旅とエッセイ 胡蝶の夢

横浜在住。世界、50ヵ国以上は行った。最近は、日本の南の島々に興味がある。

大戦の犠牲者

2016年04月02日 19時44分01秒 | エッセイ
  大戦の犠牲者

 まず日本を見てみよう。
◇日露戦争(1894年7月~1895年3月)日本:1万3,800人。清国:3万5,000人(不明な点が多い。)
◇日露戦争(1904年2月~1905年9月)日本:11万5,600人。ロシア帝国:4万2,600人。(旅順の損害が大きい。)
◇第一次世界大戦(1914年7月~1918年11月)日本は80万人動員して死者300人(人的損害率0.2%)
◇日中戦争(1937年~1945年)計約45万人(終戦後の死亡5万4,000人を含む。)第二次大戦の死者と一部重複する。
◇第二次世界大戦(1939年9月~1945年9月)軍人230万人、市民80万人 計310万人。
関東軍は60万人がソ連によってシベリアに抑留され、内6万人が帰らなかった。

つぃでに戊辰戦争:計8,420人or13,562人(幕府方の死者数がはっきり分からない。)
西南戦争:政府軍 6,400人、西郷軍6,800人(兵器の劣る士族方の健闘が見える。)
ノモンハン事件 死傷計:日本軍約18,000人、ソビエト軍約25,000人
(近代兵器で日本軍がコテンパンにやられたという、従来の説は見直しが必要かもしれない。)
シベリア出兵:3~5千人死傷(10%を超える兵が性病にかかった。後の従軍慰安婦を考える契機となった。)

世界全体で見ると、
◇ 第一次世界大戦(1914年7月~1918年11月)
連合国側 死者数
ロシア 170万人
フランス 135万8,000人
イギリス 90万8,000人
イタリア 65万人
アメリカ 11万7,000人
ルーマニア 33万6,000人
セルビア  4万5,000人
その他  2万9,300人
小計 約514万3,000人
両陣営総合計 約852万9,000人
同盟国側 死者数
ドイツ 177万4,000人
オーストリア・ハンガリー 120万人
トルコ 32万5,000人
ブルガリア 8万8,000人
小計 約338万6,000人

◇第二次世界大戦(1939年9月~1945年9月)死者数
枢軸国側 軍人 市民 計
日本 230万人  80万人 310万人
ドイツ 422万人 267万人 689万人
オーストリア25万人 93万人(内ユダヤ系市民65万人)118万人
イタリア 30万人  13万人 43万人
その他 163万人 163万人
小計 約1,205万人
連合国側
ソ連 1,360万人 700万人 2,060万人
中国 350万人 971万人 1,321万人
ポーランド 12万人 591万人(内ユダヤ系市民270万人)603万人
ユーゴスラビア 50万人 121万人 171万人
フランス 20万人 40万人 60万人
イギリス 14万人 24万人 38万人
アメリカ 29万人 29万人
その他 78万人
小計 約4,360万人
総合計 約5,565万人


アジア・太平洋各国の民間人犠牲者(第二次大戦中の死者で正規・非正規兵を一部含む)
朝鮮  20万人
台湾 3万人
フィリピン 111万人
ベトナム 200万人(1944年末~45年にかけて北部で餓死)
ビルマ 15万人
マレーシア・シンガポール 10万人
インドネシア 400万人
インド 150万人
オーストリア 2万3,000人
ニュージーランド 1万2,000人
合計  912万5,000人

第二次大戦のソ連の死者が図抜けて多いことが分かるね。この2,000万人は控えめの数字で、多いものは3,000万人としている。またドイツの犠牲者は日本の2倍を超える。市民の死者は3倍を超える。独ソ戦がいかに悲惨な戦いであったかが分かる。中国の民間人犠牲者約1,000万人は主に日本軍の仕業だ。直接手を下さなくても、田畑を荒らし家を焼き灌漑設備を破壊して種もみを奪ったら、農民は飢える。
あと第一次大戦と第二次大戦に於ける戦死(病)者数を比較して欲しい。あれ、第二次大戦のイギリス兵の戦死者は意外なほど少ない。ヨーロッパだけでなく北アフリカ、大西洋、シンガポール、ビルマであれほど勇敢に戦い、商船の船乗りやパイロットの犠牲者も多いのに。20年前の第一次大戦の犠牲が、英仏にとってどれほど深刻なものだったか、何をおいてもドイツとの2度目の戦争を避けたかったかが推測される。大戦前と直後の英首相チェンバレンのヒットラーへの弱腰はこんな所から来ていたのかな。ドイツと再び戦い、例え勝ってもあれほどの若者の死は耐えられない、ということか。
アジア・太平洋に於ける民間人犠牲者の多くは日本に非がある。この中でインドネシアの400万人、これはいったい何があったんだろう。フィリピンではマニラ市街戦等、いくつもの島で米軍と激しい戦闘が行われた。111万はとてつもなく大きな犠牲だ。しかしその4倍400万人の死者は尋常ではない。知らなかったが、これは調べる必要があるな。

さて世界の他の戦争をざっと見てみよう。南北戦争:50万人近くが戦死している。スペイン内戦:処刑を含め、フランコ側10~15万人、市民軍側30~40万人。ソ芬戦争(別名、冬戦争。フィンランド対ソ連):この戦争については別に記すことにしよう。

◇朝鮮戦争:1950年6月~1953年7月
総数 軍人 民間人
韓国 約240万人 98万7,000人 143万人
北朝鮮 約292万人 92万6,000人 200万人
南北合計 約532万人(内死者350万人) 当時の人口3,500万人の内6人に1人が犠牲になった。
国連軍 約15万人 内14万人が米軍
中国 約90万人 18万3,000人 72万人

◇ベトナム戦争:1960年12月~1975年4月
総数 戦死者 行方不明者 民間人死者
南ベトナム側 約335万6,000 28万5,000人 149万人 158万1,000人
北ベトナム側 約478万1,000 117万7,000人 60万4,000人 300万人

しかし両大戦よりも短期間に多くの人命を奪った奴がいる。インフルエンザウィルスだ。1918~19年に大流行(バンデミック)したスペイン風邪は猛威をふるい、短期間に全世界で5億人が感染した。スペインが発祥地ではない。大戦中の報道管制の中で、スペインからの感染情報が多かったからこう呼ばれた。発祥地はアメリカのデトロイトとサウスカロライナ州付近である。
この時の大流行では医療関係者が真っ先に倒れた。当時人口5,500万人の日本では38万人(公式発表)又は48万人が死んだ。全世界では5,000万~1億人の命を奪った。ウィルスの突然変異は、ある意味戦争よりも恐ろしい。