Aquascooter Maintenance for Spearfishing アクアスクーターで魚突き 全76回

使いこなそう、アクアスクーター整備ノートby KosakaNatsuki

**全76回で終了済み**

Blog 第41回 キャブレタ整備 =小坂夏樹=Carburettor Maintenance

2016年09月22日 | マニュアル

今回の写真は、ピントが甘いものが多いことを予めお断りします。


1号機キャブレタの整備
15年12月に整備したが16年2月の遠征では使えず、4月にまたキャブを整備し直したAS650主機だが、時々は始動させようとするのに、なかなか一発始動という訳にはいかない。その一方、予備機は好調だったのでそちらばかり使い、結局10か月近く実戦使用はしなかった。
そこで秋の適期を前に、改めて点検整備をした。キャブの調整膜(ダイアフラム)などがバラツキで不調なのではないかとの疑いがあったからだ。

始動は手古摺ったがしばらく空中で吹かして停止し、そこから作業を開始した:
先ずは不調原因になりかねない圧縮圧をみたところ、少々低めだが800kPaは越えているから燃焼室のピストンリングなどはOKと判断 本機はピストンスカート部に縦傷がついているのが気にはなるが、直接圧縮に関係するのはピストンリングとシリンダ壁の接触状態だからと、そのまま使っている。交換部品を購入しようと思いながらも、使えている内はつい油断してしまうものだ。



プラグはこの間まともに使っていないわけだから、焼けてはいない。今回空吹かしした過剰燃料で濡れてはいる。BP2HSを使っている。


前回交換したキャブの流量調整膜は新品でなく、短時間使った物だった。現状では特に変形したと云う感じではないが・・・・


その内側=燃料溜りも特段ひどくは無い


ばらして各部を点検しても別に異常は無さそうだ。上の写真で矢印を付けた孔=Lネジの先端部の孔からパーツクリーナを吹いてみると、次の写真の赤枠内のアイドルノズル1~3から噴出するが、見辛くて3か所から出ているのかがはっきりしない。
そこで念のため、極細針金をノズルに挿してごしごし擦っておいた。


ポンプ部は全く問題ないので、膜とガスケットはそのまま再利用した。


気になっていた流量調整膜は、柔軟性が怪しく、硬化しているとみて、新替することにした。押したり引いたりした時の戻りが悪い感じだ。また、ガスケットのアルミ接触側には白い錆が付着しているのが気になる。外から水が沁み込んだのか。


左が取外したもので、変形がきれいには戻らない。右の新品=互換部品=に交換した。ガスケットには僅かだがアルミ錆があり、海水が滲み込んで発生したものか。次回海での使用後に早期に点検する積りだ。



燃料チューブはかなり収縮しているので、新品と交換した。


組付け この後エルボにはいつも通り、液体ガスケットを塗布した。


水密検査はいつも通り、簡易ポンプで排気ホースから加圧して空気漏れの無いことを確認した。ホース式は実に便利だ。


組立直後の始動は燃料が各部に行渡ったあとは流石に簡単に出来た。さてそれが実戦でどうなるか?






2号機(予備機)キャブレタの整備
このところ1号機を使わず、昨年11月に分解整備した2号機を使ってきた。この間に排気ホースの穴からの浸水があり、4月にキャブも整備済み品と交換してから30時間程度は運転した。夏期2か月間というものは使わなかったが、やはりこれからのシーズンに向けてキャブの状態は気になる。予防整備として簡単に以下の作業をした:

この2か月間には数回のみ空中で始動させたが、調子は良かった。今回もエンジン始動は問題なく、空ぶかしの後にやはり圧縮比を見たところ、約900kPaで、1号機よりは良好だ。こちらのピストンにも縦傷がついているが、まだ軽傷と云うべきか。


プラグは頻繁に清掃或いは新品に交換して運転してきたが、現在は元々の仕様どおりのBP4HSで、かなり燻っていた。


キャブ上部燃料溜りの流量調整膜は少し歪んでいた。こちら外側=大気圧側


硬化している感じではないが、歪は感じられる。内側=燃料溜り側

念のため調整膜とガスケットは新替した。ガスケットにはシリコーングリスをごく少量塗布した。

燃料ポンプ部を開けたところ、燃料流路に塩の析出がある。これだけあると、燃料に海水が混入したのだろうと想像する。


本体だけでなくポンプ膜、ガスケット、蓋まで、かなりの析出状態だ


ガスケットには蓋の痕=各部を仕切る線=がはっきり残り、ここから海水が滲込んだようには見えないが、断言は出来ない。


水洗いして歯ブラシで擦り、析出塩は簡単に取除けた。


ついでの事に、チョークバルブ軸とアクセル(バタフライバルブ)軸を取り外してシリコーングリスアップをした。これはアクセル軸。バタフライの切欠きが小さい方がアクセル用。

以前にも紹介したが、チョークバルブ軸の先端は、ばねと鋼球とでクリックストップする構造になっている。部品を無くさぬように注意が肝要だ。


浸水予防のため、ポンプ膜とガスケットも交換し、邪魔にならぬ程度に液体ガスケットをごく少量塗布して組付た。


2号機も同様に水密検査をして空気漏れの無いことを確認した。


これまでまあまあ調子の良かった2号機だが、いじったことで却って調子を壊していないことを期待して今後の遠征に備えている。

以上


Blog 第41回 キャブレタ整備 終り =小坂夏樹=

Blog 第40回  燃料タンクキャップ、 ブレードフィッシュ=小坂夏樹=Fuel Cap, BladeFish5000

2016年09月08日 | マニュアル
このところの余りの暑さでアクアスクータをいじる気力も失せ、ブログ投稿するほどの情報が無いまま時間が経過してしまったが、たまには更新をして行きたい。

1、燃料タンクキャップ
殆どのアクアスクータには無関係と思うが、現在使用中のAS650の1台はタンクが殆ど光を通さず、太陽光に透かして見ても燃料残量が全く分からない。Comer社に製造が移管された直後の製品なので、一時的に材料規格が異なっているのだろう。
この1台を離島で頻繁に始動停止を繰り返して長距離移動すると、ガス欠するのではないかと不安になることがある。朝使った分の燃料補充を忘れたまま午後になって出漁した時には、途中でそれに気づき、ボードに載せて点検しながら低速で戻った。上陸して見たら、実際殆どガス欠寸前だったので、冷や汗ものだった。
この1台はタンクを交換するのが最良だろうが、費用も掛かり面白くない。以前紹介したエアタンク覗き窓の様な物を取付たくても膨張で圧力がかかることもあり、安全性に不安がある。

そこで考えた末、キャップに小細工をしてみた。ごく単純なことで、キャップの中心部を透明なアクリル板にしただけだ。







この場合は古いスノーケルを切取ってエポキシ接着剤で円板を固定しただけだ。昔の物は細いスノーケルだったので、こんな小さな窓になってしまったが、キャップの中心部を取除いて円板をはめるとか、或いは円板を接着するだけで十分だろうと思うが、接着剤は吟味する必要がある。


逆さにして一晩置き、燃料が漏れないことを確認した。

これで海上でも、運転中でも、本体を傾けてみれば残量が分る。

本機のように全く残燃料が見透かせないモデルは少ないようだが、こんな手もあることを紹介した。

なお、私は離島では魚を探しつつ、最大でも2km程のポイント往復に止めている。それは体力的な問題もあるが、それ以上にアクアスクータの信頼性と走行可能距離の制限があるからだ。
信頼性はさておき、燃料に関しては、過去のイタリア現地での投稿を見ていると、タンクの上に塩ビ?パイプを四角に巡らせて補助燃料タンクにしている場合がある。多分500cc以上もあるのだろう。
そんなことで、最近は予備燃料をボードに載せて置くことが多くなった。以前はプラスチック燃料瓶があったが、廃止されてしまい、ペットボトルは漏れや変質などの問題が云々される。そこで、現在使用中の物は、ステンレスの燃料瓶500ccだ。海水では少し錆びる程度だが、プラスチックのキャップが紫外線で劣化する心配もあり、袋に入れている。




なお、最近聞いたところでは、沖合2kmに良い根があるが、泳いでいくのが大変だからとアクアスクータを購入した若い仲間が居る。本ブログを見て、プラグの予備を携行するなどしているが、新品でトラブルも無く、快調に使っている。しかし時によってはこれを使っても潮流で帰路が大変だという。もしそんな所でトラブった場合には、ボードなどが無ければ大変な抵抗で、戻るのも難しくなるだろう。流れが無くてさえ、途中で捨てて泳ぎたくなるという仲間は多い。いつも繰り返しているが、ボードなしで長距離移動するのは避けるべきだ。ボードは嫌だという場合は、表面が平らで、両手で支へれば何とか水面上に保持してフィンキックが出来るような形状の梵天を選ぶと良い。



2、ブレードフィッシュ実戦
以前仙台のスクーバオーソリティで体験利用させて貰ったことのある、水中スクータのブレードフィッシュ5000型を実戦で使ってみた。実はアクアスクータが始動できず、やむなくこれを試したと言った方が正確だ。これはリチウム電池で駆動する電動式の物で、2時間程度は持続運転ができるという。重量は4.5kg程度で取り扱いは楽だが、運転中は常に左右の親指でスイッチを押していなければならない。









結論としては、やはり実用には厳しすぎると云うことだった。運転スイッチで3速を選べるのだが、7kgのウエイトベルトを含めたフル装備で、ボディーボードを曳いていると、最高速にしても泳力の無い私より遅い。遅くても距離を伸ばせるなら悪くないのだが、フル充電状態でアカハタを狙い発進・停止を繰り返したところ800m程度で放電停止してしまった。
私としてはボードにブレードフィッシュを載せて曳航し、アクアスクータがトラブった場合にはこれと足を併用して戻るという運用を想定したが、現実的とは言えないようだ。
ブレードフィッシュは新型が発売・発表されているが、電池の容量などが特段増えた訳ではないから、効率が改善されたとしてもそれ程多くは期待できないと感じる。
海水浴などの遊び?で使うのが適当と思う。

結局は、今まで通り、ボードに動かないアクアスクータを載せ、自分も半身を預けてフィンキックするしかないようだ。

以上


Blog 第40回  燃料タンクキャップ、 ブレードフィッシュ 終り =小坂夏樹=