大陸から高気圧が張り出してくると強い北風が吹く。
気圧が東へ押し出してくると、その境目を「気圧の谷」
という呼び方をする。この谷間のむこうはゆるやかな南風が吹く。
この差が大きければ大きいほど強い北風が吹く。
冬の北風は吹き始めると海は荒れてしばらく海に出られない。
今はいつでもリアルタイムで気象を知ることができるが、
昔は言い伝えやまわりの自然から読みとっていた。
オジィたちは「冬の朝、風が弱いとき、サバニ(船)の床が濡れているときは、
その日は東風ないし南風、乾いているときは北よりの風が吹く」という。
そして冬の南風のことを八重山、宮古では「鬼」とか「化け物」と
呼んで南風を恐れていた。気圧の差が大きければ大きいほど南風の後に
強い北風が吹くことを知っていた。
またこの南風のことを、年末、師走に吹く南風を「シワシーベー」または
「シーブパイ」とも呼ぶ。シーブとはお歳暮のこと。
八重山の離島ではこの風を利用して石垣島まで船でお歳暮を運んだそうだ。
また、八重山、宮古島ではこの風を利用して沖縄本島まで年末の貢物を
運んだと記録されている。
しかし、その南風の後に吹きつける北風のことも知っていた。
もう一つ、こんな言い伝えがある。
「北風と夫婦喧嘩は日は沈めば止む」という。
冬の南風はその後に強い北風が吹く。
気圧の差が大きければ大きいほど強い北風が吹く。