2025年2月17日、ロイターは「米、「台湾独立支持せず」をサイトから削除 台湾は歓迎」とする記事を配信した。
『…
[台北16日 ロイター] - 米国務省は、台湾独立を支持しないとするウェブサイト上の記述を削除した。
13日に更新された台湾に関する最新のファクトシートで、「われわれは台湾独立を支持しない」との記述を削除したほか、米国防総省の技術・半導体開発プロジェクトへの台湾の協力に関する言及を追加し、米国は「該当する場合」に台湾の国際機関加盟を支持するとも記した。
台湾の電子機器企業は米テキサス州への投資拡大を計画中で、トランプ大統領の就任から100日に合わせて5月に発表する可能性がある。業界団体のトップが2月18日に明らかにした。2018年3月、台北で撮影(2025年 ロイター/Tyrone Siu)
台湾、中国の「いずれの側からの一方的な現状変更にも反対する」との立場は維持し、「台湾海峡両岸の相違が、強制のない平和的手段によって、両岸の人々が受け入れられる形で解決されることを期待する」とした。
台湾外交部(外務省)は16日、林佳龍外交部長(外相)が同ウェブサイトで示された「米台関係に対する支持と前向きな姿勢を歓迎する」との声明を出した。
米国務省や中国外務省はコメント要請に応じていない。
…』
一方、この報道をもってトランプ大統領がペロシ前下院議長の訪台に端を発した台湾有事を煽ったバイデン政権の政策に回帰するとの見方は誤りである。トランプ外交を考察するにあたり、2020年8月13日にドナルド・トランプ大統領、アブダビ皇太子ムハンマド・ビン・ザーイド・アール・ナヒヤーン、イスラエル首相ベンヤミン・ネタニヤフが締結した「アブラハム和平協定合意」が重要な参考となる。同合意に「アブラハム」と冠した理由は、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の共通の始祖であるアブラハムが、ユダヤ民族(イサク)とアラブ民族(イシュマエル)の共通の父祖であるためである。
この思想はトランプ政権の中東およびウクライナ政策の根底にあり、台湾海峡や朝鮮半島問題においても同様の枠組みである。トランプ政権は、1972年にニクソン大統領が中国を訪問し、1979年に米中が国交を樹立して台湾と断交した外交路線を踏襲している。しかし、中国大陸と台湾、いわゆる「一つの中国」という地域では、1945年以降、蒋介石率いる国民政府軍と毛沢東率いる中国共産党軍が第二次国共内戦を継続しており、現在に至るまで正式な休戦や停戦協定は締結されていない。この長期的な内戦状態が続いた要因の一つは、アメリカが蒋介石側に立って介入したことにある。
1956年1月、毛沢東は「国共はすでに二回合作している。いま我々は第三回目の合作を準備している」と発言し、国共内戦が継続していることを認めた。中国人民解放軍は国共内戦を「解放戦争」または「革命戦争」と位置づけ、国民党政権の打倒を目的としていた。現代の人民解放軍は原油事業への関与、アメリカ政界への政治献金、病原菌研究への関与など国際的に問題視される活動を展開しているが、その根底には「祖国解放戦争」の継続という大義が存在している。この戦争状態が続く限り、人民解放軍の存在は保証され、異議を唱える者は「祖国解放戦争の妨害者」として徹底的に敵視される。
バイデン政権は、この人民解放軍の盲目的な敵愾心を巧みに利用し、ペロシ元下院議長の台湾訪問を契機に台湾有事を煽った。その結果、日本と台湾は莫大な兵器をアメリカから購入するに至り、日本の自民党政権は防衛費の大幅増額に踏み切った。これに伴い、政府は他の補助金や税制優遇措置を縮小し、その結果として「6公4民」と揶揄されるような財政状況を招いた。こうした政策に対して国民の間では自民党への不信感が強まり、同党がかつての支持を取り戻すことは困難な状況にある。
今回の「台湾独立を支持しない」という文言削除は、単にアメリカが中国の内戦問題に関与しない意向を示しただけではない。1945年以来続く国共内戦の終結を促し、両陣営が現状の支配地域を相互に確認することを求める明確なメッセージでもある。
中国共産党と国民党の関係性に目を向けると、2015年11月7日、シンガポールにおいて中国共産党総書記・習近平と中華民国総統・馬英九が首脳会談を実施し、関係修復への道を模索した。しかし、それから10年が経過しても内戦状態が解消されなかった背景には、人民解放軍が自己の存在意義を保つため終戦に消極的であったことや、馬英九が自己保身と利権維持に執着していたことが大きく影響している。
結局のところ、トランプ大統領の真意は「アブラハム和平協定合意」に通じるものであり、台湾と中国が国共内戦を終結させ、別々の国家として同一地域内で平和的に共存すべきだという考え方に基づいているのである。
中国共産党と国民党は、早期に国共内戦終結に向けて努力し、人民解放軍の最大の任務である「祖国統一」から解放してやるべきである。これは人民解放軍にとっても負担軽減となり、ひいては世界平和への最大の貢献となるはずである。以上(寄稿:近藤雄三)
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます