前回に引き続き、オーバーホールを続けた:
1、本機の組立 =続き=
キャブを取付けようとすると、キャブとエルボを繋ぐフランジの内部も塩の析出があったので、エルボを外し、水洗した。エルボをなるべく触らぬようにしていたので、塩の析出に気付いてなかった。
ガスケットのカスもスチールウールで磨き、エルボも液体ガスケットなどを除去した。
以前紹介したこのエルボは、ヒビを接着剤で埋め、粘着テープで補修したものだが、完全に硬化しており、近い内新替したい気はある。
尤も、エルボは初めは良いが、じきに硬化してしまうので、いっそのこと、シリコーンホースと既存のエルボ=曲り部材を使って柔軟性の高いものを自作出来ないものか。取付の寸法誤差を吸収できるだけの柔軟性はどうしても欲しい。


ガスケットについて
吸気周りのガスケットは液体ガスケットを塗ったり、シリコーングリスを塗ってあったので、そのまま再使用可能なものがあったが、全て1mm厚で新替した。
これなど液体ガスケットのお蔭でさらりと外れて破損していない

前回純正品の厚さをいい加減に記したが、実は純正品を持っていないので、0.8mmだったか1.2mmだったかあやふやだ。

これで加圧試験で漏れるようなら、液体ガスケットを塗布することにしていた。
そう言えば、キャブの燃料ポンプ膜はあまり劣化しないが、今回の塩詰まり故障では、写真左側がそれだが、かなりビラビラと、平面性が失われていた。2か所ある舌状部分が一方向弁の作用をする重要部だが、怪しい状態だ。

さあ、ここまでくれば、あとは微妙な作業は無いので、一安心だ。
マフラの組付にはOリング溝にたっぷりシリコーングリスを塗った。この部分は塩が析出し易いので、グリスで少しでも防ごうと言う気だ。

前後マフラの上中心に位置合せの印がある。

マフラの扱いについて

排気ガスの音圧を下げるためのマフラ=消音器だが、本器では排気はシリンダ直結で、この写真左側の上からマフラ内に入り、後部マフラの仕切で左右に分かれ、次の仕切板で反射反転して前部~後部と流れるうちに温度・圧力を下げて排気口から排出される。
このためどろどろとした廃液が仕切板に付着して残ってしまう事が有る。過去の機種ではひだの奥に穴があり、後へ傾けておけば廃液は下へ落ちるようになっていたが、このAS650ではその穴は廃止されている。
前々回Blog23で紹介した大量の残滓には本当に驚いたが、通常は排気バルブカップを外して本体を前後に何回か傾けておけば廃液は徐々に排出できる。
なお、私の概念としては、廃液が固まってペースト状になると残滓と呼んでいる。
その傾け方だが、写真で見る通り、ひだというか仕切板は水平に作られているので、例えば30度後ろに傾け、暫くしたら逆に前に30度傾けるなどの操作が必要だ。大きく傾けたのでは、逆に排出されにくくなる。本体が冷え切る前にすると効果的だ。
だが、今回の私の物のようにひどく溜まってしまう事もあるから、出来れば仲間がやっているように、使用後に毎回マフラ内部にガソリンかパーツクリーナを入れて洗浄するのが良さそうだ。大量に固まると、少しくらい溶剤を使っても取除けなくなる。
普通の陸上のエンジン機器では、マフラは高温になっており、廃液が固まることはないのだが、本機ではまさに水冷で残滓になり易いと感じる。
ここしばらくは、どうもエンジン音が大きいような気がしていたが、残滓でひだが埋められて消音効果が低下していたのかもしれない。
エルボ取付は上記の様に完全に硬化しているので、水密性を確保するために液体ガスケットをキャブフランジとエアタンク口に塗っておく。

あれこれと中断したりしながらやっと全体の組立を終了し、排気ホースを新替した。ホースは当初2mあったものを、邪魔になるからと切縮めて1.5mにしたら短過ぎと感じていた。今回はまた2mに戻した。単純に継ぎ足せばよいことなのだが、抵抗が増えぬようとの思いからだ。

2、水密検査と始動
組立完了品のスノーケルに簡易ポンプのホースを取付けて加圧してみると、ぽこ、ぽこ・・・・とキャブ辺りから泡が出てくる。ちょっと間を置いてやり直してみると今度はほぼ漏れない。水が浸み込んで馴染んだのかと思いながら、思いっきり加圧して様子を見ると、キャブの周りに泡が付き、たまに小さな泡が浮いてくる。経験的にはこれでは加圧のし過ぎだと感じるので、このまま無視して構わない・・・・とは思ったが、念のため液体ガスケットを塗布することにした。

キャブ本体の上カバーの周りに付いた泡はエアタンクからチューブを通って流量調整膜の大気圧側蓋から漏れているらしい。通常掛かる水圧からすれば考えられないが、一応用心することにした。
タンク全体を外すのは面倒なので、緩めただけの状態でガスケットに液体ガスケットを塗布し組立てた。周囲にくっついたりで、汚くなくなってしまった。
キャブ上蓋のネジ4本は増し締めした。

これでガスケットからの泡は出なくなったが、簡易ポンプで目一杯加圧すると、まだキャブ上蓋からたまに泡が出ることがある。まあ普通の状態では問題なかろうと、そのまま始動させようとしたが巧くいかない。燃料チューブの混合燃料には泡があるので、観察するが全く動かないから、燃料が送られていないことが判る。脈動圧を伝える通路に液体ガスケットが詰まったのかと再分解したが何もない。
タンクを取外したまま手動であれこれやってみても、キャブが詰まったかのように、燃料が入っていかない。試しに調整膜を外して針弁(ニードル)を動かしてみると燃料が通るので全体に詰まりは無いと判る。
そこでポンプの呼び水でもするかのように、大気圧チューブを息で加圧しながら(流量調整膜が動かされ、針弁が開く)始動ロープを軽く引いてみた。すると燃料泡が内部に入っていくのが見えるので、これで始動するはずだと思った・・・・が、それでも駄目。
頭を冷やしてあれこれ考えているうちに、フライホイルの位置が狂った可能性を思い付いた。結局その通りで、半月板が正しく溝に嵌らないまま取付けられていた。シャフトを見ると、回転した傷が付いているので、フライホイルのナットの締付が不十分だったために、テストで廻しているうちにずれてしまった、というのが原因かと考えられる。
以前にも記したが、私はこのフライホイル半月板の嵌め合いで何度も苦い目にあっており、まさかと思ったが、またしても失敗だった。

今後またゆるんだり、ずれたりしないか、様子をよく点検しなければならない。
これを正しく装着し直したがやはりそのままでは始動しない。そこで上記と同じ様に「呼び水」方式で試したところ今度は問題なく始動した。

エルボにまた液体ガスケットを塗りながら、タンクを取付た後は、始動は問題なかった。タンクを正規に組付けてチューブも接続しないと、大気圧によるキャブ流量調整膜の動きが不安定になるのだろうか?過去にはタンクを離して置いても始動に問題なかったのだが?
その後水密試験をしたが、これも漏れが無く、やっとオーバーホールは完了した。

ここに至っても、私は実にエンジン本体の扱いは不得手で、出来れば手を出したくないと思う。
この技術が得意な諸兄から見たら誠に笑止だろうと汗顔の至りだ。怪しい部分は絶対に真似をしないで欲しい。
このまま問題が起きないのかどうか、次に遠征するまで、頻繁に調子を確認する積りでいる。
3、本機の改造=エアタンク覗き窓の追加
ポリカーボネートPC板で製作した覗き窓は小さいものだが、少量の浸水でもはっきり見える。だが、PC板の汚れなどで、浸水が無くて空気だけなのに、まるで一杯に浸水しているかの様に感じられることがある。そこで窓をより大きく、上方に開けることにした。
タンク内には強度を出すための肋板があるので、それらを避けて窓を開けた。よく見れば、肋板がある部分にはタンク成型時のひけというか、僅かな凹みが走っているので、判断できる。開けた孔の前側に上下に薄く黒い印をしたところがそれだ。

前回はかなり神経を使って作ったが、案外丈夫らしいので、簡単に窓を切取り、残材の4mm厚ポリカーボネート=PC板を貼った。ガスバーナで焙ってPC版を側板に合せて湾曲させたが、いいかげんに加熱し過ぎて内部に泡を発生し、2枚も無駄にしてしまった。

接着剤は同じくボンドSUを使ったが、今回はネジで4隅を補強した。内側に受材を入れるのも面倒なので直接捻込み、浸水防止にボンドで覆ってある。
ところで、前回の窓を製作後、PC板の耐ガソリン性は余り良くないとの資料に気が付いた。
エアタンクには、キャブから吹き返すガソリンが、結構溜まることがあるので、透明性が失われるかもしれないと心配になったが、2か月ばかり経過した今のところは大丈夫だ。そこで今回もPC板を使ったが、いつまで耐えるかは判らない。
また小窓表面には早速すり傷がついてしまい、水流抵抗にならない保護枠を付けたいと思っている。
4、その他情報
① Walbro整備マニュアルビデオ
キャブレタ製造のウオルブロ(ワルボロ)社から本機の様な膜式キャブの整備ビデオがUSBメモリーで発売された。内容はキャブの原理から圧力計による調整などだが、ちら見も出来ない。一応紹介だけ:
http://www.walbro.com/media/41243/Web-Service%20Video%203-4-14rev2.pdf

② 工具と予備品について
前々回Blog23回でキャブH/L調整ネジ回し、プラグレンチ、予備プラグを「3種の神器」だと記した。
しかし泊り掛けの遠征では、工具と予備部品はキャブレタを含めて持って行く。元々潜水具や銛の修理工具と予備品が必要なので、かなりの量となってしまうが仕方がない。接着剤や電池を考えても、現地で簡単に入手できるとは限らないから私は常に用意している。
言わずもがな、また無用な項目だとも感ずるが、一応紹介しておきたい。
・・・・話が初めから脱線するが、予備品については、仲間との遠征ではどうかなと思う場面に遭遇する事が結構ある。
一番呆れたのは、離島で金を払って宿のボートに乗った時の事だが、船頭=宿主人が、私が海に入っている間に勝手に!私の予備銛からゴムを外して自分の銛に付け替えていたことだ。勿論、急遽銛を交換しようとした咄嗟の役には立たず、非常に不愉快だった。
彼は魚突き仲間ではあり、そこを定宿にしていたのだが、余りにも人を馬鹿にした話で、それ以来全く信用しなくなった。
また30年以上昔の魚突き大会でのことだが、面識のない参加者に向かって「チョキ銛(三崎銛)を貸してくれ」と頼む者が居たこと。実際に貸し借りしたかどうかは不明だが、驚くべき能天気さだ。
その同じ大会では、私にもやすりを貸してくれと迫り、銛先をガリガリして新しいダイアモンド鑢をめちゃめちゃしてくれた者もいた。
私などは少しでも荷物を軽くしようと、計算して必要最低量の予備品、接着剤やらテープ、パウダー類などしか持っていかないのに、それらを勝手に使ってしまう仲間もいる。
初めから持参品の分担を決めておけばそんなこともないのだろうが、他人頼りは困りものだ。
・・・・やっと話を元に戻すが、アクアスクータの場合は、今のところ仲間は少ないので、他人を当てにする事も出来ないだろう。それ故部品や用品は自己完結を目指し用意しなければならない。
私の場合はこのような物は常に携帯している。

工具・予備品など何も必要ないのが理想だが、現実は他のエンジン機器より沢山の物が必要だ。中でも一番重要なのは繰り返してきたように、キャブレタ関係であり、そのガスケットも配慮が必要だ。キャブをいじるためには最近のモデルでは6角レンチも必要になる。
オイル・ガソリンに使えるスポイトは特に便利だ。
竹串や針金は穴の掃除やら何やかやに使い、ネオン管は高圧系に便利だ。
部品の中で、ネジ類は、現地で一部をばらしたりすると、兎角失くすことがあるのである程度は持つようにしている。
変わったものでは、プロペラシャフトの8mmのナットがある。銛のゴムがプロペラに絡まり、反動でナットが緩んで無くなった経験から余計?な心配をしている。
Oリングは改造スノーケル用で、どの程度使えるか判らないので今のところ含めている。
更に魚突き道具の方で用意しているプライヤ、接着剤、使い捨ライタなどもあれこれ併用している。
ガソリン缶、オイル瓶などは定宿には置かせてもらっている。
今回はオーバーホールで意外に手間取り、長々と3回に分けて投稿する羽目になってしまった。折からの猛暑+混雑で、8月は遠征も思うに任せず投稿もこのまま休むことになると思います。
以上
Blog 第25回 オーバーホール③=完成・水密試験、 他 終り =小坂夏樹=
1、本機の組立 =続き=
キャブを取付けようとすると、キャブとエルボを繋ぐフランジの内部も塩の析出があったので、エルボを外し、水洗した。エルボをなるべく触らぬようにしていたので、塩の析出に気付いてなかった。
ガスケットのカスもスチールウールで磨き、エルボも液体ガスケットなどを除去した。
以前紹介したこのエルボは、ヒビを接着剤で埋め、粘着テープで補修したものだが、完全に硬化しており、近い内新替したい気はある。
尤も、エルボは初めは良いが、じきに硬化してしまうので、いっそのこと、シリコーンホースと既存のエルボ=曲り部材を使って柔軟性の高いものを自作出来ないものか。取付の寸法誤差を吸収できるだけの柔軟性はどうしても欲しい。


ガスケットについて
吸気周りのガスケットは液体ガスケットを塗ったり、シリコーングリスを塗ってあったので、そのまま再使用可能なものがあったが、全て1mm厚で新替した。
これなど液体ガスケットのお蔭でさらりと外れて破損していない

前回純正品の厚さをいい加減に記したが、実は純正品を持っていないので、0.8mmだったか1.2mmだったかあやふやだ。

これで加圧試験で漏れるようなら、液体ガスケットを塗布することにしていた。
そう言えば、キャブの燃料ポンプ膜はあまり劣化しないが、今回の塩詰まり故障では、写真左側がそれだが、かなりビラビラと、平面性が失われていた。2か所ある舌状部分が一方向弁の作用をする重要部だが、怪しい状態だ。

さあ、ここまでくれば、あとは微妙な作業は無いので、一安心だ。
マフラの組付にはOリング溝にたっぷりシリコーングリスを塗った。この部分は塩が析出し易いので、グリスで少しでも防ごうと言う気だ。

前後マフラの上中心に位置合せの印がある。

マフラの扱いについて

排気ガスの音圧を下げるためのマフラ=消音器だが、本器では排気はシリンダ直結で、この写真左側の上からマフラ内に入り、後部マフラの仕切で左右に分かれ、次の仕切板で反射反転して前部~後部と流れるうちに温度・圧力を下げて排気口から排出される。
このためどろどろとした廃液が仕切板に付着して残ってしまう事が有る。過去の機種ではひだの奥に穴があり、後へ傾けておけば廃液は下へ落ちるようになっていたが、このAS650ではその穴は廃止されている。
前々回Blog23で紹介した大量の残滓には本当に驚いたが、通常は排気バルブカップを外して本体を前後に何回か傾けておけば廃液は徐々に排出できる。
なお、私の概念としては、廃液が固まってペースト状になると残滓と呼んでいる。
その傾け方だが、写真で見る通り、ひだというか仕切板は水平に作られているので、例えば30度後ろに傾け、暫くしたら逆に前に30度傾けるなどの操作が必要だ。大きく傾けたのでは、逆に排出されにくくなる。本体が冷え切る前にすると効果的だ。
だが、今回の私の物のようにひどく溜まってしまう事もあるから、出来れば仲間がやっているように、使用後に毎回マフラ内部にガソリンかパーツクリーナを入れて洗浄するのが良さそうだ。大量に固まると、少しくらい溶剤を使っても取除けなくなる。
普通の陸上のエンジン機器では、マフラは高温になっており、廃液が固まることはないのだが、本機ではまさに水冷で残滓になり易いと感じる。
ここしばらくは、どうもエンジン音が大きいような気がしていたが、残滓でひだが埋められて消音効果が低下していたのかもしれない。
エルボ取付は上記の様に完全に硬化しているので、水密性を確保するために液体ガスケットをキャブフランジとエアタンク口に塗っておく。

あれこれと中断したりしながらやっと全体の組立を終了し、排気ホースを新替した。ホースは当初2mあったものを、邪魔になるからと切縮めて1.5mにしたら短過ぎと感じていた。今回はまた2mに戻した。単純に継ぎ足せばよいことなのだが、抵抗が増えぬようとの思いからだ。

2、水密検査と始動
組立完了品のスノーケルに簡易ポンプのホースを取付けて加圧してみると、ぽこ、ぽこ・・・・とキャブ辺りから泡が出てくる。ちょっと間を置いてやり直してみると今度はほぼ漏れない。水が浸み込んで馴染んだのかと思いながら、思いっきり加圧して様子を見ると、キャブの周りに泡が付き、たまに小さな泡が浮いてくる。経験的にはこれでは加圧のし過ぎだと感じるので、このまま無視して構わない・・・・とは思ったが、念のため液体ガスケットを塗布することにした。

キャブ本体の上カバーの周りに付いた泡はエアタンクからチューブを通って流量調整膜の大気圧側蓋から漏れているらしい。通常掛かる水圧からすれば考えられないが、一応用心することにした。
タンク全体を外すのは面倒なので、緩めただけの状態でガスケットに液体ガスケットを塗布し組立てた。周囲にくっついたりで、汚くなくなってしまった。
キャブ上蓋のネジ4本は増し締めした。

これでガスケットからの泡は出なくなったが、簡易ポンプで目一杯加圧すると、まだキャブ上蓋からたまに泡が出ることがある。まあ普通の状態では問題なかろうと、そのまま始動させようとしたが巧くいかない。燃料チューブの混合燃料には泡があるので、観察するが全く動かないから、燃料が送られていないことが判る。脈動圧を伝える通路に液体ガスケットが詰まったのかと再分解したが何もない。
タンクを取外したまま手動であれこれやってみても、キャブが詰まったかのように、燃料が入っていかない。試しに調整膜を外して針弁(ニードル)を動かしてみると燃料が通るので全体に詰まりは無いと判る。
そこでポンプの呼び水でもするかのように、大気圧チューブを息で加圧しながら(流量調整膜が動かされ、針弁が開く)始動ロープを軽く引いてみた。すると燃料泡が内部に入っていくのが見えるので、これで始動するはずだと思った・・・・が、それでも駄目。
頭を冷やしてあれこれ考えているうちに、フライホイルの位置が狂った可能性を思い付いた。結局その通りで、半月板が正しく溝に嵌らないまま取付けられていた。シャフトを見ると、回転した傷が付いているので、フライホイルのナットの締付が不十分だったために、テストで廻しているうちにずれてしまった、というのが原因かと考えられる。
以前にも記したが、私はこのフライホイル半月板の嵌め合いで何度も苦い目にあっており、まさかと思ったが、またしても失敗だった。

今後またゆるんだり、ずれたりしないか、様子をよく点検しなければならない。
これを正しく装着し直したがやはりそのままでは始動しない。そこで上記と同じ様に「呼び水」方式で試したところ今度は問題なく始動した。

エルボにまた液体ガスケットを塗りながら、タンクを取付た後は、始動は問題なかった。タンクを正規に組付けてチューブも接続しないと、大気圧によるキャブ流量調整膜の動きが不安定になるのだろうか?過去にはタンクを離して置いても始動に問題なかったのだが?
その後水密試験をしたが、これも漏れが無く、やっとオーバーホールは完了した。

ここに至っても、私は実にエンジン本体の扱いは不得手で、出来れば手を出したくないと思う。
この技術が得意な諸兄から見たら誠に笑止だろうと汗顔の至りだ。怪しい部分は絶対に真似をしないで欲しい。
このまま問題が起きないのかどうか、次に遠征するまで、頻繁に調子を確認する積りでいる。
3、本機の改造=エアタンク覗き窓の追加
ポリカーボネートPC板で製作した覗き窓は小さいものだが、少量の浸水でもはっきり見える。だが、PC板の汚れなどで、浸水が無くて空気だけなのに、まるで一杯に浸水しているかの様に感じられることがある。そこで窓をより大きく、上方に開けることにした。
タンク内には強度を出すための肋板があるので、それらを避けて窓を開けた。よく見れば、肋板がある部分にはタンク成型時のひけというか、僅かな凹みが走っているので、判断できる。開けた孔の前側に上下に薄く黒い印をしたところがそれだ。

前回はかなり神経を使って作ったが、案外丈夫らしいので、簡単に窓を切取り、残材の4mm厚ポリカーボネート=PC板を貼った。ガスバーナで焙ってPC版を側板に合せて湾曲させたが、いいかげんに加熱し過ぎて内部に泡を発生し、2枚も無駄にしてしまった。

接着剤は同じくボンドSUを使ったが、今回はネジで4隅を補強した。内側に受材を入れるのも面倒なので直接捻込み、浸水防止にボンドで覆ってある。
ところで、前回の窓を製作後、PC板の耐ガソリン性は余り良くないとの資料に気が付いた。
エアタンクには、キャブから吹き返すガソリンが、結構溜まることがあるので、透明性が失われるかもしれないと心配になったが、2か月ばかり経過した今のところは大丈夫だ。そこで今回もPC板を使ったが、いつまで耐えるかは判らない。
また小窓表面には早速すり傷がついてしまい、水流抵抗にならない保護枠を付けたいと思っている。
4、その他情報
① Walbro整備マニュアルビデオ
キャブレタ製造のウオルブロ(ワルボロ)社から本機の様な膜式キャブの整備ビデオがUSBメモリーで発売された。内容はキャブの原理から圧力計による調整などだが、ちら見も出来ない。一応紹介だけ:
http://www.walbro.com/media/41243/Web-Service%20Video%203-4-14rev2.pdf

② 工具と予備品について
前々回Blog23回でキャブH/L調整ネジ回し、プラグレンチ、予備プラグを「3種の神器」だと記した。
しかし泊り掛けの遠征では、工具と予備部品はキャブレタを含めて持って行く。元々潜水具や銛の修理工具と予備品が必要なので、かなりの量となってしまうが仕方がない。接着剤や電池を考えても、現地で簡単に入手できるとは限らないから私は常に用意している。
言わずもがな、また無用な項目だとも感ずるが、一応紹介しておきたい。
・・・・話が初めから脱線するが、予備品については、仲間との遠征ではどうかなと思う場面に遭遇する事が結構ある。
一番呆れたのは、離島で金を払って宿のボートに乗った時の事だが、船頭=宿主人が、私が海に入っている間に勝手に!私の予備銛からゴムを外して自分の銛に付け替えていたことだ。勿論、急遽銛を交換しようとした咄嗟の役には立たず、非常に不愉快だった。
彼は魚突き仲間ではあり、そこを定宿にしていたのだが、余りにも人を馬鹿にした話で、それ以来全く信用しなくなった。
また30年以上昔の魚突き大会でのことだが、面識のない参加者に向かって「チョキ銛(三崎銛)を貸してくれ」と頼む者が居たこと。実際に貸し借りしたかどうかは不明だが、驚くべき能天気さだ。
その同じ大会では、私にもやすりを貸してくれと迫り、銛先をガリガリして新しいダイアモンド鑢をめちゃめちゃしてくれた者もいた。
私などは少しでも荷物を軽くしようと、計算して必要最低量の予備品、接着剤やらテープ、パウダー類などしか持っていかないのに、それらを勝手に使ってしまう仲間もいる。
初めから持参品の分担を決めておけばそんなこともないのだろうが、他人頼りは困りものだ。
・・・・やっと話を元に戻すが、アクアスクータの場合は、今のところ仲間は少ないので、他人を当てにする事も出来ないだろう。それ故部品や用品は自己完結を目指し用意しなければならない。
私の場合はこのような物は常に携帯している。

工具・予備品など何も必要ないのが理想だが、現実は他のエンジン機器より沢山の物が必要だ。中でも一番重要なのは繰り返してきたように、キャブレタ関係であり、そのガスケットも配慮が必要だ。キャブをいじるためには最近のモデルでは6角レンチも必要になる。
オイル・ガソリンに使えるスポイトは特に便利だ。
竹串や針金は穴の掃除やら何やかやに使い、ネオン管は高圧系に便利だ。
部品の中で、ネジ類は、現地で一部をばらしたりすると、兎角失くすことがあるのである程度は持つようにしている。
変わったものでは、プロペラシャフトの8mmのナットがある。銛のゴムがプロペラに絡まり、反動でナットが緩んで無くなった経験から余計?な心配をしている。
Oリングは改造スノーケル用で、どの程度使えるか判らないので今のところ含めている。
更に魚突き道具の方で用意しているプライヤ、接着剤、使い捨ライタなどもあれこれ併用している。
ガソリン缶、オイル瓶などは定宿には置かせてもらっている。
今回はオーバーホールで意外に手間取り、長々と3回に分けて投稿する羽目になってしまった。折からの猛暑+混雑で、8月は遠征も思うに任せず投稿もこのまま休むことになると思います。
以上
Blog 第25回 オーバーホール③=完成・水密試験、 他 終り =小坂夏樹=