夜、車で田舎道を走っていると、一角だけ光っている畑を
見ることがある。近づくとまるでテーマパークの
イルミネーションのような、何かイベントでも
やっているのかとはじめて見る人は勘違いするだろう。
光の正体は「電照菊」という菊を栽培している畑。
あまり知られてはいないが、沖縄での菊の生産、出荷量は全国2位。
ちなみに全国1位は愛知県である。
電照菊による栽培方法も昭和22年ごろ愛知県豊橋市で
開始されたそうだ。沖縄県で本格的に電照菊の栽培が広がったのは
本土復帰後の海洋博覧会以降から。
沖縄はキセツと呼ばれる本土へと出稼ぎに行く。
出稼ぎ場所は主に愛知県などの車の部品工場や大阪の
紡績工場だった時代があった。
出稼ぎに行った人たちが帰ってきたときに電照菊の栽培方法を
地元で伝え広がったとされている。
菊は光を照らすと花を形成する芽の成長を抑えられる
性質があるそうだ。その性質を利用して開花時期を調整し
計画的に出荷時期をコントロールする。
菊の需要はお盆やお彼岸など、沖縄では温暖な気候のおかげで、
特に彼岸にむけた2〜4月に出荷が集中しており3月に
限れば出荷量は全国一となっている。
旧暦の9月9日は重陽(ちょうよう)の節句。
最も大きい吉数の「9」が重なるこの日は、
たいそうめでたい日といわれている。
この日は盃に菊の葉を浮かべた「菊酒」を神仏に供えて
家族の健康や安全、繁栄を祈願する風習が沖縄にある。
沖縄では菊は古くから縁起の良い植物とされている。