WEB新聞『ひばりタイムス』さんにアップした記事をこちらにも紹介します。
タイトルは、第30回 利便性の追求が決済のイノベーションを起こす?
◆キャッシュレスにすると消費税が最大5%還元される!
◆キャッシュレスのいろいろ
◆増えているスマホ決済
◆デジタル化したお金は記号?
◆アナログ時代のシステムを変換
◆フェイスブックが仮想通貨「リブラ」構想を発表
◆中央銀行の衰退? 基軸通貨の変動?
各国がリブラに拒否反応を示している理由は、マネーロンダリングの懸念や、フェイスブックの情報管理体制の甘さなどの具体的な課題以前に、それぞれの国の通貨発行権限を脅かす存在となる可能性が大きいからと思われる。一般に、各国の中央銀行は、通貨の発行量を加減することにより、その国の貨幣の価値を安定させたり、景気対策をしたりしている。リブラは、こうした権限を脅かす可能性がある。
日本に住んでいると、実感がないが、海外では、自国の通貨に信頼を置かず、ドルを求める国が結構ある。そういう国では、仮にリブラが安心できるものと分かれば、ドルでなく、リブラを欲しがるようになるかもしれない。さらに、現在は、ドルが世界の基軸通貨になっているが、リブラは、それに取って代わる可能性すらある。だから、各国、特にアメリカがリブラに対し厳しい姿勢で臨んでいるのだ。
仮想通貨でもう一つ注目されるのは、中国の動きだ。中国では、景気減速と人民元安もあって、仮想通貨の需要が高まっており、中国は、仮想通貨には、厳しい姿勢を取ってきた。一方で、中国の中央銀行である中国人民銀行自身がデジタル通貨(デジタル人民元)の試験運用を始める見込みと報じられている。
デジタル人民元が普及すると、お金の動きまで政府が一括管理するようになるのではなかという懸念がある。他方で、中国が推進する巨大経済圏構想「一帯一路」のなかでデジタル人民元を普及させ、基軸通貨としての地位を得ようと狙っているのではないかとの見方もある。
(略)
リブラ開発責任者のデービッド・マーカス氏が2019年7月の公聴会で「我々がやらなくても誰かがやる」という趣旨の発言を残している。中国のデジタル人民元もそうだし、フェイスブック以外のIT企業が仮想通貨を始めないとも限らない。
仮想通貨における動きをみるにつけ、クレイトン・クリステンセンの『イノベーションのジレンマ』(翔泳社、2001年)を思い出す。革新的イノベーションが現れた時には、これまでのものよりも、粗削りで、見栄えが悪い。しかし、利便性などが一部の人たちに受け入れられると、あっという間に磨かれてより素晴らしいものになる。既存のシステムに拘泥していると、いつの間にかその地位を奪われてしまう。世界の人々が利便性を追求しつづければ、仮想通貨は、より使いやすく安全なものになっていくに違いない。
日本の私達は、消費税の値上がりによる家計への影響を軽減したいと、無邪気にキャッシュレス化を進めているだけだが、世界的に、決済という仕組みが大きく変貌するターニングポイントにいるのかもしれない。
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IT化がもたらす変化は、まだ序の口。通貨・決済で大きな変化が起きようとしているのは、とてもワクワクする。
・消費税の値上がりによる家計への影響の軽減からキャッシュレスが進み
・新型コロナ対策で在宅ワークが進む
風邪が吹けば桶屋が儲かる的に、まったく違う目的で始まったことが世界の別な潮流と重なり、思いがけない方向に進むというのも、面白い!
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