パーントゥの里で知られる集落が「島尻集落」
1950年頃までは米どころとして有名で、わざわざ遠くから
島尻米を買いにくる人で賑わっていたという。
一面に水田が広がっていたそうだ。
その後本土復帰により収入のよいキビ栽培に転換し、現在は畜産業と
果樹栽培が行われている。集落の人口より牛の頭数の方が多い。
島尻港のすぐ近くに北方に突き出した小高い丘が島尻元島で
集落発祥の地と伝えられている。そこに最高神を祀るムトゥがあり、
パーントゥの仮面が収められている。
出入り口付近には戦前まで石積みのアーチ門があったそうだ。
今は全世帯が離れて屋敷跡だけが残されている。
近くには島尻のマングローブ林があり奥行き1キロの入江に
そって発達している。宮古諸島の中では最大希望のマングローブ群落で、
宮古を北限とするヒルギダマシを含め2科4種が確認されている。
河川のない宮古諸島で発達するマングローブ林は植物学上とても
珍しく貴重だといわれている。
パーントゥの祭事は旧暦の9月初めに行われる。
異様な仮面をつけたパーントゥ3体が全身に巻きつけた蔓草に泥をまとい集落を
練り歩きながら新築の家や出会った人に泥を塗りつけて厄払いをする。
上野村のパーントゥとともに2018年にユネスコ文化遺産に登録された。
普段は、牛の鳴き声がするだけの静かでのどかな集落である。