下地島の通り池は、天然記念物であり、景勝地としても有名で貴重な文化財である。
隣接する二つの池は、大きく陥没した石灰岩の穴で、深く青い水をたたえている。
この二つの池は底の方で通じ、一方の池は洞窟状に海とつながっている。
通り池には津波にまつわる人魚伝説がある。
昔、下地島の漁師がユナイタマという人魚を釣った。
漁師はこれを村人にご馳走しようと思い、炭火をおこして網の上で焼く
ことにした。その晩のこと、隣の家の子が「伊良部島に行きたい」
といって泣き出した。こまった母親が泣きじゃくる子をあやしながら外に
出てみると、遠く沖の方から
「ユナイタマ、ユナイタマなぜ帰ってこないのだ。」
という声が聞こえてきた。
網の上にのせられているユナイタマは
「火であぶられているので動けない。すぐに津波をおこして迎えにきてくれ。」
と沖にいる仲間のユナイタマに助けを求めた。
真っ青になった母親は、子供をおぶって伊良部島へと走った。
母親が下地島を離れると、まもなく大津波が押しよせ、島はあっという間に海に
飲み込まれてしまった。この大津波で、漁師の家と隣の家が陥没して二つの池ができたと
伝えられている。また人家や畑が跡形もなく洗い流されたことで、下地島は
人の住めない島となった。
この通り池には他にも「継母伝説」ともう一つの「人魚伝説」が伝えられている。