Aquascooter Maintenance for Spearfishing アクアスクーターで魚突き 全76回

使いこなそう、アクアスクーター整備ノートby KosakaNatsuki

**全76回で終了済み**

Blog 第46回 高圧部浸水・原因未解明=小坂夏樹=Starter Case Water Leakage

2016年12月31日 | マニュアル
遠征で不調の2号機を分解点検中

今回は中途半端な内容だが、高圧部について油断しているとひどい目に合うので、取急ぎ投稿することとした。

2016年の掉尾を飾る今月の遠征だったが、持参したAS650は毎回「行きは良い良い帰りは怖い」で、エンジン始動して入水し、あるいは水面で始動してポイントへは移動できるのだが、再始動が全くできない。
何度もキャブを調整し、プラグを交換してまた入水しても同じことの繰返しで1日半が経過し、とうとう諦めて自力で泳げる狭い範囲のみでの魚突きとなってしまった。

現地では高圧点検その他をし、あとはキャブのダイアフラム交換かと本機を呪いながら帰宅した。


その後の点検でキャブは全く問題なかったが、却って点検中に流量調整膜連結桿のばねを素っ飛ばしてしまい、探している内に潰してしまったなどの馬鹿な失敗をした。

キャブは整備してあったもので、異常は全く見られなかった

それなのにばねを潰してしまい、慌てて補正したが、正しい張力には戻ったかどうかは怪しい。リペアキットにもこのばねは含まれないので、困る



それではというので最初に戻って、プラグから始めようとして、高圧が出ていない事が判り、仰天した。
遠征初日に点検した際は正常?に火花が飛んでおり、問題ないと思っていたのに、大きな油断だった。
早速スタータケースを開けると、途端に内部の汚れが尋常でないと感じた。変色?したグリスが高圧部に付着している

フライホイルは黒く変色

高圧ユニットも裏側が真っ黒

高圧ユニットの出力端子=高圧コードねじ込み部は特段ひどい状態ではない

内部に水は無かったが全体に析出した塩粒が付着している。
この塩分でCDIユニットがやられたか、あるいは出力端子部で漏電していたのだろう。
海水が侵入し、蒸発して塩分を残したらしいが、どこから入りどこから抜けたのだろうか?
本機は本年2016年は頻繁に使用し、9月にはかなりの点検もしている。火花は正常だったので高圧部の点検を怠っていたが、少しづつ浸水しては蒸発しを繰返していたのかもしれない。


メインベアリングには少量だがゴム?グリス?由来の真っ黒い汚れが付着しており、クランク室側から海水かオイルが侵入したのかとも感じた。

スタータケースの縁にひび割れの無いことを確認した上古いハウジング(アルミ本体前部)でスタータケースの浸水テストをしてみた。各穴を塞いで使うのだが、こんな厳重にせずとも、適当にビニ袋をテープ止めして軽く加圧するだけでも十分だろう

簡易空気ポンプのチューブが高圧コードのブーツというかグロメットにぴったりだ

加圧しても縁からも、先端シールからもまったく空気漏れはない

一時的に浸水したとも考えられるので、念のためスターターシャフトシールも点検したが、浸水の跡はなく??、きれいに見える


少しシールが緩い感じなので、交換するつもりだが手持ちが無いのでとりあえず戻しておく

ゼンマイを見ても浸水したようには見えない。グリスが飛び散っているが、これもいつものことだ。グリスの色からも水混入の感じはしない。


ここまでで、スタータケースからの浸水では無さそうにみえる。


ではクランク室側から浸水したのかと本体を分解して、メインウオーターシールを見る。仲間の例とは違い、装着状況は正常だ。


シールの表側つまりクランク室側はきれい

シール裏側、ベアリングと接していた側は真っ黒い油脂?グリス?がべったりと付着 これはベアリングに封入しているグリスが漏れ出しているのだろうと想像する

シールもベアリングも劣化はない ベアリングのカバーを外し、片方はグリスを拭取った状態。多少白っぽく見えたが、はっきりしない

クランク室、燃焼室とも異常はなく、こちらには問題ない、こちらから浸水はないと考へた


さあこんな状態では浸水箇所がわからない。
浸水可能場所は、
スタータケース取り付け部のOリング
前端のスタータ軸のウオーターシール
プラグコードかそのブーツまわり
クランクシャフトのメインウオーターシール
ということになるが、すべて正常と感じる。
スタータロープを引きながらなど、再度試験してみるつもりだ。


CDI高圧部は以前にも長期に亘って浸水していたので、不安だが、これから状態を見極めて交換するかどうかなど検討したい。

というわけで再組立は当分先送りとなってしまうが、一応シールは交換、ベアリングはグリスを詰めて再利用することにした。

今回高圧部の水密検査に使ったのは、加圧検査用の穴のある旧型のハウジングだが、今後も点検できるよう、このハウジングを組立に使おうとした。しかし万力でベアリングを圧入するときに当て木を噛ませず、銅板を当てただけで締めたところ、縁が欠けてしまった。残念ながら諦めだ。縁に力が掛からぬよう、圧入部の裏に当木を添えるべきだった。

結局浸水で錆びていた現品をしっかり水洗して塩分を除き、パーツクリーナでその他汚れを落として組み付けることにした。左は欠けてしまった旧品だが、それに比べると現品は黒い錆汚れが除けない。仕方がないだろう。以前にも書いたが、検査用の穴を開ける台座はこのハウジングにも残っているので、思い切って穴をあける気になっている。


と言う訳で、今回は修理作業途中だが、部品入手など長期戦になりそうなので、途中経過のみ投稿する次第 
不具合の山と自分の失敗続きでかなり気弱になっているが、年が改まってもこんな作業を続ける積りだ。

以上 本年の閲覧を感謝します。  


Blog 第46回 高圧部浸水・原因未解明  終り =小坂夏樹=