夏になると、着物を着た女性が日傘をさして、
もう片方の手には風呂敷に包んだお中元を
持って歩いてやってくるCMがよく流れていた。
それと同じような光景が子供の頃よくあった。
祖母が応対に出て「暑い中、ご苦労はんやったな。」と、
今でも覚えている。
玄関からひとつ奥に入った部屋には、まるで飾りのように
お中元が積まれていた。
お中元とは道教の中元が起源であるとか。
上半期にお世話になった方に気持ちの意味で渡す。
本土では7月上旬から15日に渡すもの。
ここ沖縄では旧盆の中日にわたす習慣がある。
仏壇を持たない分家の人が仏壇を持つ親族の家を
お中元を持って挨拶にまわる。
一軒だけでなく数軒ハシゴしてまわる習慣がある。
何軒かまわるのでお中元の品は高価なものではなく
1000円〜2000くらいのものが相場である。
品物も殺生をイメージする肉や生物はダメで香辛料もダメという。
沖縄のお中元の定番はお米、シーチキン、ソーメン、サラダ油…
各家庭の台所に常備されているものが多い。
若い頃はお中元やお歳暮など別世界の話しであったが、
いつの頃からかいただくことも増えて
また渡すことも増えてきた、
付き合いというものがなによりも苦手でこんな島暮らしを
しているのに、やはり一人で生きているわけではないのだ。