S.マグナム分解整備の関連作業が少々あったのだが、流感にやられている内に長期遠征が迫ってきた。今回は簡単な紹介だけ:
高圧部水密検査
旧モデルに合わせて共通の5Φネジの点検孔を新たに設けたが、簡易ポンプのホース口寸法には合わない。そこでホースの内径10Φに合わせ、手持の10Φ真鍮端材で5mmのネジ口金を作った。後端には̠⊖ドライバー用の溝も付けた。真鍮を切削するのはステンレス材に比べて夢の様に楽だ。
貫通孔は2.5mmΦで、ねじ込んだだけでは空気が漏れるので、ガスケットを嵌めた。ネジ山に液体ガスケットを塗布するだけでも、漏れはしないと思う。
点検孔にねじ込んだこの口金に蛇腹ホースを直接挿し込む。
加圧してみたが外部への漏れは無く、一安心した。
なお、メインオイルシールが劣化していたら、クランクケース側に圧は漏れてしまうが、本方式では検知できない。
水中運転は上と同じ水槽で行い、問題は無かった。
プロペラシャフト周りのグリスについて
水分混入で乳化していたグリスは、新グリスで押し出したが、残存分が有る筈で、その水分がどう影響するか不安だ。分かっていれば溶剤で完全に洗い流すことも可能だったのだが、気付かず残念だ。
本機の場合、1年経過と云っても実運転時間は大したことが無く、この部分をいじったこともないのに浸水したのだから、シール新替でも再発の心配を拭えない。
仲間の場合も、ここからの浸水でグリスの乳化だけでなく、ベアリングが錆びていた例が多い様だ。ばらさぬと判らないというのが困りものだが、ここにもグリスを抜き取って確認できるようなネジ穴1個だけの“点検孔”または“グリス注入孔”を設けたら良いかも知れない。
マフラ残滓の対策?
マフラ残滓については、本ブログの23、30、31回に他の使用者の例も含めて紹介したが、今回もひどい残滓が付着していてショックだった。
離島の仲間の場合は、使用後は清水中で運転し、その後必ず排気弁(ゴムカップ)を外してクリーナ液を注入し、丁寧に内部を濯いでいる。
しかしこれも以前紹介したが、同じ場所で同じ様に魚突きをしている別の仲間の場合は、使用後海水が乾かぬうちに、必ず現場へ持参した清水で濯ぐだけ。但し排気ゴムカップだけは、次回出漁時に「休ませておいた」別のカップに交換する。2個のカップを交互に使うと言う訳だ。これで長期にわたって使へている。これはへたりを防ぐ合理的手法だ。
移動距離が長い離島なので、この2名ともアクセル一杯に吹かしていることが殆どで、排液の放出には有利だと考へられる。
私の場合は月例の4~5泊の遠征中は、上陸後本体を前後に傾けて排液を飛ばそうと数秒間空吹かしする以外には(疲れ切っていて)何もしない。翌日は入水前に排気ホースをあさっての方向に向けて始動する。 すると内部あるいはホース内に溜まっていた、結構な量の排液が飛び出す。帰宅後には排気ホース伝いにマフラにガソリンを入れて濯ぐ。
普通のアクアスクータなら、排気バルブを外さないと、排液は出てこない。それに対して排気ホース式では、常時垂流しなので、傾斜さえつけて置けば排出にはより有利な筈だ。
また、低水温や低速でマフラが冷えると排液の粘度が高くなるからより残留し易くなる。いっそのことマフラにカバーをして保温してしまうのも効果あるかも知れない。但し排気音圧を低減する本来の機能が損なわれる・・・と言う様な事を考慮して、今後は毎日の使用後には保温と傾斜とを心掛けてみたい。遠征終りには、時間を置かず残燃料を利用して内部を濯ぐことも忘れぬようにする積りだ。
塩析出対策?
スタータケースの嵌合部やマフラの合わせ目には、いつもそうだが今回も塩が結晶化していた。Oリングを押上げて浸水し易くなる心配もあるし、アルミが錆びるのも好ましくない。この対策として合わせ目に液体ガスケットを詰めることも検討している。しかし却って海水をそこに滞留させて、逆効果となるかも知れない。
すぐ清水で洗う、或いは水洗するまではビニ袋などに入れておくと云うのも塩の析出を防ぐ手かも知れない。
この辺り、更に検討したい。
キャブレタの浸水
第66回で紹介した、キャブのアクセル軸からの浸水が起きる。
予備のキャブのアクセル軸から取外したこのXリングは、素人目には劣化しているとは見えないが、原因となっているらしい
購入したXリングに交換すべく、リング溝を清掃し
4隅の間にグリスを入れながらリングを押し込む
ワッシャがリング溝の構成要素になっているので、正しく配置するのが重要らしい
一方こちらはチョークの軸で、アクセル軸と違い、ねじ止めせずバネと鋼球でカチッと停止する構造だ。キャブ本体に載せて撮ったので却って見難くなってしまった。軸にはXリングは使われておらず、ごく細いOリング様の輪が嵌められているが、リング溝は無い。ここから漏れたことはないと思うので、グリスアップして再組立をした
なお取外した物と新品とを比較してみるが、大きく差がついているとは思えない。
2カ所でシャフトに接しOリングよりシール性が大だと云うが、この様に細かな場合は却って劣化しやすい感じもする。
当然キャブ単体で水密検査をしなければならないが、他事に忙殺され先送りとした
以上
Blog第68回 スーパーマグナム分解整備後始末 終り=小坂夏樹=SuperMagnum Overhaul FollowUp
高圧部水密検査
旧モデルに合わせて共通の5Φネジの点検孔を新たに設けたが、簡易ポンプのホース口寸法には合わない。そこでホースの内径10Φに合わせ、手持の10Φ真鍮端材で5mmのネジ口金を作った。後端には̠⊖ドライバー用の溝も付けた。真鍮を切削するのはステンレス材に比べて夢の様に楽だ。
貫通孔は2.5mmΦで、ねじ込んだだけでは空気が漏れるので、ガスケットを嵌めた。ネジ山に液体ガスケットを塗布するだけでも、漏れはしないと思う。
点検孔にねじ込んだこの口金に蛇腹ホースを直接挿し込む。
加圧してみたが外部への漏れは無く、一安心した。
なお、メインオイルシールが劣化していたら、クランクケース側に圧は漏れてしまうが、本方式では検知できない。
水中運転は上と同じ水槽で行い、問題は無かった。
プロペラシャフト周りのグリスについて
水分混入で乳化していたグリスは、新グリスで押し出したが、残存分が有る筈で、その水分がどう影響するか不安だ。分かっていれば溶剤で完全に洗い流すことも可能だったのだが、気付かず残念だ。
本機の場合、1年経過と云っても実運転時間は大したことが無く、この部分をいじったこともないのに浸水したのだから、シール新替でも再発の心配を拭えない。
仲間の場合も、ここからの浸水でグリスの乳化だけでなく、ベアリングが錆びていた例が多い様だ。ばらさぬと判らないというのが困りものだが、ここにもグリスを抜き取って確認できるようなネジ穴1個だけの“点検孔”または“グリス注入孔”を設けたら良いかも知れない。
マフラ残滓の対策?
マフラ残滓については、本ブログの23、30、31回に他の使用者の例も含めて紹介したが、今回もひどい残滓が付着していてショックだった。
離島の仲間の場合は、使用後は清水中で運転し、その後必ず排気弁(ゴムカップ)を外してクリーナ液を注入し、丁寧に内部を濯いでいる。
しかしこれも以前紹介したが、同じ場所で同じ様に魚突きをしている別の仲間の場合は、使用後海水が乾かぬうちに、必ず現場へ持参した清水で濯ぐだけ。但し排気ゴムカップだけは、次回出漁時に「休ませておいた」別のカップに交換する。2個のカップを交互に使うと言う訳だ。これで長期にわたって使へている。これはへたりを防ぐ合理的手法だ。
移動距離が長い離島なので、この2名ともアクセル一杯に吹かしていることが殆どで、排液の放出には有利だと考へられる。
私の場合は月例の4~5泊の遠征中は、上陸後本体を前後に傾けて排液を飛ばそうと数秒間空吹かしする以外には(疲れ切っていて)何もしない。翌日は入水前に排気ホースをあさっての方向に向けて始動する。 すると内部あるいはホース内に溜まっていた、結構な量の排液が飛び出す。帰宅後には排気ホース伝いにマフラにガソリンを入れて濯ぐ。
普通のアクアスクータなら、排気バルブを外さないと、排液は出てこない。それに対して排気ホース式では、常時垂流しなので、傾斜さえつけて置けば排出にはより有利な筈だ。
また、低水温や低速でマフラが冷えると排液の粘度が高くなるからより残留し易くなる。いっそのことマフラにカバーをして保温してしまうのも効果あるかも知れない。但し排気音圧を低減する本来の機能が損なわれる・・・と言う様な事を考慮して、今後は毎日の使用後には保温と傾斜とを心掛けてみたい。遠征終りには、時間を置かず残燃料を利用して内部を濯ぐことも忘れぬようにする積りだ。
塩析出対策?
スタータケースの嵌合部やマフラの合わせ目には、いつもそうだが今回も塩が結晶化していた。Oリングを押上げて浸水し易くなる心配もあるし、アルミが錆びるのも好ましくない。この対策として合わせ目に液体ガスケットを詰めることも検討している。しかし却って海水をそこに滞留させて、逆効果となるかも知れない。
すぐ清水で洗う、或いは水洗するまではビニ袋などに入れておくと云うのも塩の析出を防ぐ手かも知れない。
この辺り、更に検討したい。
キャブレタの浸水
第66回で紹介した、キャブのアクセル軸からの浸水が起きる。
予備のキャブのアクセル軸から取外したこのXリングは、素人目には劣化しているとは見えないが、原因となっているらしい
購入したXリングに交換すべく、リング溝を清掃し
4隅の間にグリスを入れながらリングを押し込む
ワッシャがリング溝の構成要素になっているので、正しく配置するのが重要らしい
一方こちらはチョークの軸で、アクセル軸と違い、ねじ止めせずバネと鋼球でカチッと停止する構造だ。キャブ本体に載せて撮ったので却って見難くなってしまった。軸にはXリングは使われておらず、ごく細いOリング様の輪が嵌められているが、リング溝は無い。ここから漏れたことはないと思うので、グリスアップして再組立をした
なお取外した物と新品とを比較してみるが、大きく差がついているとは思えない。
2カ所でシャフトに接しOリングよりシール性が大だと云うが、この様に細かな場合は却って劣化しやすい感じもする。
当然キャブ単体で水密検査をしなければならないが、他事に忙殺され先送りとした
以上
Blog第68回 スーパーマグナム分解整備後始末 終り=小坂夏樹=SuperMagnum Overhaul FollowUp