旅とエッセイ 胡蝶の夢

横浜在住。世界、50ヵ国以上は行った。最近は、日本の南の島々に興味がある。

しょーもないペット

2015年11月23日 14時15分00秒 | エッセイ
しょーもないペット

 子供のころ、縁日のアセチレンランプに照らされた生き物に魅せられ、たちまち欲しくなったものだ。時に緑色とかに塗られたヒヨコ、クワガタ、カブト虫、ヤドカリ、ハムスター、ウサギそして亀。ミドリガメが縁日に出てきたのはずっと後になってからで、その前は銭亀の大小を売っていた。
 金魚すくいは定番だから必ずやるね。でも金魚すくいで採る金魚は弱くて大てい直ぐに死んでしまう。特に出目金はすくい易いが、弱くて滅多に育たない。だけど時々育つのがいて、そういう金魚はだいたいひれとかが派手ではないオーソドックスな体型だ。金魚というよりは色のついたフナといった魚体が多いのだが、2年ほど生きて大きくなったりする。
 メダカは繊細な生き物で、目を凝らしてやっと見えるほどの小メダカが生まれたりする。しかし金魚と一緒の水槽に入れておくと食われてしまう。メダカの一群がしだいに数を減らし、藻の陰に固まっていたりする。二匹の金魚の動きを四六時中見ているんだ。気づくのが遅かった。いやーかわいそうな事をした。さぞかし恐ろしかっただろうに。
 小さい時の思い出に、伊豆の清流で浅い川に入ってメダカを手ぬぐいで捕まえたことがあった。4-5匹捕まえビニール袋に川の水を入れ、車の中に吊るしておいたのだが、海水浴に行き車に戻ると水がぬるま湯になって、メダカは腹を上にして浮いていた。こんなことなら捕まえなければ良かった、と子供ながらに思ったものだ。
 金魚はだいたいいつも飼っていたが、ある時ドジョーを数匹買ってきて水槽に入れたら、水槽の水が黒く濁って何だか分からなくなった。そしてある朝、自分を起こしに来た母親がドジョーを踏みつけて悲鳴をあげた。夜のうちに水槽から飛び出していたんだ。ドジョーはキューと鳴いて絶命した。母親はよほどゾッとしたらしく、「もうドジョーは止めて。」と言うのでそれからドジョーを飼ったことはない。
 しかし水槽にはそれからも、ザリガニやらカマキリやらマリモやらオタマジャクシ、沢ガニと年中何かしら入っていた。そう、カマキリで思い出した。こいつは風呂で使うヘチマの切れ端のような卵を産んで死んだ。卵はそのまま放っておいたのだが、年を越して或る日、超小型カマキリが突然ワラワラと卵から出てきたのには驚きゾッとした。小さいのがワラワラワラっていやなもんだ。おまけに部屋の中だぜ。あっあっと言う間に四方に消えた。
 亀は生命力が強い。縁日で買った銭亀は数年育てて倍位に大きくなったが、飼育が面倒になり神社の亀池に放した。ミドリガメは最初は面白かったが、何しろ食べる姿に品がない。金魚水槽に突っ込んでおいたら、お気に入りの金魚(亀よりデカイ)を食い殺した。またどうやって乗り越えたのか水槽から脱走し、探したが見つからない。まあいいか、と諦めたら一週間ほど経ってベットの下からホコリにまみれて現れた。こいつカミツキガメの子供だったんだ。好きになれなかったペットだな。
 縁日で買ったヒヨコは何度試しても育たない。よくニワトリまで育てたという話しを聞いていたのだが。ヒヨコのピー子でも死んだらいやなものだ。そうそう近所の空き地で見つけた大きなウシガエルを二匹、これは大きすぎるので庭にブロックをして飼ったが、夜中に鳴いてうるさいということで空き地に戻した。自分は子供で早く寝るので、どんな声なのか分からなかった。
 今は何も飼っていない。そういえばサボテンとかも何度も買って何度も枯らした。親もよく買ってくれたな。本当に懲りない奴。最後に痛恨の思い出。ごめんなさい、アゲハ蝶。毛虫のくせにオレンジ色の角を出すアゲハの幼虫を捕まえ、大き目のジャムのビンにエサの葉っぱと一緒に入れておいた。そのままその事をケロッと忘れてしまった。取り散らかした部屋からそのビンが出てきた時、ビンの中に半分翅を開いたアゲハ蝶が死んでいたんだ。子供心に怖ろしいことをしてしまった、と悔やんだ。今でも思い出すと心がチクっと痛む。


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