異教の地「日本」 ~二つの愛する”J”のために!

言論宗教の自由が保障され、ひとりひとりの人権が尊ばれ、共に生きることを喜ぶ、愛すべき日本の地であることを願う。

【佐藤優徹底解説:激動する北朝鮮問題】安倍外交はなぜ負けたのか  businessinsider

2018-05-12 08:58:25 | 外交、国際

佐藤優さんサムネイル

ビジネスインサイダー  https://www.businessinsider.jp/post-167179

北朝鮮情勢が急展開を見せている。4月の南北首脳会談に始まり、北朝鮮が拘束していた3人のアメリカ人の解放。そして6月12日にはトランプ大統領と金正恩朝鮮労働党委員長の会談がシンガポールで開かれることも明らかになった。

なぜ金正恩氏は突然対話路線に転じたのか。「非核化」はどこまで現実的なのか。トランプ大統領の真の狙いは……。作家で元外務省主席分析官の佐藤優氏に徹底解説してもらう。1回目は、一連の北朝鮮問題の中で、全く存在感のない日本外交について。

「対話と妥協の中韓」に押し込まれた日本

安倍晋三

REUTERS/Toru Hanai

浜田敬子BIJ統括編集長(以下、浜田): 5月8日に開かれた日中韓首脳会談ですが、佐藤さんはどうご覧になりましたか?

佐藤優さん(以下、佐藤):日本と中韓の温度差がはっきりしました。今回の議長は安倍晋三首相が務めたのですが、日本は十分なイニシアティブを発揮することができませんでした。

安倍首相は、発言の多くを北朝鮮問題に割いた。「現在生まれている朝鮮半島の完全な非核化と北東アジアの平和安定に向けた機運を国際社会と一層協力し、北朝鮮の具体的な行動につなげていかなくてはならない」と強調。3首脳が国連安全保障理事会の制裁決議の完全な履行で一致したと説明した。
ただ、これまで繰り返していた「完全かつ検証可能で不可逆的な核廃棄」との表現は使わず、南北首脳会談で署名された板門店宣言の「完全な非核化」との表現に合わせた。(5月9日「朝日新聞デジタル」

対北朝鮮政策について「対話と妥協」を追求する中国と韓国によって、「圧力と制裁」を強調する日本が、押し込まれたというのが実態と思います。今回の日中韓首脳会談で日本の外交力低下が可視化されました。

読売新聞と朝日新聞

日中韓首脳会談の前日には、朝日新聞に中国の李克強首相の寄稿が、読売新聞には韓国の文在寅大統領の書面インタビューの記事が掲載された。

 

浜田:日中韓会談前日の朝日新聞には李克強中国首相の寄稿が、一方、読売新聞には文在寅韓国大統領の書面インタビューが掲載されました。

佐藤:日本のメディアを通じて海外の首脳が非常に強力なシグナルを出したということは非常に珍しいことです。このようにメディアを使うのは首脳間の信頼レベルが低い時ですね。

浜田:安倍政権の信頼レベルが下がっているということなのか、外交ルートが機能していないということなんでしょうか?

佐藤:十分に機能していないと思います。今の北朝鮮を巡っては中国と韓国は「メジャーリーグ」、日本は「マイナーリーグ」です。つまり日中韓首脳会談は事実上、中韓首脳会談です。2(中韓)プラス1(日)。日本は対等の立場ではない。中韓は、安倍さんが言うことをテークノートするだけで実質的なことは何も決まらなかったのでしょう。

浜田:朝日、読売を通じて、中国も韓国もそれぞれ日韓、日中の関係改善についても言及してましたが、日中韓の会談を終えても、何ら前進はないようでした。

佐藤:韓国の慰安婦問題、中国の尖閣問題をそれぞれが譲歩できると思いますか。個別イシューで見れば、中国、韓国とも譲歩できるものは何一つない。こういう時に使われやすいのが文化です。「文化交流を強化」するという言葉が出てきたら、政治経済では何もできないということです。

日本にとっての脅威は黙認される

日中韓首脳会談

日中韓首脳会談で、3首脳の合意事項をまとめた共同宣言の発表は深夜にずれ込んだ。

REUTERS/Toru Hanai

浜田:一連の北朝鮮の交渉を見ていると、日本が外交面で蚊帳の外に置かれています。佐藤さんはどう見ていますか?

佐藤:北朝鮮の核開発問題を解決するための枠組みはこれまで6者協議でした。それが、米、朝、韓の3者協議、もしくは中を加えた4者協議と言われ始めた。日本とロシアが外された。

ただ、現時点で北朝鮮はモスクワまではミサイルを飛ばせない。だから、枠組みから外されても問題ない。一方、日本は全域が北朝鮮のミサイルの射程圏内。もし北朝鮮が核の小型化に成功したら、全域が核ミサイルの脅威に覆われる。つまり、これは結果としての「日本外し」です。日本の国際的な影響力は低下するでしょう。

 

浜田:近く予定される米朝首脳会談で、さらに「日本外し」は進むでしょうか?

佐藤:北朝鮮は段階的に核廃絶を行い、ICBMも発射しない、既存の核以上は作らないし、それを検証可能にする、と金正恩(朝鮮労働党委員長)が表明し、それをトランプ(大統領)が支持したとする。そうすれば、ミサイル技術は進まないので北米大陸は核の脅威にさらされることはない。でも日本がミサイルの脅威にさらされる状況は変わりません。事実上黙認されるということ。これは日本にとってかなり厳しい状況です。

見誤ったトランプの性格と文政権の外交力

浜田:日本外交はなぜここまで厳しい状況に追い込まれたんでしょうか。

佐藤優氏

 

佐藤一つ目はトランプ氏の性格を見誤ったこと。彼には外交戦略がない。その場その場で自分の短期的生き残りや局地的な利益の極大化しか考えていない。こういう人間と同盟や戦略的な提携はできない。日本は、どんな人が大統領になっても日米同盟は盤石で、しかも大統領は合理性によって動くはずと考えていた。

例えばトランプ氏にとって自動車産業を復活させることは重要ですよね。アメリカの鉄鋼業では自動車用の薄い鉄板が作れないから、日本から輸入している。それに関税をかければアメリカの自動車産業にとってコストアップになる。でも、トランプ氏は輸入制限をかけると発表し、関税がかかることになっている。トランプ氏は貿易が赤字か黒字かしか見ていない。これが彼の考え方なんです。

二つ目は、文在寅政権の外交能力の過小評価。インテリジェンスというのは通常はGDPに比例するんですが、分断国家である韓国もGDPに比べてはるかにしのぐ外交力を持っているんです。そこを理解していなかった。

ここまできたら、日本は慌てない方がいい。慌てて日朝首脳会談をやろうとすると、安倍さんは国際協調の名のもと“白紙の小切手”を金正恩氏に渡すことになる。それより米朝首脳会談の推移をじっくりウオッチし、枠組みが固まった後で、北朝鮮が必要としている経済協力の応分負担をすればいいんです。

自ら欲するように世界を理解する反知性主義

浜田:安倍政権の外交力をどう評価していらっしゃいますか。

佐藤:ひどいですね。通常、首脳会談で合意する場合は事務方で基本事項をまとめますが、今回の米朝首脳会議ではそういうものはない。だから、トランプ氏はきっと誰かに相談するはず、日本は「関係が盤石だから、北朝鮮情勢に関しては安倍首相に相談してくれる」と確信していた。

でも、トランプ氏は習近平氏に相談し、日本だけが取り残された。TPPやFTAでもこけにされた。オウンゴールの連続なんです。こんなことが5回も6回も続くと、正解がわかっているのに、あえて逆を選んでいるとしか思えない。

佐藤優氏

なぜこうなったのかというと、安倍政権が「反知性主義」だからです。政権を支えるエリートも含めて実証性、客観性を軽視、もしくは無視して自らが欲するように世界を理解している。でも外交にも国内政治にも相手がある。事実を確認し、認識、評価するという三段階が必要です。これらがごちゃごちゃになっているんです。これはアメリカも同様です。

一方、これを冷静に見極めているのが、今の北朝鮮、韓国です。今回、「豚もおだてりゃ木に登る」という形で、韓国がトランプ政権を「あなたの強硬な姿勢が効いて、北が初めて動き出した」と徹底的におだてた。あらかじめ、北には「トランプにそう伝えるから怒らないでね。そうじゃないと動かないぜ、あのおっさん」と話し合っていたんでしょう。

外務官僚は「第2の佐川」を恐れている

浜田:日本は拉致問題という要素もあります。どうしたら解決できますか。

佐藤解決のためには対話と妥協が必要です。もし僕が日本の外務省にいるなら、拉致問題の国際化を図ります。6者協議の中で日本がイニシアティブを取って、板門店の南北双方にまたがって建つ、軍事停戦委員会本会議場で首脳会談を提案する。ロシアは外されたくないから積極的に乗ってくる、金正恩氏も習近平氏とプーチン氏が助けてくれるから乗ってくるでしょう。

浜田:それをなぜ今の外務省はやらないんでしょう。

外務省

北朝鮮問題では、存在感を発揮できていない外務省。

 

佐藤:外務官僚がみんな第二の佐川(宣寿・財務省前理財局長)になりたくないからですよ。あれだけ協力して、こんなに晒し者にされるなら、「バカだからできません」と俯いていたほうが、官僚の生き残り方としては正解でしょう。

浜田:日本外交の軌道修正をするために何が必要ですか。

佐藤:政官関係を立て直すことと、外務省の局長級に能力のある人が就くことですね。実際、2003年頃は北朝鮮の拉致問題を巡る6者協議の交渉などで日本がもっと指導的立場を発揮していましたから。

安倍政権の北朝鮮外交に関する失態は、それだけで内閣の存亡にかかわる危機的状況です。が、位相の違うことながら、まずは森友問題での昭恵夫人、佐川さん、それに続く文書改ざん問題、福田さん(淳一財務省前事務次官)のセクハラ問題、さらに言えば、山口達也さんの強制わいせつ事件などもあり、全部覆い隠されてしまった。むしろそのことこそ、危険なことだと思います。

(構成・宮本由貴子、写真・今村拓馬)


佐藤 優(さとう・まさる):作家、元外務省主任分析官。1960年東京都生まれ。同志社大学大学院神学研究科修了。85年外務省入省。在ロシア連邦日本国大使館勤務など、対ロシア外交の最前線で情報収集・分析のエキスパートとして活躍。主な著書に『国家の罠–外務省のラスプーチンと呼ばれて』(毎日出版文化賞特別賞)『自壊する帝国』(新潮ドキュメント賞、大宅壮一ノンフィクション賞)など。最新刊は『十五の夏』。

 

 

 

 


<韓国文在寅大統領のインタビュー>悲観論に陥っては何事もなすことはできない…対話のためのたゆみない努力を通じ前進してきた」2018.5.8 読売新聞

2018-05-09 00:03:32 | 外交、国際
韓国文在寅大統領のインタビュー。
「性急な楽観は禁物だが、悲観論に陥っては何事もなすことはできない」
「悲観的な見方が強くあったが、対話のためのたゆみない努力を通じ前進してきた」。
 
画像に含まれている可能性があるもの:1人
 

読売新聞(YOMIURI ONLINE) http://www.yomiuri.co.jp/world/20180507-OYT1T50068.html

核なき半島、具体案が重要…文氏回答の全文

2018年05月08日 06時00分

文氏回答の全文2はこちら

 今回の南北首脳会談を通じて、金正恩(キム・ジョンウン)委員長と率直な議論を交わし、完全な非核化と核のない朝鮮半島の実現に向けた意志を直接確認いたしました。

 金委員長の「完全な非核化」に対する確固たる意志は、米朝首脳会談の開催成功に向けた肯定的な土台になると思います。

 今後、米朝首脳会談を通じて完全な非核化の実現に向けた思い切った合意と具体案をまとめることが重要です。朝鮮半島の平和定着、南北の共同繁栄は、非核化に向けた実質的進展、そしてそれによる米朝関係の正常化と恒久的平和体制の構築によってのみ可能であるためです。

 果敢な合意を引き出すことのできる優れた交渉家、そしてリーダーであるトランプ大統領も南北首脳会談の進展を高く評価し、米朝首脳会談に対する期待を示しています。

 米朝首脳会談という、逃してはならない歴史的機会が私たちの前にあるだけに、完全な非核化と核のない朝鮮半島を達成し、朝鮮半島の平和と繁栄の時代を迎えられるよう、最善の努力を尽くしてまいります。

 

 ◆Q2◆ 北朝鮮は、かつて国際社会と「非核化」について合意した後、約束を破って再び核開発に走る行動を繰り返してきました。国際社会が求める北朝鮮の「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化」は可能であると思われますか。

 

 前述の通り、全世界が注目する中、生中継された南北首脳会談において、私と金正恩委員長は、南北の首脳間で初めて、完全な非核化と核のない朝鮮半島の実現という目標を直接確認しました。

 また、金委員長は、北朝鮮の核実験場を5月中に閉鎖すること、そしてこのことを公開する方針を明らかにしましたが、これは朝鮮半島の完全な非核化に対する展望を明るくする意味ある措置であると思います。

 もちろん、米朝首脳会談はまだ開催されておらず、非核化に向けた具体的な措置が担保されていない状況で、性急な楽観は禁物であると思います。しかし、逆に過去の北朝鮮との核問題での合意が失敗に終わったからといって、今日の協議も失敗するだろうという悲観論に陥っては、何事もなすことはできません。

 金正恩委員長は国際社会からの要求を明確に理解しています。私は、米朝間の信頼を強化し、合意がうまくなされるように全ての可能な役割を果たしていきたいと思っています。そしてその過程において日本をはじめとする国際社会の主要な関係諸国とも緊密に連携していきます。

 

 ◆Q3◆ 北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長と直接会談をされましたが、どのような印象を受けられたのかお伺いしたいと思います。交渉の相手として信頼できる人物だと感じられましたか。

 

 今回の首脳会談の間ずっと、私と金正恩委員長は心を開いて対話をしました。対話のテーマは朝鮮半島の平和から南北関係に至るまで、幅広いものでした。朝鮮半島の平和と繁栄を実現するという金正恩委員長の強い意志を確認したことは、今回の首脳会談の大きな成果と言えます。

 会談の中で、金正恩委員長はとても率直で実用的な人であるとの印象を受けました。私と金委員長は朝鮮半島の完全な非核化という共同の目標を確認し、「板門店(パンムンジョム)宣言」という貴重な合意に至ることができました。今後は互いへの厚い信頼を基に、平和と繁栄、統一に向けた大胆な一歩を踏み出していきます。

 

 ◆Q4◆ 北朝鮮の核問題、朝鮮半島の平和と安定のために日本はどのような役割を果たすことができると思われますか。

 

 日本は、朝鮮半島の平和と繁栄のためにとても重要な役割を果たすことができます。完全な非核化の達成に向けた韓・日・米の連携、北朝鮮の体制の安全を保証するための日朝関係正常化など、さまざまな面においてそうであると思います。特に私は、日朝間の対話が再開されるべきだと思います。日朝関係が正常化されれば、朝鮮半島を超えて、北東アジアの平和と安定に大いに寄与すると思います。

 金委員長とも日朝関係について話し合いました。私は、安倍総理が過去の清算に基づく日朝国交正常化を進めていく意思があることを伝えており、金正恩委員長は、いつでも日本と対話する用意があるということを明らかにしました。

 朝鮮半島と北東アジアにおいて世界史的な大転換が始まりました。韓国は、これからも日本と緊密に意思疎通を行いながら、連携していきます。米朝首脳会談の成功はもちろん、朝鮮半島の恒久的な平和定着に向けた今後の道のりに対する日本の積極的な支持と協力を期待しています。

 

 ◆Q5◆ 日本では、北朝鮮による日本人拉致問題が大きな問題となっています。日韓首脳会談の中で安倍総理から大統領へ協力を要請するものとみられています。韓国でも400人を超える拉北者(北朝鮮に拉致された人)がいるということですが、日本人拉致問題において大統領のご協力を期待してもよろしいでしょうか。

 

 拉致被害者問題が日本政府と日本国民にとってどれほど重要な事案であるのかよく理解しています。この問題を重視している安倍総理からのご要請もありましたが、何より、人道的な問題であるため、これまでこの問題を北朝鮮側に提起してきました。金正恩委員長と首脳会談を行った時にも改めて直接この問題について話しました。

 拉致被害者問題は日朝間の長きにわたる難題として残っており、この問題の解決に対し、日本国内で悲観論も高まっていると承知しております。しかし、慎重を期しつつ、積極的な姿勢で話し合いを進めていけば、解決の糸口を見つけられると思います。

 振り返りますと、これまで北朝鮮の核問題を含め、北朝鮮の態度の変化に対しても悲観的な見方が強くありました。しかし、対話のためのたゆまない努力を通じ、平昌(ピョンチャン)冬季五輪では小さな平和の流れが生み出され、南北首脳会談で北朝鮮は完全な非核化と恒久的な平和定着に合意しました。

 何より持続的な対話を通じ、日朝間の懸案が解決されることで、長い間続いている拉致被害者のご家族の方々の痛みが癒やされることを願っています。そのためにも日本政府とともに、引き続き協力してまいります。

2018年05月08日 06時00分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
 
 
 
 
 
 
 
 

 


「北朝鮮発表は“非核化”宣言ではない」「正式な核保有国への手続き」と米専門家 2018.4.22  BUSINESS INSIDER JAPAN

2018-04-22 23:09:09 | 外交、国際

 

「北朝鮮発表は“非核化”宣言ではない」「正式な核保有国への手続き」と米専門家

BUSINESS INSIDER JAPAN   https://www.businessinsider.jp/post-166194

北朝鮮が4月21日から、核実験と大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射実験を中止し、北部の核実験場を廃棄すると発表したのを受け、アメリカでは、トランプ大統領がすかさず「非常に良いニュースで、大きな進展だ」とツイートした。

しかし、金正恩朝鮮労働党委員長が4月27日に予定されている韓国との南北首脳会談、さらに、過去に実現できなかったアメリカ大統領との会談を控え、「会談をスムーズに運び、金委員長にとって歴史に残る成果にするための発表で、会談後、元に戻せる」と指摘する専門家もいる。

今回の発表は“非核化”宣言ではない

金正恩とトランプ

金正恩氏はこの後、韓国、アメリカとの首脳会談を控えている。

REUTERS PICTURES

政治ニュース専門サイト「Axios」によると、ジョージ・W・ブッシュ政権の米国家安全保障会議(NSC)メンバーが、こう指摘しているという。

「首脳会談が近づく中、核・ミサイル実験を中断することぐらい、何でもない。(会談が終わったら)元に戻すことはできる。(一時しのぎの)目薬みたいなものだ」

米戦略国際問題研究所(CSIS)の韓国部長ビクター・チャもAxiosにこう語った。

「北朝鮮はこれまでの交渉で、実験を中止すると言明していた。今回の発表は、その約束を正式なものにしたものだ。発表は、核による先制攻撃をしない、核兵器・核技術の移転をしないというのに触れている。つまり、責任ある核兵器保有国家になる場合に条件となってくる項目だ。従って、今回の発表は“非核化宣言”ではないこれは、北朝鮮が、責任が持てる核兵器保有国家になることができるという宣言だ

「それを信じる人はいないが、北朝鮮がそれでトランプを説得することができれば、それこそ、彼らが欲しているものだ」

つまり今回の発表は、北朝鮮側としては手続きを踏んだ意味があるもので、「ひょうたんから駒」ではない、その見返りに欲しているのが、米朝首脳会談の成功という見方だ。

見返りにアメリカは何を持っていけるのか

日米首脳会談

日米首脳会談を終え、トランプ大統領は4月19日、「北朝鮮や貿易について徹底的に話し合った。よいことが起きるだろう」とツイートした。

REUTERS PICTURES

さらにチャ氏は、「最も関心がある問いは、北朝鮮が先手を打って示した妥協に対する見返りとして、アメリカが何を持っていけるかということだ」と、トランプ政権の出方が今後の焦点になるとしている。制裁措置解除なのか、平和交渉や国交正常化なのか、北朝鮮がのどから手が出るほど欲しがっているものがあるが、トランプ大統領のツイートからは、まだ方向性が見えていない。

トランプ大統領は北朝鮮の発表に先立つ4月19日、米朝首脳会談の見通しについて、強硬姿勢を見せていた。

「もし会談が成功しないと思ったら、会談には行かない。会談にこぎつけても、生産的なものでなければ、途中で立ち去るだけだ。北朝鮮が非核化するまで、最大のプレッシャーをかけ続ける」(日米首脳会談後の共同記者会見より)

こうしたトランプ氏の発言から、北朝鮮が実験中止という発表で先制し、アメリカと韓国政府にシグナルを送ったとすれば、北朝鮮が「一枚上手」だ。

Axiosのマイク・アレン氏は、

「金正恩氏は、トランプ大統領の『アート・オブ・ディール(トランプのビジネス書の題名、邦題「トランプ自伝―不動産王にビジネスを学ぶ」)』から学んだのかもしれない。トランプに勝ちを持たせろ、少なくともトランプが勝ったと思うようなもの、あるいは勝ちになりそうなものを、という教訓だ」

と指摘した。同書には、トランプ大統領がビジネス交渉の際、話題作りなどで優位な立場になるように先制攻撃を仕掛け、取引を有利に運んできた様子が書いてある。今回は、金正恩が先手を打ったわけだ。

祖父も父も成し遂げなかった“偉業”

ミサイル実験

北朝鮮は2017年11月29日にも弾道ミサイルを発射した。

REUTERS PICTURES

「金正恩は、賢明な一手を打った」

マサチューセッツ工科大学(MIT)の政治学准教授ヴィピン・ナランも、CBSニュースにこう語った。

「発表は、将来相手を出し抜く余裕を持たせてあるものだ。逆戻りできないという事柄は、一つも含まれていない。非核化の文言もいかなる形でも含まれていない」

金氏は発表を決定した20日の党中央委員会総会で「国家核戦力建設という大事業を短い期間で完璧に達成した」とし、核実験場は使命を終えたとした。総会で採択された決定書によると、核実験中止を

「世界的な核軍縮のための重要なプロセスだ。我が国は、核実験の全面中止のための国際的な志向と努力に合流する」

としている。

一方で、アメリカのメディアによれば、金正恩氏はアメリカ大統領と会談する初の労働党委員長となる。祖父・金日成、父・金正日も達成できなかった「偉業」を成し遂げることに、北朝鮮が、全力で成功に導こうとしているのは必至だ。

トランプ大統領に表面的に花を持たせたとしても、「偉業」を成功させるための戦略を、北朝鮮首脳と初会談する米大統領となるトランプよりもかなり真剣に練っているのがうかがえる。

(文・津山恵子)

 

 

 

 


なにしに行った! ツイッターで引導を渡された安倍訪米の失敗 2018.4.19 天木直人

2018-04-19 23:16:21 | 外交、国際

 画像に含まれている可能性があるもの:1人、スマイル、ミーム、テキスト

 

なにしに行った! 

トランプ氏に押し切られ、出し抜かれ…首相、乏しい成果:朝日新聞デジタル

 2018.4.19- 米フロリダ州のトランプ米大統領の別荘地を訪問中の安倍晋三首相は18日(日本時間19日)、日米首脳会談の2日目に臨んだ。日本との貿易不均衡に不満を募らすトランプ氏が、二国間の自由貿易協定の早期協議をを強く迫り、・・・

 

「日本は一方的譲歩を」 牛肉と車の市場開放、米国固執:朝日新聞デジタル

2018.4.21日米首脳会談で実施が決まった閣僚級の通商協議では、米国側は牛肉と自動車の市場開放を標的にする見通しだ。なぜ、この2品目にこだわるのだろうか。 「日本は牛肉などの分野で一方的な譲歩をすべきだ」

 

**************************************:

ツイッターで引導を渡された安倍訪米の失敗

新党憲法9条http://kenpo9.com/archives/3590

2018年4月19日  天木 直人

 驚いた。

 ここまで一方的で、不毛な日米首脳会談になるとは思わなかった。

 まもなく日米首脳会談が終わり、その成果を発表する共同記者会見が開かれる。

 しかし、そこでどんなに「日米同盟関係の結束」が強調されようとも、今度の安倍訪米は完全な失敗である。

 なにしろ安倍首相の訪米中に、ポンペイCIA長官が極秘訪朝していた事が明らかになったのだ。

 もはや圧力一辺倒の安倍首相より、はるか先をトランプ大統領は歩き始めていたということだ。

 私の予想通り、朝鮮戦争の終結まで視野に入れている。

 その一方でトランプ大統領は、TPPを否定して日米二国間協定を優先する事を明言した。

 不公正な日米貿易関係は容認できないと明言した。

 このトランプ大統領の明言によって、もはや安倍首相は無理難題を押し付けられる日米二国間交渉を受け入れるしかなくなった。

 今度の訪米の最重要課題である北朝鮮問題と貿易問題がこれだから、今度の日米首脳会談は完全な失敗だったということだ。

 しかも、トランプ大統領は、これらはすべてをツイッターで明らかにしている。

 かつてティラーソン前国務長官が、更迭される前に皮肉を込めてこう語った事がある。

 私の一日の任務はトランプ大統領のツイッターを見る事から始まると。

 その通りだったということだ。

 安倍首相は毎日、トランプ大統領のツイッターを見てから仕事を始めるべきだ。

 そうすれば、わざわざワシントンまで飛んで恥をかかなくてもよかった。

 トランプ大統領とのゴルフに逃げ込むだけの今度の安倍首相の訪米だったという事である(了)

 

画像に含まれている可能性があるもの:1人、スーツ

画像に含まれている可能性があるもの:1人以上、立ってる(複数の人)、屋外、自然

 

 

 

 

 


電撃的な金正恩訪中の全貌が教えてくれた安倍外交の孤立 …完全に置き去りにされた! 2018.3.29 天木直人

2018-03-31 11:12:34 | 外交、国際

 

画像に含まれている可能性があるもの:3人、、スマイル、スーツ 

画像に含まれている可能性があるもの:7人、立ってる(複数の人)、スーツ、屋外

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

電撃的な金正恩訪中の全貌が教えてくれた安倍外交の孤立

 新党憲法9条http://kenpo9.com/archives/3480

2018年3月29日天木 直人

 一夜明けて金正恩電撃訪中の全貌が明らかになった。今日の各紙が大きく報じるその実態は驚きの数々だ。

 その中でも、一番驚かされたのは、安倍首相の日本だけが何も教えてもらっていなかったということだ。

 これまでにも私はさんざん批判的に書いて来た。

 安倍外交ははしごを外されたと。

 それどころではない。

 完全に置き去りにされていたのだ。

 そのことが今度の金正恩の訪中で証明されたのだ。

 なにしろ習近平はまっさきにトランプに会談内容を教えている。

 それをトランプがツイッターですかさず公表し、歓迎するとまでつぶやいている。

 出し抜かれた形になっている韓国であるが、きょう29日、板門店で南北閣僚級会談を開く。

 同じ民族が朝鮮戦争の終結に向かって今度こそ本気で南北首脳会談を成功させようと決意した以上、文在寅大統領の韓国が主役から外れることはない。

 つねに情報は北朝鮮から同時並行的に伝わっているのだ。

 蚊帳の外に置かれているのはプーチンのロシアと安倍首相の日本だけだ。

 しかし、プーチンのロシアは、ついこの間まで、習近平の中国がトランプの米国に譲歩して金正恩の北朝鮮に対する経済制裁を強化した時、ただ一人それに反対し、北朝鮮を擁護した国だ。

 おまけにプーチンはロシア疑惑でトランプの急所を握っている。

 いざとなれば本当のことをばらすぞと凄めばいい。

 どんなにプーチンのロシアと西側主要国の関係が悪化しても、トランプの米国はプーチンのロシアを敵に回す事は出来ない。

 良くも悪くも、プーチンのロシアは国際政治の中心国なのだ。

 こう考えて行くと、安倍首相の日本だけが、いかにその存在価値のない、どうでもいい国であることがわかる。

 極めつけはきょう3月29日の朝日新聞が報じた次の記事だ。

 すなわち、北朝鮮関係によると、金正恩政権が最近、朝鮮労働党幹部らに「6月初めにも日朝首脳会談がありうる」と語っているというのだ。

 しかもそれを内部の資料として配布しているという。

 日本と国交正常化すれば200億ドルとも500億ドルともされる支援を受け取れるとまで書いているという。

 6月初めというタイミングは、すべての首脳会談が終わったタイミングだ。

 すべてが平和裏に終わり、北朝鮮の支援が始まれば金を出すのは日本だと言っているのである。

 これを安倍首相が言うのならわかる。

 何しろ訪朝して拉致問題を解決し、日朝国交化正常化を成し遂げるのは安倍外交の最後のサプライズであるからだ。

 しかし、金正恩政権がそれを先にばらしたのである。

 何も知らされていないのは安倍首相の日本だけだ。

 無理もない。

 知らせてくれなかった、冷たいではないか、と文句を言ったら、トランプも習近平も文在寅もこう言い返してくるだろう。

 今あなたは森友疑惑でそれどころではないだろう。

 それを忖度して、今あなたにその事に専念して危機を乗り切ってもらいたかったからだと。

 もはや安倍首相では力強い日本外交は進められない。

 一刻も早く安倍政権を変えて仕切り直さなければ、日本外交は乗り切れないということである(了)

 

 【関連記事】

画像に含まれている可能性があるもの:1人以上、テキスト