「自分は大したもんだ」と胸を張って、自信を持って生きる事も、大事な事だが、一方では常に「自分は大したもんじゃない」と一歩引き下がって、遠慮して生きる事も、大切なのだ。
人間は人の力だけでは、一瞬たりとも生きては行けない。
風の力、水の力、緑の力、太陽の力…。
つまり自然と宇宙の命が無くては、どうしても生きられないと言う事実を、自身が感じれば、成功しても思い上がる事はない。
「朝に道を聞かば、夕に死すとも可なり」
これは孔子の言葉の中で、最も重要な言葉だ。
孔子の人生の目標は「道」、つまり宇宙の偉大さを知り、その真理を体得し、宇宙の心である謙虚で誠実な真心と思いやりを持って、良縁のある人に尽力する事であった。
それには、まず相対的な人の価値を超越して、宇宙の道理の素晴らしさを自得する事であった。
人たるもの、もし宇宙の生命の道理を悟る事が出来たら、いつ人生の終わりを迎えてもよい。
道理を知って、この世を生きる。
これが孔子の人生哲学であった。
尊大なエリートがやって来て「今の会社が自分を評価してくれない、だからどこか他の職場を探したい」とげっそりと、やつれた顔でやって来た。
私はこう答える。
「転職する前に、考えなくてはならない事がある。
君の苦しみは、会社の評価と自分の評価が違うだけじゃないのかな。
会社では君への評価を正しいと思っている。
でも君は正しくないと思っている。
転職した処で『自己評価』と『他人評価』のギャップを超越しないと、悩みは尽きないね」…と。
天道には、相対の評価はなく、絶対無欠だ。
もっと、世の中の相対の評価を超越して、絶対宇宙の世界に自由に生きたい。