昼の1時にマークさんと警察署へ。昨日の女性係官は「あっ、そういえば書類はまだできてないなあ」という返事。僕一人なら「おい!昨日あんたは1時以降ならいつでも来てくれていいよっていってたろ!」と激昂するところですが、マークさんは非常に冷静で「あなたの連絡先を教えてください。私の連絡先も教えるので書類が出来上がるまで連絡をとりあいましょう。」ということで冷静に紳士的に女性係官との話を終え、僕には「この後は私が警察と連絡をとって、書類を受け取るので君は宿で待っていなさい」と言ってくれました。これは本当にありがたかったです。ありがたくお言葉に甘えることにしました。ガイアナは赤道近くの非常に暑い国で湿気も高く昼間はクーラー無しではとても耐えられないです。日本の東京の夏と同じような気候でしょうか。(大阪よりは暑さはましです。)昼間、冷房の無い宿で待つことは不可能なのでクーラーががんがんに効いているネットカフェでマークさんを待つことにしました。彼の事務所のすぐ下ですし。5時ごろマークさんが現れて、「今日は盗難証明書はできないみたいだ。明日には入手できると思う。その後は一緒にパスポートオフィスに行って出国用書類を手に入れに行く」ということを言いました。警察は相変わらず仕事が遅いですが、マークさんはかなり頼りになりそうです。ガイアナ出国への希望が見えてきた気分です。
次の日(8月8日水曜日)は一日中クーラーの効いたネットカフェで過ごしました。ここは普通のカフェでもあり、ノートPCを持ち込んでワイヤレスインターネットが出来るので、何時間いてもコーヒーの料金だけでネットができるのです。白人のナイスガイがオーナーで、ガイアナとは思えない洗練された空間で従業員もきちんとしていて、ガイアナ疲れを癒すには最適な場所です。(ガイアナは、何をするにもとても疲れます)夕方マークさんが現れて、盗難証明書をゲットしてくれていました。この日はもう時間が遅いので次の日にイミグレーションオフィス(パスポートオフィス)に行くことになりました。
そしてさらに次の日(8月9日木曜日)、たくさんの人がごったがえすパスポートオフィスへ。僕はただそこにいるだけで、警察との交渉は全てマークさんがやってくれました。しかし、3回くらいいろんな部署をたらい回しにされたあげく、「今日はその紙がないから明日来てくれ」という結論になりました。紙が無い、とはさすがガイアナ。この日はここで解散です。これらの日々での僕の時間のつぶし方は、ひたすらネットとゲームです。昼~夕方までネット屋がしまるまでねばり(主にスポーツニュースなどを読む)、夜は涼しくなった部屋で深夜まで延々とPCでゲーム(ウィザードリィ外伝4)をしていました。おかげで目と肩と腰が会社勤めをしていた時のように疲れて痛くなりました。ああ、目がかすむ。。
8月10日金曜日、ついにトラベルドキュメント(ガイアナ出国に当たってパスポートの代わりになるもの)をゲットできました。もしマークさんがいなかったら、と思うとぞっとするくらいこの日も大変でした。午前中にパスポートオフィスに行っても昨日応対してくれた人が捕まらずに延々と待ちぼうけです。ようやくその人が現れて、申請用紙を渡されて、記入して(書く項目に”Face”とか”Nose”とかあって笑いました。空欄で渡したら”Face”は”Normal”、”Nose”は”Straight”となって返ってきました)渡すと、昼の2時にまた来いと言われました。いったん戻って再度行くと、なんとパスポートオフィスは閉まっていて、前の庭にはたくさんの人がぼけーっと再開するのを待っていました。シエスタか何かですか、これは?このありえない状況にがっかりしていると、マークさんは僕一人を庭の椅子に座らせて、一人でオフィスの入り口に陣取ってオフィスが再開するのを待ってくれました。30分以上経った頃、警官がちょっと出入りするために一瞬ドアが開いた隙を狙ってマークさんはオフィス内に滑り込みました。うわー、やるなあ!そして待つことさらに1時間、ついにマークさんはトラベルドキュメントをゲットして戻ってきてくれました。事件から1週間、仕事の遅いガイアナ警察もついに必要な書類を全て作ってくれました。
トリニダードの日本大使館の人に書類を入手できたことを伝えて、いつそちらにいけばいいかを相談すると(この日は金曜だったので月曜日まで待った方がいいと思って)、土日でも問題ないのですぐに来てくれという返答でした。さすが、日本人!働きっぷりが違う!違いすぎる!航空券は日曜日の早朝(5時45分発)の便が入手できました。
8月11日土曜日、昼間は延々とネットカフェでウィキペディアの日本人サッカー選手の項を読み漁り時間を潰しました。夜10時に空港に着くように宿を出てミニバスで空港へ向かいました。ガイアナの空港は非常に小さくて中に店が全く無く、まるで真冬のようにクーラーが効いていました。真冬のように服を着込んでベンチで少し眠り2時45分のチェックインに向かいました。パスポートが無くてもトラベルドキュメントがあればOKみたいで、チェックインから荷物チェック、搭乗まで全てびっくりするくらいスムーズに行きました。飛行機はたった1時間のフライトであっさりとトリニダードに到着しました。
トリニダードの空港はガイアナのそれとは比べ物にならないくらい大きくて店が多くて、係官達も礼儀正しく洗練されており、ああ先進国に来たんだなあ、という印象を受けました。(とは言っても関空などに比べると10分の1程度の規模ですが)イミグレーションオフィスを通る時、出国は上手く言ったけど入国はどうだろう・・・と緊張しましたが、日本大使館の人からイミグレオフィスにきっちりと連絡がいっていたみたいで、スムーズに入国できました。しかも心配していたビザも1ヶ月もらえたので観光もできそうです。(当初、大使館の人からはビザが無いので2,3日しか滞在できないだろうといわれていたので心配していたのです)入国してホテルにチェックインした後、すぐに大使館に向かいました。日曜日なのに、出勤してくださって(僕のために出勤してくれたのか、毎週日曜日も出勤しているのかは、不明です)パスポートの発給も1時間かそこらですぐにしてくれました。速い!速すぎる!ガイアナとの仕事ぶりの違いに僕が同じ日本人であることの誇りを感じました。
ということで、盗難事件の後処理は無事終了したのでした。
今回の事件ではいろいろと勉強になりました。例え友人と二人で個室に泊まっていても油断をしてはいけない、ということ。ガイアナという日本大使館も無い訳の分からない辺鄙な国でパスポートを盗られても、周りの協力があり、辛抱強い対応をすればなんとかなる、ということ。やっぱり旅は周りの人の無償の親切で成り立っているということ。旅ではトラブルは突然やってくるということ。ネットとゲームのやりすぎは目と腰に悪いということ。。。
近況報告。最近はトリニダードの首都ポート・オブ・スペインでだらだら過ごしています。本当にひたすらだらだらしています。昼間はひたすら暑いし、一日2,3回はスコールが降るし、夜はひたすら治安が悪いし、なかなか過ごしにくいです。ある日などは1日中宿の部屋に篭ってゲームをしていた日なんかもありました。何をしているんだ、俺は・・・。しかし、ここはジョージタウンから来ると、普通に中規模の町で面白みも少ないです。規模的にいうとジョージタウンが僕の故郷の兵庫県姫路市の英賀保駅付近、ポート・オフ・スペインが飾磨駅付近(英賀保よりも幾分栄えている)、という感じでしょうか。つまりどちらも姫路市の中心地姫路駅近辺よりも遥かに小規模ということです。1日もあれば大体見て周れます。外出してデジカメを探すものの、まさかジョージタウンよりも値段が高いとは思いませんでした。日本から持ってきてタンザニアで盗られたのと同じモデルが8万円(ガイアナでは4万5千円、ラパスでは2万8千円)、クスコで2万7千円で買ったのと同じモデルが8万5千円(ガイアナでは6万円)。。。最低限納得できる性能のものを買おうと思ったら最低3万5千円は必要みたいです。こんなことなら、ガイアナで買っておけばよかった、と歯ぎしりしています。そんなこんなで、カメラが無いので観光しようという気がなかなかおきません。
今後のルートについて。ブラジルビザもイエローカードが無くなったし、泥棒事件で時間もお金も非常に消費してしまったので、南米はもう終了することにしました。ブラジルとエクアドル(ガラパゴス)には行く予定だったけど、あきらめます(ブラジルは北部のボアビスタのみ行きました)。さようなら南米。次はメキシコ辺りに飛んでカリブ海系の情報を収集してからキューバなどを攻めようかと思っています。そして北米に行き、9月末~10月頭に日本一時帰国の予定です。
先日ポート・オブ・スペインの旅行会社にメキシコ行きの飛行機を問い合わせたところ、9月の2週目までは全てフルらしいです。トリニダードから海外に飛ぶ飛行機は今全て満席になっているそうです。9月2週目っていうことは1ヶ月のビザぎりぎりになってしまうじゃないですか。それにここはそんなにたくさんすることはなさそうですし、途方に暮れました。チャンスがあるとすれば空港で寝泊りしながらキャンセル待ちをするしかなさそうです。(後でベネズエラのカラカス6行きだけは8月でもあるということが判明しましたが。)その上、先日のカリブ海横断ハリケーンの影響でトリニダードから北へ向かう便が全て欠航しているみたいです。さあ、どうしましょう・・・。