1、交換部品表の改訂:
Blog 第24回で「私の交換部品表」を紹介したが、少し追加・改訂した:
注記も追加しておく:
*小端部ピストンベアリング
外輪(シェル)付が長く使われてきたが、2010年型からは裸の、保持器付という形に替わっている。寸法は同じだが、純正品でも別々であり、共用できるのかどうか判らない。潤滑不足には後者の方が強そうに見える。
なお、ドイツの販売ページで、2012年型からはAS650もスーパーマグナムと同様のクランク+シャフトを採用しているように見えるが、他の情報が無くて解らない。
*プロペラベアリング
外輪はすぐ見つけられるが、内輪(IR)が鍔付の特殊品であり入手できない。そのため、互換品を使うなら、本機に装着されていた内輪を再利用する。
*スーパーマグナム
ピストン・シリンダの径が40ミリから41ミリに増加してピストンリングとクランクシャフトが違う。
コネクティングロッドは PescaSubApnea のフォーラムでは、長さが違うとの記事もあったが、部品表からすると共通の様だ。クランク形状を変へたので、或いは同じコンロッドでもストロークを大きく出来たのだろうか。現物未確認だが、小端部ベアリングも上表の2010年モデルと共通らしい。
*排気バルブセット
その他で頻繁に交換を要する、まさに消耗品並だが、これは純正品頼りだろう。以前紹介した軍艦島の柿田氏は急場凌ぎに、ガラスや壁に吸い付ける各種吸盤を試していたが、一日もたなかったという。これは第14回で紹介した、「排気ホース式」にしてしまえば、一挙解決なのだが。
*ガスケット類
分解のたびに必要になるが、以前紹介した通り、バイク店やネットでガスケットシートを入手し、切抜いて簡単に自作できる。
*ピストンピン、ピストンリング
私には汎用品でぴったり適合するピストンピンを見つけられない。ピストンリングは2スト用で、端部の形状もそれぞれある。このようなエンジンの設計そのものに係る構成部品は、専門的な人以外は純正品に頼るのが妥当なのだろう。
こうして、整備に伴う多くの消耗部品は国内で、格安に入手できることが判ったので、必要なら諸兄にも分解修理を薦めたいと感じている。私などは、初めのうちは怖くてとてもエンジンの分解・組立など出来ないと思っていたが、だんだん手を出すようになった。工具があれこれと必要になること、少しでも魚突きに力を注ぎたいことからすると厄介だが、自分でいじることが出来なければ遠征先でのちょっとしたトラブルにも対処できない。
消耗交換部品の項 終り
2、予備機もホース排気方式へ改造
Blog第14回で紹介したが、試作の積りでイタリアで流行のホース排気式に改造した私の主機というか1号機のAS650は始動性が大いに改善したので、仲間から無期限預かりの予備機も排気ホース方式に改造した。但し1号機は、ホース接続部からの浸水があってオーバーホールをする羽目になったので、注意は必要だ。
試作を経験した後の今回は見栄え良く、スマートに本格的製作の筈だったが、これも全く前回と同じやっつけ仕事になってしまった。改めて下手な工作を披露するのも情ないが、諸兄にも薦めたくてまた紹介する。
製作過程は1号機と全く同じだ。
水道配管用の銅エルボに外径16mmのステンレスパイプを、今回は半田付けしたもの。
前回と同じで、アルミー銅ーステンと3種の金属が接するというのは電蝕の可能性あり好ましくないが、まあ安易な考えで進める。
管端は叩いて少し広げ、更にステン針金を巻いて半田付けし、ホースが抜けにくいようにした。
そんな面倒をせずとも、管端を僅かに蛇腹状にした水道ホース用の中継ぎパイプが使える様だ。
水道栓の曲げパイプも使えそうだが、真鍮系統にクロムメッキをしてあり、値段が高い。
このエルボ金具を排気口に接着しながら、その周りはイタリアのEnzo77氏の方式を真似して完全に接着剤を充填してしまう。たとえエルボ金具が浮いても、漏れない筈だ。
接着剤は全てセメダインエポキシ弾性接着剤 EP001N を使用。
途中にアルミのバンドを接着して補強した。アルミ材はかなり硬度のある端材
マフラは分離部分より後側だけに金具を接着する。接着剤が垂れてしまったが、適宜に削り取った。残っていても分解時に問題とはならないだろう。
岩にぶつけたりするので、保護カバーを接着
強い衝撃に耐える為にはネジ止めしたいところだが、やはり簡易的に済ませる。
このカバーの底部分は平面にして、地面に置いた時に安定するようにとの積りだったが、脚をぴったり貼り合わせようと調整しているうちに凸型に丸みを帯びてしまった。特段問題は無いが、加工が下手というか、まあ好みだ。
一応周りを水が流れる隙間がある。
これで排気口周りは完成
排気ホースの取り回し
中途半端にホースを購入してあったが、今回の目的には足りず、今まで1号機で使っていた古い、変色したホースを継ぎ足して取付けた。
3、予備機にも同じくエアタンク覗窓を取付
これも前回のBlog第25回で紹介済みだが、エアタンク内の浸水有無を確認する為の覗窓をこの予備機にも取付けた。
前回と全く同様にタンクに窓を開けたが、今回はPC板の手持が無いため手持のアクリル板3ミリ厚を使った。耐ガソリン性は良好だという。
加熱して軟らかくなったら手早くタンクに当ててカーブさせ、「ボンドSU」で接着、4隅をネジ止めした。
初めは接着だけで、ネジ止めを後にしたら空気の泡がたくさん入ってしまった。慌ててネジ穴を開けて接着をやり直したので、べたべたとはみ出したボンドで見た目が悲惨なことになってしまった。
このネジ止めは今回も裏当材無しで、4Φのタッピングを捻じ込んだだけ。下地は3.7mmと薄いので頼りないが、ボンドで固めてある。全体が硬化してから保護を兼ねて粘着テープで隠すので神経質になることは無いだろう。
接着剤硬化後、耐水試験をした。
簡易ポンプをスノーケルに接続し、足ではやりづらかったので両手で加圧した。排気ホースは途中を折り曲げて足で踏んで空気が漏れないようにする。窓からもホース周りからも漏洩は無かった。
ここで空気タンク内を水洗いして窓の切屑を排出した。水の見え具合はこんなものだが、使用中にここまで水が達する様では論外だ。
しっかり排水した後、始動試験をして問題ないことを確認
常用しているニトムズ541両面テープで窓周りを保護し、アクリル面への傷を少しでも防ぐようにする。
排気ホースの取回し
スノーケルはOリング式に改造だが、適当なパイプが見当たらないので、塩ビの接続パイプを元のスノーケルに被せる様にして無理やり作った。適当な薄肉・軽量パイプがあれば作り直すつもり。
1号機ではホース差込部はホースバンドで締付ていたが、振動でネジが緩んでしまう事が多い。そこで今回は初めから針金で縛るだけにした。
ホースを本機の先端中央に保持するバンド
以前紹介した物と同じく、排気ホース先端を差込んで水中排気する。始動しづらい場合は先端は自由に水面でブラブラさせると良い。
以上の通り、改造は大変簡単で、費用も僅かで効果は大きいので、ホース排気方式を広く推奨したい。
なお、8月に改造・投稿した1号機も未使用なので、2台とも月末に海で試すことにしている。見た目はどちらもとても紹介できるような出来栄えではないが、魚突きだけを目的に使いこなしたい。
ホース先端は水の吸込口より後ろに排気が出るようにするのだが、水流でいずれにしろ後ろに押し曲げられる。
このまま無事に使用できることを期待している。
以上
なお、今回は炎暑が収束してやっと少しずつ作業を始めたところであり、また海への遠征も間が開いてしまった。
月末に遠征を予定しているため、今回に続き、次回も中途半端な時期になるが、改造品2台の使用結果を投稿したい。
Blog第26回 交換部品表更新と予備機の改造 終わり =小坂夏樹=
Blog 第24回で「私の交換部品表」を紹介したが、少し追加・改訂した:
注記も追加しておく:
*小端部ピストンベアリング
外輪(シェル)付が長く使われてきたが、2010年型からは裸の、保持器付という形に替わっている。寸法は同じだが、純正品でも別々であり、共用できるのかどうか判らない。潤滑不足には後者の方が強そうに見える。
なお、ドイツの販売ページで、2012年型からはAS650もスーパーマグナムと同様のクランク+シャフトを採用しているように見えるが、他の情報が無くて解らない。
*プロペラベアリング
外輪はすぐ見つけられるが、内輪(IR)が鍔付の特殊品であり入手できない。そのため、互換品を使うなら、本機に装着されていた内輪を再利用する。
*スーパーマグナム
ピストン・シリンダの径が40ミリから41ミリに増加してピストンリングとクランクシャフトが違う。
コネクティングロッドは PescaSubApnea のフォーラムでは、長さが違うとの記事もあったが、部品表からすると共通の様だ。クランク形状を変へたので、或いは同じコンロッドでもストロークを大きく出来たのだろうか。現物未確認だが、小端部ベアリングも上表の2010年モデルと共通らしい。
*排気バルブセット
その他で頻繁に交換を要する、まさに消耗品並だが、これは純正品頼りだろう。以前紹介した軍艦島の柿田氏は急場凌ぎに、ガラスや壁に吸い付ける各種吸盤を試していたが、一日もたなかったという。これは第14回で紹介した、「排気ホース式」にしてしまえば、一挙解決なのだが。
*ガスケット類
分解のたびに必要になるが、以前紹介した通り、バイク店やネットでガスケットシートを入手し、切抜いて簡単に自作できる。
*ピストンピン、ピストンリング
私には汎用品でぴったり適合するピストンピンを見つけられない。ピストンリングは2スト用で、端部の形状もそれぞれある。このようなエンジンの設計そのものに係る構成部品は、専門的な人以外は純正品に頼るのが妥当なのだろう。
こうして、整備に伴う多くの消耗部品は国内で、格安に入手できることが判ったので、必要なら諸兄にも分解修理を薦めたいと感じている。私などは、初めのうちは怖くてとてもエンジンの分解・組立など出来ないと思っていたが、だんだん手を出すようになった。工具があれこれと必要になること、少しでも魚突きに力を注ぎたいことからすると厄介だが、自分でいじることが出来なければ遠征先でのちょっとしたトラブルにも対処できない。
消耗交換部品の項 終り
2、予備機もホース排気方式へ改造
Blog第14回で紹介したが、試作の積りでイタリアで流行のホース排気式に改造した私の主機というか1号機のAS650は始動性が大いに改善したので、仲間から無期限預かりの予備機も排気ホース方式に改造した。但し1号機は、ホース接続部からの浸水があってオーバーホールをする羽目になったので、注意は必要だ。
試作を経験した後の今回は見栄え良く、スマートに本格的製作の筈だったが、これも全く前回と同じやっつけ仕事になってしまった。改めて下手な工作を披露するのも情ないが、諸兄にも薦めたくてまた紹介する。
製作過程は1号機と全く同じだ。
水道配管用の銅エルボに外径16mmのステンレスパイプを、今回は半田付けしたもの。
前回と同じで、アルミー銅ーステンと3種の金属が接するというのは電蝕の可能性あり好ましくないが、まあ安易な考えで進める。
管端は叩いて少し広げ、更にステン針金を巻いて半田付けし、ホースが抜けにくいようにした。
そんな面倒をせずとも、管端を僅かに蛇腹状にした水道ホース用の中継ぎパイプが使える様だ。
水道栓の曲げパイプも使えそうだが、真鍮系統にクロムメッキをしてあり、値段が高い。
このエルボ金具を排気口に接着しながら、その周りはイタリアのEnzo77氏の方式を真似して完全に接着剤を充填してしまう。たとえエルボ金具が浮いても、漏れない筈だ。
接着剤は全てセメダインエポキシ弾性接着剤 EP001N を使用。
途中にアルミのバンドを接着して補強した。アルミ材はかなり硬度のある端材
マフラは分離部分より後側だけに金具を接着する。接着剤が垂れてしまったが、適宜に削り取った。残っていても分解時に問題とはならないだろう。
岩にぶつけたりするので、保護カバーを接着
強い衝撃に耐える為にはネジ止めしたいところだが、やはり簡易的に済ませる。
このカバーの底部分は平面にして、地面に置いた時に安定するようにとの積りだったが、脚をぴったり貼り合わせようと調整しているうちに凸型に丸みを帯びてしまった。特段問題は無いが、加工が下手というか、まあ好みだ。
一応周りを水が流れる隙間がある。
これで排気口周りは完成
排気ホースの取り回し
中途半端にホースを購入してあったが、今回の目的には足りず、今まで1号機で使っていた古い、変色したホースを継ぎ足して取付けた。
3、予備機にも同じくエアタンク覗窓を取付
これも前回のBlog第25回で紹介済みだが、エアタンク内の浸水有無を確認する為の覗窓をこの予備機にも取付けた。
前回と全く同様にタンクに窓を開けたが、今回はPC板の手持が無いため手持のアクリル板3ミリ厚を使った。耐ガソリン性は良好だという。
加熱して軟らかくなったら手早くタンクに当ててカーブさせ、「ボンドSU」で接着、4隅をネジ止めした。
初めは接着だけで、ネジ止めを後にしたら空気の泡がたくさん入ってしまった。慌ててネジ穴を開けて接着をやり直したので、べたべたとはみ出したボンドで見た目が悲惨なことになってしまった。
このネジ止めは今回も裏当材無しで、4Φのタッピングを捻じ込んだだけ。下地は3.7mmと薄いので頼りないが、ボンドで固めてある。全体が硬化してから保護を兼ねて粘着テープで隠すので神経質になることは無いだろう。
接着剤硬化後、耐水試験をした。
簡易ポンプをスノーケルに接続し、足ではやりづらかったので両手で加圧した。排気ホースは途中を折り曲げて足で踏んで空気が漏れないようにする。窓からもホース周りからも漏洩は無かった。
ここで空気タンク内を水洗いして窓の切屑を排出した。水の見え具合はこんなものだが、使用中にここまで水が達する様では論外だ。
しっかり排水した後、始動試験をして問題ないことを確認
常用しているニトムズ541両面テープで窓周りを保護し、アクリル面への傷を少しでも防ぐようにする。
排気ホースの取回し
スノーケルはOリング式に改造だが、適当なパイプが見当たらないので、塩ビの接続パイプを元のスノーケルに被せる様にして無理やり作った。適当な薄肉・軽量パイプがあれば作り直すつもり。
1号機ではホース差込部はホースバンドで締付ていたが、振動でネジが緩んでしまう事が多い。そこで今回は初めから針金で縛るだけにした。
ホースを本機の先端中央に保持するバンド
以前紹介した物と同じく、排気ホース先端を差込んで水中排気する。始動しづらい場合は先端は自由に水面でブラブラさせると良い。
以上の通り、改造は大変簡単で、費用も僅かで効果は大きいので、ホース排気方式を広く推奨したい。
なお、8月に改造・投稿した1号機も未使用なので、2台とも月末に海で試すことにしている。見た目はどちらもとても紹介できるような出来栄えではないが、魚突きだけを目的に使いこなしたい。
ホース先端は水の吸込口より後ろに排気が出るようにするのだが、水流でいずれにしろ後ろに押し曲げられる。
このまま無事に使用できることを期待している。
以上
なお、今回は炎暑が収束してやっと少しずつ作業を始めたところであり、また海への遠征も間が開いてしまった。
月末に遠征を予定しているため、今回に続き、次回も中途半端な時期になるが、改造品2台の使用結果を投稿したい。
Blog第26回 交換部品表更新と予備機の改造 終わり =小坂夏樹=