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麻生太副総裁が公明党を「ガン」と批判するのは、アメリカ軍が海上保安庁を利用できないから

2023-09-27 | 小日向白朗学会 情報
 2023年9月25日、日刊ゲンダイに『麻生太郎副総裁が公明党を「がん」呼ばわりの大暴言! 自公関係は再び決裂か?』という記事が配信された。
『……
 自民党の麻生太郎副総裁がまた言いたい放題──。
  麻生氏が福岡で講演し、GDP比2%への防衛費倍増や反撃能力(敵基地攻撃能力)の保有を決めた岸田首相について「誠実そうに、リベラルそうに見える顔が世のなかに受けている」と“麻生節”で評価したと、24日、テレビ朝日が報じたのだが、驚いたのは発言の具体的な中身だ。
敵基地攻撃能力の保有を専守防衛に反するとしていた公明党に認めさせたというくだりで、こう言い放ったのだ。
 公明党の山口代表、石井幹事長、北側副代表の3人に加え、支持母体の創価学会の名前を出したうえで、「がん」呼ばわりしたのである。
 「麻生さんの公明ギライは公然の秘密みたいなものではありますが、名指しで『がん』とは、ちょっと放言が過ぎる。せっかく東京で、地に落ちた自公の関係を修復したばかりなのに……」(公明党関係者)
……』
 この記事に「敵基地攻撃能力」というキーワードがあることから、麻生太郎は、公明党の安全保障問題に対する対応を批判していることが読み取れる。これまで、すべて自由民主党の要求を丸呑みすることで政権の一翼を占めてきた公明党である。どこに、麻生太郎副総裁を激怒させるほどの問題があったのか。
 実は、重要な問題があるのだ。それは昨年末、自由民主党が立ち上げた「国力としての防衛力を総合的に考える有識者会議」を注意深く読み解く解くことで見えてくる。
 同有識者会議は「防衛三文書」を提言した会議である。
令和4(2022)年10月20日、同有識者会議は第二回を開催している。その中で海上保安庁は「空港・港湾における自衛隊の利用状況及び安全保障における海上保安庁の役割」とする資料を提出している。
『……
○海上保安庁は、現行法に基づき、尖閣領海警備等を適切に実施。武力紛争への発展を回避する観点からも、我が国安全保障において重要な役割を担う。
○新たな国家安全保障戦略の策定に併せて、海上保安体制をより一層強化するとともに、関係機関との連携強化を図ることが重要。
……』
具体的には次の二点を挙げている。
『……
・平成28年に関係閣僚会議で決定した「海上保安体制強化に関する方針」に基づき、巡視船・航空機の増強等の体制強化を推進
・自衛隊等の関係機関との連携を一層強化
・外国海上保安機関との連携・諸外国への能力向上支援を推進
……』
とある。同有識者会議で国交省が所管する海上保安庁を行政協定の定めに従い緊急時にはアメリカ軍の揮下に置かれていることを、言葉を選びながらではあるが認めている。
 次いで、令和4年11月9日、同有識者会議第三回で識者会議として論点を整理するために開催された。その会議で海上保安庁関係者として佐藤雄二元海上保安庁長官が「佐藤元海上保安庁長官提出資料」とする資料を提出している。
『……
2 海上保安庁の能力強化の必要性について
○ 我が国の基本的価値観の一つである「法の支配」、その担い手である海上保安庁は、戦後、海上法執行機関として創設され、海上で発生した様々な国際問題に対し、一貫して法に基づき冷静かつ適切に対処することにより、事態をエスカレートさせることなく、平和的に収めてきた歴史と実績(海上法執行機関の重要性と安全保障上の抑止力としての機能)
○ 現在も、尖閣諸島をはじめ、北方四島、日本海大和堆、竹島などの海域において日夜、外国の公船、調査船、漁船等と対峙。平時における「平和の盾」として、最前線で活動
……』
 直ぐにお気づきであろう。佐藤も「法の支配」を海上保安庁の能力強化を強化する根拠の一つにあげているのだ。
 ところで、このように資料を提出する佐藤の肩書が、前職となっている。有識者会議を開催したときに参考資料を提出したのは国交省であった。しかし、第三回会議に参考資料を提出したのは国交省ではなく個人意見なのである。
では、いかなる理由で、国交省の意見として提出しなかったのだろうか。その理由は、会議の前日2022/11/8、産経新聞『非軍事性「重要な規定」 国交相、海保法25条めぐり』とする記事で疑問が氷解する。
「……
斉藤鉄夫国土交通相は8日の閣議後記者会見で、海上保安庁が軍隊として活動することを否定している海上保安庁法25条に関し「警察機関である海保が非軍事的性格を保つことを明確化したものだ」と指摘した。
沖縄県・尖閣諸島の領海警備に触れ「法にのっとり、事態をエスカレートさせずに業務を遂行する重要な規定だ」とも述べた。
外交・安全保障政策の長期指針「国家安全保障戦略」など防衛三文書議論では、自民党から25条撤廃の主張が出ている。斉藤氏はこれまでの国会答弁でも同様の認識を示してきた。
……』
ここで云う海上保安庁法二五条とは次のようなものである。
『……
第二十五条この法律のいかなる規定も海上保安庁又はその職員が軍隊として組織され、訓練され、又は軍隊の機能を営むことを認めるものとこれを解釈してはならない。
……』
 やはり海上保安庁を所轄する国交省と元長官では意見が割れていたのだ。これで外務省が開催した有識者会議では、海上保安庁に関しては「海上保安法第25条」を廃止して有事の際に戦力としてアメリカ軍指揮下に提供するため国内法を改定しようとしていたのだ。
したがって有識者会議は、日本の有事とは無関係に自衛隊と海上保安庁をアメリカ軍に「ご自由にお使いください」と提供するように政府に提言することだったのだ。
 海上保安庁保法第25条を廃止するという議論はいつ頃から始まったのか調べてみた。同協定の交渉記録は、アジア歴史資料センターに『日米行政協定締結交渉関係 第1巻』内に『交渉経緯/(1)第一次日米交渉における行政協定案 昭和26年2月』(Ref.B22010299700)として残されている。交渉記録の作成開始時期が昭和26年2月とあることから、同協定が講和条約と旧日米安保及び1950(昭和25)年に始まった朝鮮戦争と密接な関係にあることが伺い知ることができる。それら記録のなかに「集団的防衛措置」とする章がある。
『……
第四章 集団的防衛措置
(一)日本国域内で、敵対行為又は敵対行為の緊迫した危険が生じたときは、日本国地域にある全合衆国軍隊、警察予備隊及び軍事的能力を有する他のすべての日本国の組織は、日本国政府と協議の上合衆国政府によって、指名される最高司令官の統一的指揮の下に置かれる
……』
 警察予備隊(自衛隊)及び「軍事的能力を有する他のすべての日本国の組織」つまり海上保安庁は、緊急時にはアメリカ軍の指揮下に入ることになって、その戦域は極東なのである。この条項は、その後、整理されて第24条としてまとめられた。
『……
第二十四条
日本区域において敵対行為または敵対行為の急迫した脅威が生じた場合には、日本国政府及び合衆国政府は、日本区域の防衛のため必要な共同措置をとり、かつ安全保障条約第一条の目的を遂行するため直ちに協議しなければならない。
……』
 以上のことから、公明党が自由民主党補完勢力であることと引換えに獲得してきた国交大臣のポストが、こともあろうに自由民主党が存続をかけて進めている安全保障政策に反対していたのだ。これが麻生太郎をして激怒させた最大の原因なのである。
 そして自由民主党は、つぎの総選挙では公明党との連立を解消し「トリガー条項」の発動と「大臣ポスト」を釣り餌として国民民主党と連立を組んで、日本の国権をアメリカに売渡す総仕上げをおこなおうとしたのだ。当然、自由民主党が組閣する場合に、国交大臣のポストには「防衛三文書」を自画自賛していた元国交大臣前原誠司ということになる[1]。前原は、自由民主党が日本の国権を売渡したことから、国民が塗炭の苦しみを味わっていようと、自身の政治思想が重要だとかんがえ、平気で仲間を裏切ることを厭わない、ナルシスト、つまり「自己陶酔」や「自惚れ」の強い幼稚な政治家なのだ。
いよいよ、自由民主党は、自党のレーゾンデートルを求めて乾坤一擲の最終戦に臨もうとしているのだろう。
 尚、海上保安庁問題は『日本の安全保障に関する情報戦(プロパガンダ)(第二回) ―日本政府は自衛隊の次は海上保安庁を売り飛ばす―』(クリックで遷移)でその詳細を確認願いたい。
以上(寄稿:近藤雄三)

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