まちおもい帖2

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連載 富沢このみの「まちおもい帖」第24回 我がこととして取り組みはじめた空き家問題

2019-01-15 02:53:38 | 日記

『ひばりタイムス』に「連載 富沢このみの「まちおもい帖」第24回 我がこととして取り組みはじめた空き家問題」が掲載されました。

 

「遊休不動産のリノベーション」については、この連載でも、第一部第5回(2017年1月)で一度取り上げている(小倉と松戸の事例)。でも、その頃は、私自身よその地域のこととして捉え、リノベによってまちが生まれ変わるなんて面白いなぁと思い、紹介していた。ところが、遊休不動産の問題は、実は他人事ではなく、我がまちのこととして喫緊に取り組むべき課題であった。遊休不動産といった場合、シャッター通りに代表される商店や事業所と住宅があり、今回は、主に住宅の話だ。

 実際、私が住んでいる自治会内でも、一人暮らしをしていた高齢者が亡くなった、老人ホームに入居したなどの理由から、空き家・空地がどんどん増えている。そうなると、需要も減るので、店舗も閉鎖されてしまう。

 幸い、我が自治会は、田無駅から5分と比較的好立地であるため、売り出されればすぐに買い手が見つかることが多い。それでも、相続の問題などで、放置されている空き家もかなりある。写真の住宅は、最近になってNPO法人空家・空地管理センターに管理を委託したようだが、少し前までは、樹木が伸び放題になっていた。

 すぐに買い手が付く場合でも、新しい世帯は、近所づきあいをしたがらず、どんな人が住んでいるのか顔が見えない。地主が別なところに住んでいてアパートや貸家にしている場合には、なおさらだ。自治会としては、たとえ人が住んでいても歯抜けのような状態となり、防犯・防災という面からも好ましくない。

空き家はこれからさらに増える

●空き家による周辺への悪影響

西東京市の空き家の現状

空き家の有効活用-世田谷区の例

(1) 相談窓口(注6)
  ・空き家等を持っていて、地域貢献活用を考えているオーナーからの相談を受け付ける。
  ・オーナーの考えを聞き、現地で建物の調査を行い、活用の方法を一緒に考える。
  ・区の関連部署やNPO等空き家等の活用を希望する団体との出会いをサポートする。
  ・他方で、空き家等を活用したい地域貢献団体の情報収集を常時実施する。

(注6) 空き家等の活用にあたっては、オーナーには、耐震基準を満たしているか、満たしていない場合補強工事等を行う意志があるか、活用方法が用途地域による用途制限の範囲であるか、活用するのは、個人ではなく団体などの条件がある。

(2) 地域貢献活用助成事業
 ・地域貢献活用とは、地域交流の活性化、地域コミュニティの再生等、地域の課題解決の一助となるような活用方法。
 ・ 募集期間に企画を応募し、公開審査会で採択されると、事業を始めるにあたっての改修工事費用等を最大300万円まで助成される。

(3) 世田谷の空き家等活用ゼミナール

●西東京市の空き家への取り組み

●さて、どうしたものか

 たんたんと、空き家の話をしてきたが、実は、筆者に空き家を任せても良いという話が持ち込まれており、他人ごとではないのだ。このため、アキヤラボのキックオフセミナーに出かけたり、世田谷区民ではないのだが、先の世田谷の空き家等活用ゼミナール(2日間)にも参加させてもらったりなどしてきた。

 私が所属する自治会には、ふらっと集まる場所がないので、一体感が得られにくい。古くからの住民は、親の代からの知り合いだが、新しい住民との接点を持つ機会がない。代替わりしたり、嫁いできたりした人とのふれあいも少ない。子どもと大人が出会う場所も欲しい。今イメージしているのは、多世代が交流できるような場所だ。

 アキヤラボのセミナーで基調講演をされた価値総研の小沢理市郎氏が、「事業性があれば、事業する人がすぐに表れるが、空き家の活用は、必ずしも、すぐに事業性には、結びつかない。地域を巻き込んで、その空き家の活用がその地域にとって有益だと思ってもらえるよう、ワークショップなどを10回くらいして、『地域の自分ごと』にすることが大切」と言われていた。本当にやるとしたら、こうした段取りが必要だろう。

 さらに問題なのは、収入をどう生み出すかということだ。西東京市の空き家オーナーアンケートにみられるように、周辺の賃貸物件なみの賃料を支払えるようにすることは、最低条件だろう。オーナーは、固定資産税を支払っているのだから、それに見合う収入は必要だ。

 世田谷のゼミナールで私のチームを指導してくれたまちひとこと総合計画室代表の田邊寛子氏も、たとえ志は、社会貢献的なものであっても、改修費、家賃、ランニングコストなどを賄える程度の収入を上げられる事業計画にしなければ長続きしないと言う。

 田邊氏は、旧東海道品川宿にある築100年の空き家を活用し、「うなぎのねどこ」という「まちと人、人と人をカジュアルにコネクトする『場』」をつくっている。間口が2.7mと狭く、奥行きが30mもある2階建ての建物で、会員制の運営のシェアオフィスとし、①2階をアトリエ・スタジオとしてシェアするレジデンス、②1階の和室、キッチン、会議室などをワークの場としてシェアするノンレジデンス、③定期的なレッスンを行うイベントメンバーという3タイプの利用方法・料金を用意し、きちんと収入を得られる仕組みでスタートした。

  空き家は、一つひとつ違うので、それぞれの空き家が置かれた環境に適した利用方法と収入の得方を考えなければならない。果たして私にやりきれるだろうか、乞うご期待!


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