2007年、この町で開かれた『八雲国際演劇祭』にシンガポールから参加し
た、娘 さんは私たちの家で1週間ほどホームステーした。縁あってのこと、そ
れからメル友 になり、私たちはシンガポールに行き再会し、家へも訪問した。
彼女はいつも私を『otousan』と呼び、妻を『Michie san』と呼ぶ。つながりは続
き、 私が癌で手術した後に仕事で来日することになった。その足でわざわざ
私の見舞いに八雲まで来てくれた。そんな律儀ないい娘さんだ。そして何より
もとても親孝行。
家を訪問した時に色々ともてなして下さったお母さんが『末期のすい臓がん』
と診断された。私が慰めの言葉を持つはずもない。だが、気丈になるしかない
から空元気で励ます。
彼女たちには強い信仰がある。その総本山は日本にあり所謂、巡礼はとても
重要な意味 を持っているそうだ。お母さんは重篤な状況なのに、それをおして
巡礼に行かねばとの 思いで一杯。昨日、全てを賭けてでも総本山への巡礼を
選択したとメールが届いた。
私たちは、その際には出かけて総本山で再会したいと伝えていたし、行く手筈
を全て整えていた。本当に、来日していいものか悩むところ、私たちと再会する
約束が反古になるかも知れないと、心配して電話をかけてきた。
粗方のことは分かったが詳細は分からなかったが、後のメールで全てを理解し
た次第。国は違えど、親が子がそれぞれのことを思いやり、他人でも思いあう
ことは人として外 してはならないものだと思う。
そんなこんなで来週、シンガポールの娘と母に会いに行くことになった。