東平安名崎から1キロ先の東方海域に幅120mの水路をはさんで
東西約2キロ、南北1キロにわたる楕円状のサンゴの島がある。
「パナリ」と呼ばれる無人島である。
宮古島の古い文献に島内の御嶽の場所が書かれてあるものがあり、
この無人島のパナリにも御嶽があったと記されている。
陸上からはそれらしきものがないので、もしかすると海中にあるのかもしれない。
言い伝えによると昔、このパナリには女だけが住む村があったそうだ。
あるときティダ(神様)が天から降りてきて、一人の女と恋仲になった。
そして女の子と男の子が産まれる。
ティダは「男の子は私が天に連れて帰る。しばらくしたら迎えにくる。」
といって天に帰っていった。
それを聞いた母は、我が子を連れ去られたら困ると思い、なんとティダを毒殺することを
思いつく。子供達を子守りに預けて海にフグをとりにいった。
母を待つ間、泣いている子供達に「泣くな、泣くな、母は今、フグをとりに
海にいっている。フグをティダに食べさせるために行っている。」と
子守りが歌っていると、それを聞いたティダは驚いた。
「妻がそんなことをするはずがない。もう一度歌ってみなさい。」と命ずると、
やっぱり同じ歌を歌った。それを聞いたティダは激怒し大声をあげながら
かかとで大地を踏みつけた。
その途端大地が激しく揺れてパナリの村は海に沈没したという。
その瞬間に宮古島の反対側に海の底から島が浮き出た。
この浮き出た島が現在の来間島であると言い伝えられている。