『ひばりタイムス』に西東京市エコプラザで実施された「どう選ぶ?新電力~地球温暖化の防止に向けて~」講演会の記事が掲載されました。
連載「まちおもい帖」第22回で、エネルギー問題を取り上げたのですが、エネルギー問題全般を取り上げたので、長文な上に難しかったなぁと反省しています。講演会に参加して、多くの方は、新電力に乗り換えたら、安くなるのか、不安はないのか、切り替えは面倒ではないのかという切実な問題に関心があることが分かりました。それでも、受講生からは、原子力発電を今後も続けるということに不安を表明された方もおられました。
新聞では、10月13日・14日に、九州(原子力発電4基が再稼働)では、太陽光発電事業者に、天気が良く、発電力が増えるとネットワークの調整が困難になるからと、出力制限をしたとのこと。需給バランスが崩れると停電が起こる可能性があるからとのことですが、自然エネルギーの比率を高める方向よりも、原子力発電をベースロード電源にするという「国の方針」がやはり一番になっているというのは、歯ぎしりしたい気分です。
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新電力と地球温暖化防止についての講演会「どう選ぶ?新電力~地球温暖化の防止に向けて~」が9月21日(金)、エコプラザ西東京の多目的スペースで開かれました。エコプラザ西東京の主催事業です。あいにくの雨にもかかわらず、15名の市民が参加していました。
講演会は、東京都環境局地球環境エネルギー部課長代理の能登屋浩さんによる「電力の全面自由化と電気の環境性について」とelDesign株式会社(https://eldesign.jp/)代表取締役社長の坂越健一さんによる「日本が火力発電と縁を切ることは可能か」との二本立て。
始まる前に受講生にアンケート用紙を配り、①電力自由化後、電力会社を変えたかどうか②本日特に聞きたいことを1つ-についての記入を求め、エコプラザの担当者から回答結果が紹介されました。電力会社を変えた人は、4人、変えていない人が10人でした。
聞きたいことは「電力自由化のメリットは何か」「契約先変更の問題点(手続きが面倒なのではないかなど)」「電力とガスの一括化は良いのか」「変更した場合の電力の安定性への不安(停電が増えるのでは、電気の質が変わるのではなど)」「地球温暖化のために何ができるのか」「原発について」などが挙げられていました。
●東京都環境局地球環境エネルギー部課長代理の能登屋浩さん「電力の全面自由化と電気の環境性について」
最初の能登屋さんのお話は、皆さんの関心事にピッタリでした。
電力自由化について概略をお話頂いたあと、電力を切り替えた人は、やはり価格の安さで切り替えており、満足度は6割程度と概ね高いこと、受講生が心配されている、切り替えによる電力の安定性の不安や手続きの煩雑さについては、問題無いことを説明されました。続いて、発電方法によってCO2排出量が違うので、折角切り替えるなら、地球環境に良いエネルギーを提供している会社にして欲しいとのことでした。
公務員なので、どの会社が良いと推奨するわけには行かない。しかし、電気事業者一覧がまとめられている『ご存知ですか?私たちが使う電気の環境性』というリーフレットを配布され、都内の電気事業者のCO2排出係数の平均値が0.478、再生可能エネルギー利用率の平均値が10.20%なので、これを参考にして選んで欲しいとのことでした。この内容は、東京都環境局のHPにも掲載されています。
●elDesign株式会社(https://eldesign.jp/)代表取締役社長の坂越健一さん「日本が火力発電と縁を切ることは可能か」
続く坂越さんのお話は、ちょっと難しかったかもしれません。
「地球温暖化を防止ししたいのであれば、CO2排出量の多い火力発電所と縁を切ることが必要。海外では、銀行が火力発電所建設のための融資はしないなどの動きがある。しかし、日本では現在も、火力発電所が建設されている。これは、東日本大震災の後、原子力発電がほとんど稼働しないなかで、電力供給量を増やしやすかったことによる。新しく作られている火力発電所は、効率もよく、大気汚染物質を大幅に削減している優れものなので、壊すのは、もったいない。個人で、地球温暖化防止をしたいのであれば、電気自動車に変え、自宅の屋根にソーラーパネルを置いて蓄電池を購入するなど、お金をかければ可能だ。そういう個人が増えてくれば、世の中も変わってくるだろう。しかし、一般的には、古い火力発電所が使えなくなり、一方、再生可能エネルギーのコストが低下するなど、50年くらいかけて、徐々に火力発電所と縁を切ることになると思う」とのことでした。
●質問や意見とそれへの回答
「先ほど見せてくれた政府が策定している2030年のエネルギーミックスには、原子力発電が2割ぐらいになっている。原子力発電は、安全が心配。今後も使われるのだろうか」という質問に、坂越さんは「そうなるかどうかは、分からないけれど、現在の政府は、そう考えている。政治家の影響力は大きい」と答えていました。
「再生可能エネルギーが増えて、火力発電が不要になることはないのか」という質問に、「実際、今年8月に、四国電力で、1日のことであったが、再生可能エネルギー(水力を含む)の供給量が電力の需要量を上回ったことがあった。このように、徐々にではあるが、火力発電の比率は下がってくると思う」とのこと。
「J-COMとかソフトバンクなどは、発電設備を持っているのだろうか」と言う質問に、「こうした会社は、小売をしているのであって、発電している事業者と直接取引するほか、卸売市場で購入し、それを販売している」。
意見も出されました。
「安いというので切り替えたが、サービス対応が悪かった。2年間据え置きで、他に変えると違約金を払わされるというので、我慢したが、結局電気料金が割高になった。そこで、別のところにまた切り替えた。皆さん、切り替える際には、良く調べた方が良いですよ」。これに呼応して、「自分もその会社には、ほとほと困っている。行政の方は、そうしたトラブルを良く把握して、行政指導するとか、切り替えの際のトラブル一覧などを作成して注意喚起して欲しい」。能登屋さんは、「そうした実態は、初めて聞いた。良く調べて対応したい」と言われていました。
大変有意義で興味深い講演会でした。でも、新電力に切り替えようか、どこにしようか迷ってこられた方の中には、「却って分からなくなってしまった!?」と言われている方もおられましたし、難しいのでもう一回やって欲しいと言われている方もおられました。
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