「本土では、床の間に刀を飾るが、沖縄では三線を飾る」
と言われている。
沖縄の人々は、昔から三線を大切にしてきた。
こんな話しがある。
時は明治、ある旧家で、事情があって、代々伝わる三線の
名器を手放すことになった。
商談が成立し、いよいよ客が三線を持ち帰るというだん
になったとき、旧家の主人は客にたずねた。
「ところで、その三線をどのように持ち帰るおつもりか」
「今日は大切な三線も一緒ですから、奮発して
人力車を呼んで帰ります」
「では、人力車が転覆し投げ出されたとしたら、
三線はどうしますか?」
「その時は、自分の身を守らなくてはなりませんから、
三線は放りだすかも知れません。」
「なんということを!あなたがこの三線より自分の命の
方が大事と考えているのならこの三線はゆずれません。
せっかくですが、この話しはなかったことに…」
と言って奪いとろうとした。
これには客も平謝り、三線を大事そうに胸に抱えて
歩いて帰ったという話しがある。
三線を習う人が増えているそうだ。
最初は手頃な安いものを買うというのが本土の考え方。
沖縄ではできる限り高価な良いものを買う。
その理由は「捨てることができないものだから。
また「値は音色」ともいう。