スタータケースの亀裂追加情報
今回は第43回の、仲間のスタータケース先端の亀裂の原因を知りたいという、相当なオタク情報なので、諸兄の興味は余り惹かないだろうと思いながらも紹介する。
前回取外した状態の写真を紹介したオイル(水)シールだが、油脂をふき取って観察しても、リップなど特に劣化はしていない感じだ。
手持の新品(左)と比較してもこのまま再利用OKのようだ。やはり始動ロープを引く時しかこのシャフトは回転しないのだから、そうそう傷みはしないのだろう。ただしリップの押さえバネ・ガータースプリングが錆び切れているときは要注意だ。
一応今後の安心のために亀裂の原因を知りたいと、スタータ先端軸受を外してみた。圧入されていて手では外れないので、プレス機で押出したところ、パリンと音がして外れたという。回止め(滑り止)のためにギザギザがあり、間には防水のシールらしきものも嵌っていてこれが切れる時に音をたてたらしい。
シールらしい輪の材質は燃やしてみれば判るかもしれないが、ゴムのようには柔軟ではないとのこと。プラスチックらしいが、或いはOリングが固化したものか。
写真下側が割れたプラスチックと接していた部分だが、表面はきれいでこの軸受けがひどく錆びて膨らみ亀裂を引起したということは無さそうだ。また塩が析出したということもない。
次の3枚の写真を比べると、軸受けを抜取った後ではケースの亀裂は明らかに縮まっている。
ということは、素人考えだが、ケース自体が収縮して軸受外径より中心穴が小さくなり、割れたのだと思われる。ロープを引ききってガツンとさせるときには最大の力が加わるから、収縮して割れてしまうような材質では、その衝撃が引き金となってより割れやすく困ったものだ。
さもなければ、元々設計上の中心穴径が軸受の外径と合っていなかったか?インサートというか、圧入する部品の径と穴径が上手く適合しないとこんなことは多発する。本機以外でも起きていないか、大変興味がある。ただしこの点は、ケースがいわゆるインサートモールドという、プラスチックを成型するときに一緒に軸受も埋込む製造方法なら発生しない問題だろう。
と言うわけで頻発する4か所の取付ブラケットの割れと今回の先端の割れは同じ理由で起きていることかもしれない。
(この項、投稿後考えると、かなり刻みが大きく複雑な形状の軸受なので、圧入では無理だろう。全くの素人考えだが、インサートモールドだと思うようになったが、そうだとすると、矢張り材質自体が経時収縮して割れるのだろうと感じるようになった。材質不適当と云うべきかもしれない。)
なお、前回記したように、エポキシ接着剤で問題なければ、この場合遠征先などでの応急修理にはこの亀裂を塞いでしまえば使用は可能だろう。しかし長期に亘っての信頼性はない。或いは丈夫な粘着テープもしかりだ。
もし不安を覚えるようなら、予め中心穴の縁に細い針金などを巻付けて接着剤で固めるなどの補強を検討してもよいかもしれない。勿論リールに干渉せぬようにしなければならないが。
以上の様に細かな点を、まさに重箱の隅をつつく感じで検討しているが、こんな作業は現実には殆ど無用で、我々使用者としては、とにかくさっさと交換なり修理なりを済ませて出漁するしかない。
とにかく壊れない、信頼性の高い製品を提供して欲しいものだ。
スタータは新品に交換で、ロープも入換
元々割れたケースを修理して使おうという気はなかったので、購入してあった新品のスタータセットに交換することにした。
そのまま組付けず、一応ばらして様子を見たところ。
ふと、AS450などに使われていた同じ部品より、軸のOリング溝が狭くなっていることに気が付いたと当の仲間が気にしている。まあどうでも良いじゃないのと思いながら私もジャンク箱の部品を見ると確かに昔のほうが僅かに溝が広い様だ。AS650では既に溝は狭くなっている。
改善なのか理由はわからない。どちらの場合もOリング溝としては広過ぎで、私には理解できない。普通はOリング溝というのはリングの太さがぴったり収まる程度の幅だと思っている。
新品スタータケースの縁は相変わらず少々乱れているようだ。
新品ではあるが、ロープは初めから丈夫なダイニーマに交換した。4ミリ径のもので、途中で切れることは考えられないほど丈夫だ。以前にも触れたが、細いとお互いに噛み合って傷みやすいから、少々きついと感じても1列にしか巻けない4ミリ径を巻き込む。初めは色付けなどのため?に糊分が塗布してあるようだが、水中で使えばじきに柔らかくなじんでしまうものだ。長さもできるだけ長くして、引ききってガツンと衝撃を与えぬようにしたい。
AS450/600混成品の本機は、燃料タンクを新しい物に交換したりと、かなり?殆ど?の部品を入換てあり、型式不明の金喰い虫だ。オリジナルはアルミのボディとプロペラ部ぐらいのものか。
そうだ!アクアスクータで壊れないのはそれぐらいで他はすべて壊れるのだ!・・・・いや、余計なことを言えば、私の物では燃料タンクを固定するブラケットすら折れてしまった!
ま、この仲間の場合は、新品を1台購入したほうが安くて、手間も掛からなかったかもしれないが、当人の修理技術が磨かれたという意義は大きい筈だ。
いつも繰返すが、こうした実例も参考にして、中古機を購入する場合は十分な検討をしてほしい。
以上
Blog第44回 スタータケース先端亀裂原因? 終り =小坂夏樹=
今回は第43回の、仲間のスタータケース先端の亀裂の原因を知りたいという、相当なオタク情報なので、諸兄の興味は余り惹かないだろうと思いながらも紹介する。
前回取外した状態の写真を紹介したオイル(水)シールだが、油脂をふき取って観察しても、リップなど特に劣化はしていない感じだ。
手持の新品(左)と比較してもこのまま再利用OKのようだ。やはり始動ロープを引く時しかこのシャフトは回転しないのだから、そうそう傷みはしないのだろう。ただしリップの押さえバネ・ガータースプリングが錆び切れているときは要注意だ。
一応今後の安心のために亀裂の原因を知りたいと、スタータ先端軸受を外してみた。圧入されていて手では外れないので、プレス機で押出したところ、パリンと音がして外れたという。回止め(滑り止)のためにギザギザがあり、間には防水のシールらしきものも嵌っていてこれが切れる時に音をたてたらしい。
シールらしい輪の材質は燃やしてみれば判るかもしれないが、ゴムのようには柔軟ではないとのこと。プラスチックらしいが、或いはOリングが固化したものか。
写真下側が割れたプラスチックと接していた部分だが、表面はきれいでこの軸受けがひどく錆びて膨らみ亀裂を引起したということは無さそうだ。また塩が析出したということもない。
次の3枚の写真を比べると、軸受けを抜取った後ではケースの亀裂は明らかに縮まっている。
ということは、素人考えだが、ケース自体が収縮して軸受外径より中心穴が小さくなり、割れたのだと思われる。ロープを引ききってガツンとさせるときには最大の力が加わるから、収縮して割れてしまうような材質では、その衝撃が引き金となってより割れやすく困ったものだ。
さもなければ、元々設計上の中心穴径が軸受の外径と合っていなかったか?インサートというか、圧入する部品の径と穴径が上手く適合しないとこんなことは多発する。本機以外でも起きていないか、大変興味がある。ただしこの点は、ケースがいわゆるインサートモールドという、プラスチックを成型するときに一緒に軸受も埋込む製造方法なら発生しない問題だろう。
と言うわけで頻発する4か所の取付ブラケットの割れと今回の先端の割れは同じ理由で起きていることかもしれない。
(この項、投稿後考えると、かなり刻みが大きく複雑な形状の軸受なので、圧入では無理だろう。全くの素人考えだが、インサートモールドだと思うようになったが、そうだとすると、矢張り材質自体が経時収縮して割れるのだろうと感じるようになった。材質不適当と云うべきかもしれない。)
なお、前回記したように、エポキシ接着剤で問題なければ、この場合遠征先などでの応急修理にはこの亀裂を塞いでしまえば使用は可能だろう。しかし長期に亘っての信頼性はない。或いは丈夫な粘着テープもしかりだ。
もし不安を覚えるようなら、予め中心穴の縁に細い針金などを巻付けて接着剤で固めるなどの補強を検討してもよいかもしれない。勿論リールに干渉せぬようにしなければならないが。
以上の様に細かな点を、まさに重箱の隅をつつく感じで検討しているが、こんな作業は現実には殆ど無用で、我々使用者としては、とにかくさっさと交換なり修理なりを済ませて出漁するしかない。
とにかく壊れない、信頼性の高い製品を提供して欲しいものだ。
スタータは新品に交換で、ロープも入換
元々割れたケースを修理して使おうという気はなかったので、購入してあった新品のスタータセットに交換することにした。
そのまま組付けず、一応ばらして様子を見たところ。
ふと、AS450などに使われていた同じ部品より、軸のOリング溝が狭くなっていることに気が付いたと当の仲間が気にしている。まあどうでも良いじゃないのと思いながら私もジャンク箱の部品を見ると確かに昔のほうが僅かに溝が広い様だ。AS650では既に溝は狭くなっている。
改善なのか理由はわからない。どちらの場合もOリング溝としては広過ぎで、私には理解できない。普通はOリング溝というのはリングの太さがぴったり収まる程度の幅だと思っている。
新品スタータケースの縁は相変わらず少々乱れているようだ。
新品ではあるが、ロープは初めから丈夫なダイニーマに交換した。4ミリ径のもので、途中で切れることは考えられないほど丈夫だ。以前にも触れたが、細いとお互いに噛み合って傷みやすいから、少々きついと感じても1列にしか巻けない4ミリ径を巻き込む。初めは色付けなどのため?に糊分が塗布してあるようだが、水中で使えばじきに柔らかくなじんでしまうものだ。長さもできるだけ長くして、引ききってガツンと衝撃を与えぬようにしたい。
AS450/600混成品の本機は、燃料タンクを新しい物に交換したりと、かなり?殆ど?の部品を入換てあり、型式不明の金喰い虫だ。オリジナルはアルミのボディとプロペラ部ぐらいのものか。
そうだ!アクアスクータで壊れないのはそれぐらいで他はすべて壊れるのだ!・・・・いや、余計なことを言えば、私の物では燃料タンクを固定するブラケットすら折れてしまった!
ま、この仲間の場合は、新品を1台購入したほうが安くて、手間も掛からなかったかもしれないが、当人の修理技術が磨かれたという意義は大きい筈だ。
いつも繰返すが、こうした実例も参考にして、中古機を購入する場合は十分な検討をしてほしい。
以上
Blog第44回 スタータケース先端亀裂原因? 終り =小坂夏樹=