Aquascooter Maintenance for Spearfishing アクアスクーターで魚突き 全76回

使いこなそう、アクアスクーター整備ノートby KosakaNatsuki

**全76回で終了済み**

Blog第34回 圧縮比と火花電圧、プラグ再考 など =小坂夏樹=Compression Ratio & Necessary HT

2016年03月16日 | マニュアル
圧縮比というものを初めて計測した。
このところ気になっていたエンジン圧縮比を測ってみようと、半ば無駄とは思いながら圧縮計・コンプレッションゲージを購入した。送料込みで2000円未満の怪しげな物だが、安心料としては悪くない感じだ。 
良い混合気、良い火花、そして良い圧縮を「エンジンの3要素」というらしいが、これで本機の状態が判る筈?・・・・だ。

清掃・整備をしたスクータのプラグ孔に捻じ込んで15~20回もロープを引くと、普段使ってきた主機(1号機)は700kP(≒7kg/平方cm)このところ頻繁に使う予備機が800kPあたり迄上昇した。標準的な使い方は知らない。

主機


こちらが予備機


実はこのゲージの取説は中国語だけで、数値に(PSIで)触れてはあるがエンジン毎に違う筈で、内容が理解できない。
仲間の自動車整備士のスクータは、スーパーマグナムで11kg、650で8kg程度だとのこと。また、スロットルを全開にして計測するとのことだったので、やり直してみたところ、僅かに増加するようだった。ロープを何度も引く内に潤滑不足にならぬか少々心配になり、オイルを少量滴下して更に繰返したところ、予想通りぐっと数値が上がり、予備機の場合は11kgを超える勢いとなった。この数値は始動・燃焼中と違い、オイルの封止効果で得られたもので現実的なものではないだろう。
ここでネット情報を探すと、計測は暖機後にするべきらしい。そうか、金属部の熱膨張など考えるとそんな事だろうが・・・・単なる確認としては今回のやり方で充分だろうと、余り詳しく考えるのはやめた。だいたい、始動させようとするときはいつも冷機時だ。
当の整備士は、ロープを引く力で本機の圧縮圧が判るという。左手で簡単に引ければどうだとか、慣れているらしい。

主機も予備機もピストンに傷がついたものだが、これで性能劣化は大したことは無いと結論付けた。
こうなると、このところ不調になっている主機の原因究明は別途続けなければならない。




火花電圧の確認=仲間の場合
ところで、1年振りで仲間のスーパーマグナムが不調になっているというので、これから何が飛び出してくるか原因究明が大いに!楽しみだ。貰った写真などを紹介する。

まあ当然ながらまずはプラグを見たら写真の状況だという:
仲間内ではイリジウムプラグが主流で、1年以上も交換なしに使っている。
写真は以前紹介したものと同じ??物か? 


これは新品のプラグ 接地電極の割目と細い中心電極で火花が飛び易いということだろう。


1年以上使った物を溶剤とブラシで掃除した。実地にも、頻繁にプラグは掃除しているという。
接地電極は凹形に摩耗している


今回は火花が弱いとの印象を持ったので、放電距離(ギャップ)を確認したという。
これは低価格のスパークテスタ((株)ストレート)


放電部を拡大すると円錐形の電極間に青白く円弧状の火花が飛んでいるのがはっきり見えるが、その距離が約10ミリだ。15ミリ程離してしまうと放電しないという。電圧目盛がついていて、それによればこの時≒20kVということになる。


良い火花という点からすれば、以前にも記したがプラグの電極間で火花が飛ぶだけではあまり意味が無い。燃焼室内は高圧ガスになり、火花放電に必要な電圧が高くなるからだ。
このことは、デンソーのHPの「プラグの基礎知識」という項で簡単に説明されているのだが、実際にどれほどの値が必要かなどと言う事は表示されていない。

そこでネット頼りであれこれ検索すると、「気圧を高くすると火花電圧も高くなってしまう」関係を簡易的に示した Paschen(パッシェン)のカーブというのがあった。
そのカーブに、火花ギャップを1mmとして、常圧の時と、圧縮した時の数値を(私なりに)書き込んでみたら、こんな関係になった(両対数表示)

つまり、1気圧の窒素(空気)中で、1ミリギャップに飛ばすには3kV程度必要だ。しかし10気圧になると30kV程度はないと火花が飛ばない。
逆にこの電圧があれば、1気圧なら10ミリは飛ぶことになる。そこで、仲間のスクータの高圧出力は問題ないということになる。従って、当人は不調原因の追究ををさらに継続しなければならない!


以上仲間の作業と私の勉強とごちゃまぜで少々面倒なことをしてみたが、単に10倍の電圧が必要だと読み取るだけで十分だろう。

現実のプラグギャップは0.5~0.8ミリなので、5~8ミリ離して火花が飛べば、燃焼室内でも十分飛んでいると考へられる。また、混合燃料ガスの中では更に火花が飛びやすくなるという。そこで私なりには、5ミリ離して火花が飛べば問題ないと思う。

銅線を尖らせて、向い合せただけだが、私のスクータも以前確認した時に10mmは火花が飛んでいたので、こちらも高圧は問題ないと安心した。

ついでながら、放電電極の形も問題で、Paschen カーブは平面電極に尖った電極を対向させている?らしい?が、正確なところは解らない。通常は同じ電圧でも尖った電極同士が最も放電し易く、球状にしてしまうと放電しにくい。上記のスパークテスタの目盛に違和感があるのはそこら辺りが影響しているのかもしれない。

そんな理由から昔はバイク・自動車マニアがプラグの電極を尖らせたり、刻みをつけるなど、いじる事も多かったようだ。但し、電極の耐久性は悪くなる。
イリジウム型などはその替り電極材料を耐久性の高いものにしている。


スパークプラグの扱い方
ここまでで、たまたまエンジンの三要素のうち二つに関して私なりに理解が進んだ気になり、調子に乗って書いてきてしまった。
しかし、私の場合は仲間に比べてプラグの耐久性が悪過ぎる、この際何とか改善出来ないものか。1個数百円とは言え、月例の遠征の都度新替しなければならないのは面白くない。清掃することで再利用に問題なければ毎回やってみよう。
「どんなに清掃しても新品より絶縁性能などは劣る」と30~40年前に自動車技術者から聴いた記憶があるが、掃除して取敢えず始動できるだけでも有難い。

そうだプラグの清掃についてデンソーのHPでは、金属ブラシを使ってはいけないとあったことを思い出した。それは金属が削れて碍子に附着し却って漏電してしまうからだ。そこで、試しにサンドペーパーではどうなのだろうと、ペーパーを細いリボン状に切取って擦ってみた。なかなかきれいにならず電極が邪魔なので、曲げ起こして磨き、曲げ戻してみたのだが・・・・露出した碍子部分はかなりきれいに、アルミナの白地が出てきたのだが、奥まった部分や細かな間隙はどうしようもない。しかも接地電極に工具の傷が派手についてしまった。

これでは傷で尖った部分で不正規放電が起き易いかもしれない。銛や刃物にこのような傷=切欠があると、そこから折れやすいが、電気の方はそこに電荷が集中して放電し易い・・・・奇妙な符合に苦笑いだ。どちらの場合も傷を滑らかに削り直せばなんとか改善するはずではあるが・・・・

どうしたものかとまたまたネット頼りで検索した。今どきのプラグは白金だのイリジウムだの使ってメンテナンスフリーに近いせいか、記事が少ないのだが、バイク業者の詳しい情報があった。
正に心配した通りの不正規放電の写真まで表示されている。
これまで私のいい加減なプラグの扱いや写真を何度も投稿してしまって本当に申訳ないのだが、それらはさらりと忘れてしまおう。

一例として、こちらの“オーセンティック・モーター”という業者のHPが解り易い:

“Authentic Motor Service スパークプラグのメンテ”

http://authentic.moo.jp/main/archives/2012/06/24000619.html

陸上なら1000kmも走れるようなプラグだが・・・・HPを読んでいくうちに、苦労なしで良い始動性が得られるなら、毎回交換した方が結局得か、とも思へてきた。諸兄はどう考えるだろうか。仲間たちの様に、イリジウムプラグで長時間使えるなら最善だが、私の場合はどっちにしても使いこなせない。そこにそもそも何らかの、根本的な不調原因があるのだろうか。

プラグなどはバイクの整備にも熱心で、両棲類というか水陸両用?!の諸兄には、常識以前の問題かもしれないが、こちら門外漢には、見た目で判断できそうな部品なのになかなか厄介なものだ。



引紐取付位置再考
数か月前に大量の獲物を曳いて運転したところ、本機の姿勢が上向きになって空気を吸込気味で、効率が落ちる経験をした。そこで引紐をプロペラの水流入口に取付けた。
しかし常に本体が沈み気味になるし、滅多に大漁と言う事も無く、やはり当初から紹介してきた、標準的な上部タンク取付ブラケットに戻した。これは各自の体の状態や好みにより変わるから、気になる向きはあれこれ試してみればよいだろう。

別にどうと言う事の無い、適当な紐を縛り付けるだけで構わないのだが、あまり細いと動きにつられて燃料コックなど他の部分に引っ掛かる。

春先の海況悪化が余りにも頻繁なので、遠征を当分延期し暇に任せて以上まとめてみました。


Blog第34回 圧縮比と火花電圧、プラグ再考など 終り=小坂夏樹=



Blog 第33回 遠征での使用・梵天ロープ取回し=小坂夏樹=Float Rope Arrangement

2016年03月05日 | マニュアル

遠征での本機の調子と事後整備
2月の小笠原遠征で「排気ホース式アクアスクータ」2台を持って行ったが、1号機(主機)がさっぱり使えず、調子が良かった2号機(予備機)ばかりを10日に亘って使用した。
しかしいつもの様に問題もあり、
①曳航したボードに載せておいたにも拘らず水面で始動出来ずクランク室に少量浸水していたことがあった。空気ポンプで排気ホースから加圧し、プラグ孔から漏れているらしいと気付き、プラグを締め直した。何度もプラグを交換したり点検した過程で充分締付しなかったかもしれない。
②短時間停止しただけなのに水面で始動出来ず、ボートに乗船して、空中で試したら、何事も無く始動したことがあった。

排気ホース
これまでも排気ガスを自分が吸ってしまうという悩みを紹介してきたが、これも現地イタリアの真似で、ホースを短く切り、本体スノーケル上の方で横向きに排気してみた。以下の写真だが、実際には、結束バンドに加えてビニテープでホースが回ってしまわぬよう押へている。



現場で切取っただけだが結果は良好で、自分が排気ガスを吸ってしまう事はほぼ無くなった。
心配した廃液は、自分には掛からないが、やはりホースから飛散し、またホース伝いにどろりと垂れてくる。赤旗にも掛かってしまう。その上、陸上でうっかりすると、傍の車や壁に飛び散る廃液が附着してしまうから、向きを考えて始動させる必要がある。
一応このままで充分使い物になると私は感じているが、今後はホース端の形状・位置を改善、或いは気水分離缶を途中に設けるなどを検討したい。

そもそもこうした排液が排気口から海中に放出される事自体が問題だが、ホース式にすることで、より一層目立ってしまう。



マフラ内廃液
10日間使用した予備機を持帰って始動したところ、このような、水と緩い粒状の残滓が出てきた。まあこれは正常な範囲だろう。


排気ホースからガソリンを100cc程注入してマフラ内を濯ぎ、排出したところ


内部にはかなり残留しているらしく、高低差をつけておくとどろりとした廃液がまだ出て来る。100cc程度のガソリンでは不十分というか、時間を掛けてもっと濯ぐべきらしい。



20時間程度使用したプラグの状況も点検 きれいではないが、いつもこんなものだ。BP2HSを使用 


パーツクリーナで吹いてブラシで擦ったが、殆ど汚れは除けない。






こちらは調子の悪く使用できなかった主機だが、自宅では簡単に始動した。正に本機の不安定さを印象付ける状況だ。当然ながらマフラは空っぽで、このように吹かしても廃液はまだ出て来ない。


その新品だったプラグはかなり汚れていたが、燃焼が不調だからこの状態になり、更に始動性が悪くなったのだろう。


この場合は同様にクリーナで吹いてブラシで擦ったところ、かなり汚れを取除くことが出来た。プラグが焼ける程の運転が出来なかったから当然か。


この主機については、キャブの状態など今後点検しなければならない。



梵天ロープの取回し
本機の運転中は、銛を脇に挟んだりハンドルと一緒に掴んで移動する。この時、銛と梵天或いはボードを繋ぐロープは、流されて途中で折返してくる。これがなかなか悩ましく、時によっては捩れたり、絡まってしまう。テグスは元々の巻きぐせがあるので折り返しになると特に絡みやすいため、私の場合はテグスを銛の手元5m~7mだけにしている。
また、ロープの後端には戻り止めを付けて梵天に繋ぎ、獲物を通しておくが、走行すると兎角獲物がくるくる回転し、手元のテグスやロープに巻付いてしまう。
これを防ぐには、ロープを留めるフックを増設し、獲物を通したら、戻り止め部のロープを引掛けて輪状にしてしまう。
戻り止めが無く、また輪状にもしなければ、走行と共に獲物はロープの折り返し点まで押し戻されてそこでくるくる回転し、ロープ全体がよじられてしまう。

ところで、最近になって仲間の梵天ロープが矢鱈と捻じれてしまうとの話があった。私と同じポリエチレンの三打ロープだけを使っても、折り返しで捻じれてしまうという。
そんな話をしているうちに、別の仲間の方式が好調だと分り・・・・真似したという。それは、「遊動式梵天ロープ」というべきものだ。勝手に紹介してしまうと:


銛は梵天ロープの先端に接続するが、そのロープにゆるい摺動環というか遊動環=スナップ環などを通して本機を繋ぐ。始動して走ると水の抵抗で梵天がひっぱられ、ロープは一杯に伸びた状態になる。ここで停止し銛を掴んで潜ればロープは梵天を曳きながら遊動環を滑ってくる。スクータの抵抗は掛からない。ただし走行するときは銛は遊動環まで引かれてしまい、思うように動かせないので、適当な位置に結びこぶ或いはストッパーを設けて抱えた銛に梵天の張力が掛からぬようにする。
普通の三打のPEロープでも構わないが、チューブに通した(高価な?)ロープだとより滑りが良いと云う。

使い心地は大変良いとのことだったが、この方式だと超大物を突いた時に先に本機が引込まれてしまわぬよう、遊動環から本機までのロープ長を長くする必要がありそうだ。しかしそうすると絡まったりしそうで厄介な感じがする。また、癖が付くテグスは使いづらそうだ。




アクアスクータの発送
近年は遠征先などへ道具を送ろうとして、内容物を「潜水用具」と言ったが最後、何だ何だとしつっこく詮索される。
本機の航空輸送は不可で船輸送が頼りだ。ところが、最近船便しかない離島宛であるのに、郵便局で「アクアスクータ」と云ったら[電池は?]とか、[燃料は?]とか更にうるさい。[スクーバのタンクは駄目だ]とか余計なことも言う。空気タンクが輸送中に爆発した??ことは寡聞にして知らぬが、禁止品目は一覧表になっているので、該当品があるかどうか申告さえすれば事足りる筈だ。
ところが窓口では[内容物を全部!言へ]とまで要求された。馬鹿じゃなかろうかと呆れながらロープだゴムだ銛先だと言いかけて、「30点もの用具が入っているのだから冗談じゃない」と途中で文句を言って切上げた。その後集荷局から更に確認の電話まで来て、今度ははっきり抗議して済ませたのだが、遠征前に気分を悪くした次第だ。
この様に「潜水用具」という表示には異常に反応するから、その表現をせず内容物は例へばポンプとかモータとかにしておいたほうが良さそうだ。エンジンはモータとも言うので、偽りではない。勿論燃料は完全に抜いておかぬと何かあった時には問題にされてしまうだろう。
なお、ヤマトは元々航空便を使わず、こんな異常な態度は取らないが、宅急便には重量と寸法制限がゆうパックより小さいという問題がある。ヤマト便は制限なしで安いが、こちらは所要日数が多くなる。


以上、遠征の疲れでぐったりと休養中につき、不要不急の情報を投稿しました。


Blog 第33回 遠征での使用・梵天ロープ取回し 終り  =小坂夏樹=