Aquascooter Maintenance for Spearfishing アクアスクーターで魚突き 全76回

使いこなそう、アクアスクーター整備ノートby KosakaNatsuki

**全76回で終了済み**

Blog 第24回 オーバーホール②=組立  =小坂夏樹=Overhaul②

2015年07月30日 | マニュアル
1、小端部ピストンベアリング破壊とピストンの損傷

苦手な機械いじりだからと言訳したいが、誠に効率悪くオーバーホールをしている。自動車整備業などの者なら、数時間で済ませる範囲だろう。

前回記した、分解時点で気が付いたピストンの傷については、気休めと思いながらも紙やすりで縦傷を少し落してみた。

その過程で傷状態をよく見ると、縦傷には長短があり、所々に点々と傷があるので、単にシリンダと擦れたというより、何らかの異物が混入して引っ掻いたという感じがしていた。



サンドペーパーで少々磨いた状態



以前ピストンリングを折ってしまった事が有るので、これはいじりたくなかったのだが、ペーパーの削り屑でじゃりじゃりするから、外して掃除・注油し、同時にピストンヘッド面も今頃になって清掃した。



すると、何とまたびっくり、カーボン堆積で隠れていたピストンヘッド表面に、細かな傷が沢山あるではないか!

傷をよく見ると、砂などではなく、硬く、尖った物質=金属によるものだと推定できる。


初めからピストンヘッドを清掃し、観察していれば判った筈だが、このことから、
①過負荷または燃料不良で潤滑不良を起こし、
②コンロッド小端部ベアリングが破壊、
③その破片が燃焼室とピストンスカートを傷つけた
と結論した。
第16回ブログで「機械的なエンジントラブルの例・焼付?」として紹介した仲間の物と同じ破壊過程だが、こちらは程度が軽い。

それなら、破片を取除いた今、この程度の傷ならピストンは再使用して構わないではないか。
少々気になる大端部ベアリングは、簡単に外す訳にはいかないが、隙間から見る限りではきれいで、動きも滑らかだ。


これだから素人は・・・・などと笑われそうで焦るが、結局、あくまで自己使用なので、このまま組立てて様子を見ることにした。2サイクルの単純?なエンジンなのだし、再使用で大きな破壊が起きることも考えにくい・・・・圧縮比が上がらない程度の事だろうと思っている。
一方で、やはり駄目だった時の為に、ピストン・シリンダセットを新規購入しておこうとも考えている。

なお、Blog 第19回で紹介した現地イタリアの Paolo氏の 
 i lovepescasub.com   では、「ピストン・シリンダの不均一な膨張」が潤滑不良を引き起すとあった。それ故ピストン・シリンダの隙間を大きくした、それがスーパーマグナムだというのだ。




2、本機の組立


部品リスト
ここまでの本機の分解・点検で予想外の交換部品(消耗部品)が必要となり、組立に少々手間取っていた。
資金は少しでも遠征に使いたい私としては、純正部品を購入するのは非常に高く感ずる。そこでお世話になっているノリモノランドには申訳ないが、国内で互換品を安く入手しようとする。海外では安いのだが、代理店権のせいで(?)買えなかったり、送料が高過ぎたりするので、少々厄介だ。
そんなことで、これまで手当してきた、私なりの互換部品リストを作っているが、こんな感じだ:




宣伝費は貰ってないが、通販サイトのモノタロウなどで多くは入手可能だ。また、自動車修理業界などでは部品補給ルートから簡単に入手出来るらしい。

この中で:
Oリングは内径で表示していて、その選択は以前にも記したが、私には解らない項目だ。で、ネットでのカタログ・説明を見ているうちに最低2%程度は引延ばして装着するらしいことが解った。そこで、Oリング溝の直径より5~10%内径が小さい物を適当に選んだ。あまり引延ばしておくと、ひび割れが生ずる可能性もあり、心配は残る。しかし、ゆるいと嵌める時にOリングがはみ出して浸水の原因になることもある。それ故、これらを諸氏の参考にして貰うには怪し過ぎる気がする。

小端部のピストンベアリングは外輪(シェル)付が長く使われてきたが、2010年型からは裸の、保持器付という形に代わっている。寸法は同じだが、純正品でも別々であり、共用できるのかどうか判らない。潤滑不足には後者の方が強そうに見える。

また、プロペラベアリングは外輪はすぐ見つけられるが、内輪(IR)が鍔付の特殊品であり入手できない。そのため、互換品を使うなら、本器に装着されていた内輪を再利用する。

スーパーマグナムの場合は、ピストン・シリンダの径が40ミリから41ミリに増加してピストンリングも違い、クランク+シャフトも違う。部品表からするとコネクティングロッドは共通の様だが、PescaSubApneaのフォーラムでは長さが違うとの記事もあった。クランク形状を変へたので、或いは同じコンロッドでもストロークを大きく出来たのだろうか。

このように表には怪しい点が沢山あるので、650型はともかく、他のモデルには参考にできない。各自、現物を見て選択する必要がある。


今回のAS650については、自分なりのこの表を利用し、手持ち品+業者に発注+仲間から融通…こうしてやっと交換部品が揃った。 

ピストンは残念ながら傷付いたものを再使用する。クランクシャフト前側は既にメインベアリングとオイルシールを組付けてしまってある。


後半分の、プロペラシャフト周りに封入するグリスは、粘度値がNo.1で軟らかい緑色のもの と少し硬いNo.2の白色のどちらかにするか迷っていた。



右側の小さなオイルシールは、現実にはスタータの水シールで、分解時に取外さなかったが、交換しようとしている。


ハウジング後部=プロペラ側のベアリング類は、万力とレンチのソケットをあれこれ組み合わせて圧入



スペーサ(カラー)の周りに軟らかいNo.1等級のグリスを封入



プロペラベアリングが正規の位置にあることを確認



2重のウオーターシールにはシリコーングリスを使った



保護用のテフロンワッシャを載せておく



コンロッド小端部
ベアリングの縁の割れが有ったのと反対側に往復運動で擦れた跡があり、0.2~0.3ミリ?程削れている。中心が狂って組み付けられていたのか?・・・・こんな事で良いのか少々気になるが、そのまま交換ベアリングを圧入することにした。



慣れぬ作業でおたおたしながらも、これも万力で巧くいったようだ。



ピストンの組付けは簡単 仲間に融通してもらった新品ピストンピンを使った。


シリンダにピストンを挿入 ピストンリングは2ストエンジンでは自由に回転しないよう、突起で規制している。正しく嵌っているかは、このようにシリンダをずらせて、吸気ポートから覗けば簡単だ。
ガスケットは今回1mm厚を使用した。オリジナルは0.8mmだったと思う。このガスケットは薄いほど圧縮圧が高くなるので、厚くするのはどうか。



クランク室合せ目に液体ガスケットを塗布



クランク室を組立て、高圧(CDI)ユニットは分解時のマーク位置に取付



フライホイルはメインシャフトの半月板を確かめながら嵌めた。止めネジ8mmを締め付ける時にはホイルにベルトを巻いてプライヤで押えて手掛かりとした。



この時点でCDIが機能しているか確かめるため、フライホイルに紐を巻付けて引っ張った。接続して置いたネオン管が明るく発光して一安心。



スタータプーリ軸の水シールは常に回転する訳ではないから、心配は無いと思いながら、一応新替した。装着してあったものもしっかりしている。小さなOリングがあるが、無視してそのまま再装着した。この部分はシリコーングリスを塗布



この作業中は、ゼンマイが弾け出さぬよう、気を使い、ラップで押へ、衝撃を加えぬようにしておく。


水(オイル)シールを嵌めてスタータプーリを差込んでしまえばゼンマイは安全だ。



スタータハウジングのOリングは上記の表に示した内径約95mm径ではかなりきつい感じがする。
写真内側が上記のOリングで、外側は純正品として購入した未使用品で、約100mm径だ。
私は純正品では緩いと感じているので、今回はきついと思いながらも、95mm径の物を嵌めてみた。今後時々は点検するべきだろう。




猛烈な暑さにやられたか、部品を無くしたりしてオーバーホールに手間取り、またブログが長くなるので、今回はここで中断し、次回に完了させたいと考えます。



次回はオーバーホール③で、完成状況・評価を紹介する予定だ。投稿は8月上旬に出来るかどうか。 暑さに耐られたらその他の情報も紹介したい。
以上


Blog 第24回 オーバーホール②=組立  終り=小坂夏樹=
    

Blog 第23回 AS650キャブレタ塩詰りと本体オーバーホール①=小坂夏樹=Overhaul①

2015年07月22日 | マニュアル
今月もトラブルがあり、まったくアクアスクータは油断のならない道具だと思い知らされた。
今回は長くなってしまうので、2回に分けることにし、作業内容を忘れないうちに早めに投稿することとした。本稿の続きと八丈島遠征・その他は、7月末を目標に投稿したい。

1、遠征先で始動不良=キャブレタの塩詰まり

Blog 第22回に記したように、6月の八丈島で排気ホースの接続部からAS650型に浸水してしまった。浸水は少量で、始動ロープを引くことが出来たため、上陸してプラグを外してみるまで本当に浸水なのか判らなかった。しかしその場で水抜きをし、内部をガソリン洗浄してそのまま数日に亘って使用することが出来た。これは通常の処理方法だ。

遠征終了時には内部にオイルを注入して現地に残置し、2週間後の再遠征時にも問題なく使用できた。そこで今回の水没の影響は全く無くなったと考え、再びオイルを注入して現地に残置した。

さて、更に2週間経ってまた遠征し、そのまま使おうとしたが・・・・エンジンが不調で初日は使えなかった。

症状としては、始動はするが、数秒でエンストしてしまう。1~2分後にはまた始動するのだが、やはりエンストする。暫く回転を維持することもあるが、繰返し始動しようとすると反応しなくなる。また試してみると同じ現象が起きるというもの。
プラグはきれいだが、それは燃料が充分送られてないことの証左だと見当を付けた。
そこで燃料系統の点検で、タンク内のフィルタ=つまり燃料吸込口が液面よりはみ出していないか、燃料コックが詰まっていないかなどと点検するも、異常なし。

仕方なくタンクを取り外し、キャブの点検をした。

流量調整膜を見ると正常な形状を保っており、問題ない。



キャブの混合気通路と吸気ポート(インテークマニフォルド)にも大量の塩などは付着しておらずきれいだ。





あれれ、キャブはOKだったのかとそのままキャブを取付始めたが、待てよ・・・・と、再度取外し、普通はトラブルが無いので気にしていなかったポンプ膜を念のために見ると、膜ではなくアルミ表面が異常に汚れているのが解る。慌ててガスケットとポンプ膜を取除いた状態が次の写真:

全体に汚い状態で、周りから海水が滲込んで塩が析出した部分もある。こんな状態になるまで多分半年以上点検していなかったと大いに反省した。
特に黒く変色して汚れのひどいのは、クランク室の脈動圧をキャブへ導く入口付近で、1の孔に塩が析出して通路を塞いでいた。
2の穴はめくら穴なので、塩がしっかり詰まっていたが一応機能には無関係と思われる。この穴は同じHDAシリーズキャブレタの、別の品番のキャブの為の物かもしれない。それとも、蓋の側に設けられた空間が脈動の蓄圧部の働きをし、その一部なのだろうか。私には理解できない構造だ。


この時点で、今回の「始動はするがすぐエンストする」症状の原因はこの塩の詰まりがポンプの駆動を妨げていることだと断定し、それ以上いじるのはやめて、キャブを持参の予備品に交換することとした。
ポンプの機能が低下し、燃料は僅かづつ上部燃料溜まりに送られるだけになってしまっている。そのため始動はするが、補給が追い付かず、すぐエンストする訳だ。



整備済みキャブのポンプ部アルミ表面はこのようにきれいな状態だ



キャブ交換、赤茶色に見える部分は、ガスケット自作のため型を取った朱が付着している。


キャブ交換後は水密テストをすべきだが、漏れやすいエルボはエアタンク側のみ取外したので、その部分にボンドSUを塗り、他にはシリコングリスを塗って済ませた。
一応これで調子は戻り、2日目からは正常に使うことが出来た。この脈動圧伝達部分の塩詰まりによる不具合と言うのは初めての経験だった。


2、持帰ってのキャブ点検修理

次の写真では、脈動圧は吸気ポートに接する1から2へ伝わり、3の溝形空間(蓄圧部?)を通り内部へ導かれるが、その肝心の2の孔が塩で塞がりかけていた。その元になる海水は、ガスケットの隙間から浸み込んだ可能性も否定は出来ないが、普通に考えればクランク室から来たわけで、更に途中の通路にも塩が析出しているかもしれないと心配した。しかし遠征先では魚突き優先でそこまで点検などしてられない。そのまま数日間快調に使い、今回は本機を持ち帰って整備した。なお、4は上に触れたように、3につながるめくら穴で、機能は不明。


このような塩の析出や汚れを見ると、やはり一旦水没したら、内部を徹底的に清掃した方が良さそうだ。また、海上では浸水せずとも、少量の塩分は常にスノーケルから吸込まれている筈だから、内部の点検も適度に必要と思われる。
また、汚れが内部に溜まらぬよう、間を置かずに=毎週?= ある程度運転した方が良いとも思われる。このことは、本ブログ第19回で、離島の仲間の使用法として紹介した通りだ。
本機は常に持帰り、手入れを怠らぬようすべきだと、またも思い知らされた。

キャブの修理
内部をよく見るとベンチュリ部にも少し塩が析出していたため、ニードルバルブ、バタフライバルブ軸などを外して清掃した。流水で洗い、パーツクリーナを吹付け、グリスアップなど済ませた。ポンプ部のキャブボディ表面は、下の写真程度に水ペーパーで磨き、ポンプ膜は勿論新替した。

チョークバルブ軸の動きが固かったが、これもグリスを詰替えた。この部分は使用頻度にもよるが、1年も使うとグリスが固まったり流失したりしてしまうようだ。水に漬けると滑らかに動く事が多いが、鋼球をバネで押し付けて節度を持たせているので、基本はグリス交換が必要だ。重要部分ではないが、一応気を配っている。

なお、浸水して固くなったアクセル軸を直すComer社サービスセンタのビデオを以前紹介した:
https://www.youtube.com/watch?v=PXl1obytAX4

折角アクセル軸からバタフライを外し、清掃・注油したのだから、ついでにチョークバルブ軸のグリス交換もしたら良さそうなものだと、このビデオを見ながら思ってしまう。


以上の様に、難しい整備はせずにキャブの整備は完成したものとして、これを今度は予備キャブレタとして遠征に携帯することになる。
泊りがけの遠征にはこのように、予備部品と必要な工具を必ず用意している。


本機と共に携帯すべき工具をしつっこく繰返し紹介してきたが、何はさて置きL/H調整ネジ回しは必ず本機に取付けてある。プラグレンチは、入水前に必要になることも多く、これも本体に(私の場合は取っ手に)取付けて絶対に持って行く。点火プラグは安心料とも言えるが、これらは謂わば三種の神器と言うべきか。



3、本機のオーバーホール=恐怖の残滓

このようにキャブの塩詰まりを経験して、改めてエンジン内部が気になってきた。またBlog第21回で紹介した、仲間のスーパーマグナム・プロペラシールからの浸水も気になって、分解整備をすることにした。今回のアクアスクータは、途中まで分解したことは有るが、ベアリング、シール類を交換したのは多分09年の購入以来初めてだ。

内部はきれいだと初めだけは安心したものの、分解が進むにつれて重大なトラブルが判明した。

通常通りタンクを外し、キャブレタ周りを取外す。スタータ部を外したら、フライホイルプラーを使ってフライホイルを外す。ここまでは何も異常はない。

高圧部には、点火タイミング合せ用に、初めからCDIユニットの止めネジ位置にマークが付けてあるが、更に印を付けた上で取外した。


クランク室はトラブル時の処置が効いたらしく、きれいで保存用に滴下したオイル?が排出されずに僅かに残っていた。


ピストンが露出すると、スカートに擦れ痕があり、嫌な予感がした。


ピストンの反対側をみてびっくりしたが、縦傷が走っており、もう駄目かと観念した。焼付し掛かった可能性が大だが、縦傷はひどく深くはないし、ピストンリングもシリンダ内壁もきれい、何より予備品が無いので今回はそのまま再装着しようと考えた。


ピストンが首を振っているらしいが、触った感じでは特にがたがたする感じではない。小端部ベアリングの予備も無いので、やはりこのまま再利用しようと思った


しかし仲間の強い勧めでピストンピンを抜き、小端部ベアリングを見ると驚いたことに、ベアリングの縁が割れているではないか。この事とピストンスカートの傷との間に因果関係があるのかもしれない。


ピストンピンの表面もかなり荒れている。



交換用のベアリング(10x14x10) は仲間が融通してくれるというので安心し、このベアリングを、コネクティングロッドから外そうと、レンチソケットと万力を使って押出した。
だが、作業は失敗・・・・受けに使ったソケットが小さすぎて、押出したベアリングケースがソケットに圧入された状態になってしまった。
仕方なくまたしても反対側からドライバで叩いたところ、縁が割れるが取り出せない。



結局鏨で叩き壊して取り出した。それでも、なんとかベアリングケースの状態は観察できた。


縁のひび、欠けにまで至ったとは、ひどい油切れだったのだろうか。こんな状態を見ると、乾燥目的で空回して温度を上げたり、燃料を止めて停止するのはやめるべきかと感じる。燃料が止まれば潤滑油も無くなるから、このベアリングには厳しいことになる。
チョークバルブを閉じて、濃い混合気で失火させて停止する方法は、未燃潤滑油が残ってこのピストンベアリングには良いのかもしれない。ただ、今まではプラグ被りの原因になりかねないとして私は好まなかったのだが。





こちらは取外した、クランクシャフト後側、つまりプロペラ側のベアリングやシールなど


メインベアリングは再使用可能な状態だった。オイルシールはどうせ交換だからと雑に扱ってて壊してしまった


プロペラ水シールは完全に機能しており、浸水の痕は無かったが、アルミ内面に接する側面には塩というかアルミの錆というかが付着している


専門家はドライバを突っ込んで簡単に外せるというのだが、内壁に傷をつけそうで中々シールが外せなかった。そこで、先にニードルベアリングを外せば何とかなるかと、プロペラ側からドライバーを突っ込み、ニードルベアリングを叩いたらやはり割れてしまった。以前にも同じ過ちを犯したような気がする。


そこでシールを外すために急造した道具 3ミリの棒を曲げて先端を削っただけ。初めから工夫すれば良かったのだが・・・・これで引掛けて外すことが出来た。



シールをやっと取除き、レンチのソケットを押出しピンとして、万力でプロペラベアリングを押出した。そして内面を観察すると・・・・シールが嵌る位置にドライバの傷が付いてしまった。傷を大きくしないよう、鉄丸棒を差込んで擦り、どうやら表面の傷を滑らかにした。



クランクシャフトの傷状態:プロペラ側 オイルシールの当り面に筋が入り、メインベアリング当り面は荒れている。


前側も同様だ


前側メインシャフトオイルシールも異常無く、また矢印の脈動圧の送出口はきれいで、心配したような塩の付着は無い。


前側シールは再利用可能な状態 前側用メインベアリング、右は新品



恐怖の!マフラ内残滓

マフラに廃液が溜まって、いつまでもじくじくと出てくるのは普通だ。そのせいで始動しづらくなったことはあるが、それが大した問題だとは認識していなかった。
普通はばらしても内部はきれいで、今回も無用かと思いながら、まあ折角のオーバーホールだからと、仲間に作ってもらった治具で外した。その瞬間には思わず大声を発した程の驚きだった。廃液の塊・・・・残滓が一杯に詰まっておりショックを受けた。



残滓はペースト状で、逆さにして少し垂れる程度の硬さ。周囲温度は30℃


マフラ容積の3分の2程がこの残滓で埋まっていた!こんなことは初めてで、ホース排気にしたせいかと疑ったが、手入れを怠っていたので、冬の間に徐々に付着していたらしい。これでは、排気口から僅かに浸水しても、たちまちシリンダへ達してしまい、始動不良の原因となるだろう。今回排気ホース取付部から浸水して不調になったのは、まさにこれ故だったと思われる。


ぼろきれ、ガソリン、パーツクリーナでやっと清掃


仲間が実行しているように、毎回クリーナを吹き込んできれいにした方が良さそうだ。
全体を上下逆さにし、排気口から吹込んで揺すってから捨てるのだという。


マフラのOリングはいつもの如く、塩の結晶で表面が多少凸凹している。清掃しても凸凹が残るので、交換が望ましい。予備リング手持があると勘違いしていたが、再利用するか、新たに購入するかで現在もたついている。このOリングは組立後も交換が容易なので、このまま再利用し、もし不調ならその時点で交換しても良いだろう。
なお、外しにくいときは竹やプラスチックのへらを使うと安心で、金属では溝を傷つけてしまう。


以上本機オーバーホールの、分解までを取敢えず紹介した。
冒頭に記したとおり、次号で組立状況を紹介したい。
また、遠征結果なども示したい。
以上


Blog 第23回 キャブレタ塩詰りとオーバーホール① 終り


=小坂夏樹=