八丈島遠征での予備機の運転とその後の整備について
今回は前月の遠征時に不調で使えなかった私のAS650(主機)を試す予定だった。しかし前回に続く大漁への期待から気が変わり、当時安定していた予備機のみを持参した。ところが・・・・今回はその予備機自体が不安定で常に不安を抱えながらの使用だった。
なお、10月末からの今回遠征の漁獲は、直前から黒潮が直撃して水温が上昇してしまい、押寄せていたカンパチは殆ど姿を消していた。それでも力のある若手はそこそこ突いていたが、私はスクータで走り回り散々探したものの小形をばらした程度の情けない状況だった。
水温変化があると1週間ほどは魚が姿を消す事が多いが、文字通りその他の磯魚の漁獲も低調だった。
さて、不調の状況だが、同機を水面に浮べ、或いはボードに載せて魚を突き、少々時間がたつと始動出来ない・・・・何度かこんな目にあい苦労した。途中で思い出し、チョークを掛けて一旦始動音を聞けば始動出来るようになった。それならと言うので、陸上で L ネジを調整して何とか正常になった。それでもたまに同じ事が起きる。
元来この予備機はキャブを整備し、調整膜を交換しても L ネジ位置は正規の2回転でなく、3回転戻したあたりが最適位置だった。半年前に交換したばかりだが、一応この調整膜を疑いつつ使用したのだった。
帰宅後の整備としては、先ずプラグを抜いて本体を反転し、ロープを何度か引いてクランク室の浸水が無いことを確認した。
そのままロープでピストン位置を下げ、プラグ孔から燃料を300cc程注入すると、マフラへ流れていく。そこでマフラ内を洗う気持ちで本体ごとひっくり返したりしながらガシャガシャ振って排気口から排出する(私の場合はホース排気式なのでホース伝いだが)。すると燃料に混じる水分は無かったが、この様に粒状になった残滓が沢山出てきた

粒状と言っても豆腐より軟らかい塊だ

この予備機は今までマフラを分解して内部を掃除したことは無いが、前月の遠征後にもガソリンを使った洗浄を済ませている。今回は7日に亘って使用したが、それだけでこれほどの残滓が溜まっていた。水分が無かったということから、現地使用後の廃液の排出は問題なかったが、固形分(残滓)は内部に付着していたという事になる。
これに関して混合オイルによって残滓に差があるのか気になってきた。離島の仲間はこんな問題は無いものの、チェンソー用の最高級品を使ったり、あれこれ試しているという。
オイルについては、最近見た製造国イタリアのネットフーラム PescaSubApnea の記事では、合成オイルが最良で、次に合成と鉱物油の混合品が良く、鉱物油はその次の選択肢だとのこと。しかし現実には原料油の明示がないエンジンオイルが多いようだ。私の常用品はヤマハ青缶だが、単に引火性を示す「第4類第3石油類」としか記されてない。
次回海で使った後は、マフラを分解して内部がどう汚染?されているのか点検する気になっている。
次に、今回は始動ロープが軽く引ける感じだったので圧縮が漏れているのかとの疑問があった。そこで試しにプラグ孔にアダプタを捻じ込み、タイヤポンプを接続してロープを引いてみた。

このポンプは昔の乗用車予備タイヤ用だ。
60cm程の長いホースで接続してあるからピストンで加圧される燃焼室の実質容積が増えてしまい、圧力を正しく測るというには程遠い。また圧力計にピーク保持機能が無いので感じを見るだけだ。
針の振れは目視1kg程度で、先月オーバーホールした私の主機とほとんど同じだった。そちらはピストンが傷付いたままなので、どちらも怪しいと言えばそれまでだが、まあ2台共普通の圧縮比が得られていることにした。
また、始動して本機の排気ホースを潰して排気抵抗を上げていっても、エンストしづらい。これらのことから、圧縮圧は一応OKとした。
なお、コンプレッションゲージなどという名前でエンジン圧縮圧計がある。前回第28回にも写真を載せてある。値段も2000円程度からなので、興味のある人は検索してみると良いだろう。
後はキャブの燃料調整膜を確認だ。
早速本機のキャブを開けてみたところ:
この調整膜は Walbro 純正品だが、半年前に交換し、海での使用は11日間のみなので、きれいで変形も無い。不調原因とは全くの濡衣だった。

内面も、燃料だまりもきれいな状態で問題ない。

念のため上記の L ネジ適正位置に影響するはずの連結稈高さを僅かに高くしてみた。キャブの縁と面一ではあるが、定規で探ると微妙に当りが増えた感じだ。

ところで、私は Walbro 純正品とヤフオク Ponkichi173 から入手した互換品とを適宜使っているが、今まで性能の違いが有るかどうかは気にしてこなかった。差が無ければ当然ながら安価な互換品を使うだろう。

この写真は、純正品は短期間だが使用した物で、互換品は新品だ。純正品の方がゴムの表面が滑らかで、膜面が立体的に見える。耐久性に影響しそうだがはっきりしない。今後はこうした点も含めて検討したいと考えている。
以上でキャブと燃焼室の点検整備を終了し、いつもの様にエルボに液体ガスケットを塗布してタンクを組付けた。陸上での始動は問題ない
その他
プロペラシャフトシール12x19x5mmについて

Blog第26回の交換部品表に示したように、これは簡単な部品の割に国内ではノリモノランドの純正品しか入手できず、失礼ながら私にとっては異常に高価なものと感じる。そこで、代理店として在庫を抱えて苦労しているに違いない同社には申訳ないが、ネット検索で海外品を試してみた。シャフトを押えるコイルばね=Garter Spring 付の物だ。ガーターと言ってもあらぬ連想を呼ぶ様な物ではなく、輪状に巻いたバネで、専門用語というところ。
シールは旧品を除き1台に2個必要なので仲間の分も考えて10個購入し、送料800円込で約2800円だった。1台分で600円以下だ。仮に2個のみ購入すると送料が同じとして1200円程の計算になるだろう。なお、ドル建てでレートは121円だった。
各自の判断次第だが、ここでも純正でなく、市販の同等品で代替する手のあることを紹介した。
以上、取り留めの無い話題になってしまったが、悩み多きアクアスクータ所持者との情報共有になれば幸いです。
Blog第29回 AS650の使用と事後整備 終り =小坂夏樹=
今回は前月の遠征時に不調で使えなかった私のAS650(主機)を試す予定だった。しかし前回に続く大漁への期待から気が変わり、当時安定していた予備機のみを持参した。ところが・・・・今回はその予備機自体が不安定で常に不安を抱えながらの使用だった。
なお、10月末からの今回遠征の漁獲は、直前から黒潮が直撃して水温が上昇してしまい、押寄せていたカンパチは殆ど姿を消していた。それでも力のある若手はそこそこ突いていたが、私はスクータで走り回り散々探したものの小形をばらした程度の情けない状況だった。
水温変化があると1週間ほどは魚が姿を消す事が多いが、文字通りその他の磯魚の漁獲も低調だった。
さて、不調の状況だが、同機を水面に浮べ、或いはボードに載せて魚を突き、少々時間がたつと始動出来ない・・・・何度かこんな目にあい苦労した。途中で思い出し、チョークを掛けて一旦始動音を聞けば始動出来るようになった。それならと言うので、陸上で L ネジを調整して何とか正常になった。それでもたまに同じ事が起きる。
元来この予備機はキャブを整備し、調整膜を交換しても L ネジ位置は正規の2回転でなく、3回転戻したあたりが最適位置だった。半年前に交換したばかりだが、一応この調整膜を疑いつつ使用したのだった。
帰宅後の整備としては、先ずプラグを抜いて本体を反転し、ロープを何度か引いてクランク室の浸水が無いことを確認した。
そのままロープでピストン位置を下げ、プラグ孔から燃料を300cc程注入すると、マフラへ流れていく。そこでマフラ内を洗う気持ちで本体ごとひっくり返したりしながらガシャガシャ振って排気口から排出する(私の場合はホース排気式なのでホース伝いだが)。すると燃料に混じる水分は無かったが、この様に粒状になった残滓が沢山出てきた

粒状と言っても豆腐より軟らかい塊だ

この予備機は今までマフラを分解して内部を掃除したことは無いが、前月の遠征後にもガソリンを使った洗浄を済ませている。今回は7日に亘って使用したが、それだけでこれほどの残滓が溜まっていた。水分が無かったということから、現地使用後の廃液の排出は問題なかったが、固形分(残滓)は内部に付着していたという事になる。
これに関して混合オイルによって残滓に差があるのか気になってきた。離島の仲間はこんな問題は無いものの、チェンソー用の最高級品を使ったり、あれこれ試しているという。
オイルについては、最近見た製造国イタリアのネットフーラム PescaSubApnea の記事では、合成オイルが最良で、次に合成と鉱物油の混合品が良く、鉱物油はその次の選択肢だとのこと。しかし現実には原料油の明示がないエンジンオイルが多いようだ。私の常用品はヤマハ青缶だが、単に引火性を示す「第4類第3石油類」としか記されてない。
次回海で使った後は、マフラを分解して内部がどう汚染?されているのか点検する気になっている。
次に、今回は始動ロープが軽く引ける感じだったので圧縮が漏れているのかとの疑問があった。そこで試しにプラグ孔にアダプタを捻じ込み、タイヤポンプを接続してロープを引いてみた。

このポンプは昔の乗用車予備タイヤ用だ。
60cm程の長いホースで接続してあるからピストンで加圧される燃焼室の実質容積が増えてしまい、圧力を正しく測るというには程遠い。また圧力計にピーク保持機能が無いので感じを見るだけだ。
針の振れは目視1kg程度で、先月オーバーホールした私の主機とほとんど同じだった。そちらはピストンが傷付いたままなので、どちらも怪しいと言えばそれまでだが、まあ2台共普通の圧縮比が得られていることにした。
また、始動して本機の排気ホースを潰して排気抵抗を上げていっても、エンストしづらい。これらのことから、圧縮圧は一応OKとした。
なお、コンプレッションゲージなどという名前でエンジン圧縮圧計がある。前回第28回にも写真を載せてある。値段も2000円程度からなので、興味のある人は検索してみると良いだろう。
後はキャブの燃料調整膜を確認だ。
早速本機のキャブを開けてみたところ:
この調整膜は Walbro 純正品だが、半年前に交換し、海での使用は11日間のみなので、きれいで変形も無い。不調原因とは全くの濡衣だった。

内面も、燃料だまりもきれいな状態で問題ない。

念のため上記の L ネジ適正位置に影響するはずの連結稈高さを僅かに高くしてみた。キャブの縁と面一ではあるが、定規で探ると微妙に当りが増えた感じだ。

ところで、私は Walbro 純正品とヤフオク Ponkichi173 から入手した互換品とを適宜使っているが、今まで性能の違いが有るかどうかは気にしてこなかった。差が無ければ当然ながら安価な互換品を使うだろう。

この写真は、純正品は短期間だが使用した物で、互換品は新品だ。純正品の方がゴムの表面が滑らかで、膜面が立体的に見える。耐久性に影響しそうだがはっきりしない。今後はこうした点も含めて検討したいと考えている。
以上でキャブと燃焼室の点検整備を終了し、いつもの様にエルボに液体ガスケットを塗布してタンクを組付けた。陸上での始動は問題ない
その他
プロペラシャフトシール12x19x5mmについて

Blog第26回の交換部品表に示したように、これは簡単な部品の割に国内ではノリモノランドの純正品しか入手できず、失礼ながら私にとっては異常に高価なものと感じる。そこで、代理店として在庫を抱えて苦労しているに違いない同社には申訳ないが、ネット検索で海外品を試してみた。シャフトを押えるコイルばね=Garter Spring 付の物だ。ガーターと言ってもあらぬ連想を呼ぶ様な物ではなく、輪状に巻いたバネで、専門用語というところ。
シールは旧品を除き1台に2個必要なので仲間の分も考えて10個購入し、送料800円込で約2800円だった。1台分で600円以下だ。仮に2個のみ購入すると送料が同じとして1200円程の計算になるだろう。なお、ドル建てでレートは121円だった。
各自の判断次第だが、ここでも純正でなく、市販の同等品で代替する手のあることを紹介した。
以上、取り留めの無い話題になってしまったが、悩み多きアクアスクータ所持者との情報共有になれば幸いです。
Blog第29回 AS650の使用と事後整備 終り =小坂夏樹=