁立 → 変転で区別された偶有の印象 → 変転の偶有形式
334)変転における創造と破壊 → 実体による形式と内容の区別分割と統一 → 一方の全体化と他方の放逐 → 偶有の全体への埋没 → 力としての実体の啓示
335)実体の自己と自己自身 → 媒介的力と偶有 → 必然と偶然 → 対自態と即自態 → 自立しない実体と偶有 → 反省全体の成 → 相互対峙による二実体の擁立
336)反省する自己が擁立する区別された自己自身 → 反省された自己自身の本質化 → 本質の自己開示としての力 → 力として自己を啓示する自己自身
337)原因であり絶対者としての自己 → 原因の自己と結果の自己自身 → 結果による原因の顕示 → 因果相関
338)因果相関における自己復帰力 → 自立する根源的実体 → 自立がもたらす結果の必然 → 原因の媒介的自己廃棄と結果での現実化 → 結果における因果相関の消滅
339)因果と内容の対立 → 因果の偶然化 → 実在と偶有の因果相関 → 因果の必然との対立 → 結果が含む別原因と偶然との対立
33A)物体における無限連繋する外面的因果 → 反省された外面的因果の内面化 → 形式的因果の否定 → 基体の無い限定する因果 → 物体に外面的な強制力
33B)外面的強制力の物体への復帰 → 受動的実体の自己原因化 → 物体の反作用
33C)外面的強制力と受動的実体の交互作用 → 結果と原因 → 自己と自己自身 → 自己関係的因果
33D)因果の外面と内面の同一 → 自由な偶然としての必然 → 反省の外面と内面の同一 → 自己反省した印象としての概念
33E)同一と区別の概念 → 諸限定存在により擁立された全体者と自己同一な否定の自己反省 → 普遍と個別 → 両者の同一 → 擁立された限定存在において自己同一な自己反省 → 特殊
ヘーゲル大論理学 本質論 解題
1.存在論と本質論の対応
(1)質と本質
(2)量と現象
(3)度量と現実性
2.ヘーゲル本質論とマルクス商品論
3.使用価値と交換価値