自分の意見を、正直に堂々と話すことが、何故悪いのだ…。
まったく仰せの通りである。
正直一途は結構な事だが、バカ正直な人は、周りの人に不快と迷惑を掛けている事がある。
もしガンを患っている人に「あんたはガンだったそうじゃないか。うへぇ、やっぱりガンだったんだね」と、平気で言う人がいたとしたら、無礼千万だし、不躾でもあろう。
まさか、そんな事を言う人が、いる訳ではないであろうが、これに類する一直線の無礼な正直者が、最近甚だ多い。
女性に「私ちょっと皺が増えたわ」と言われて、「ああ、そうだね」はない。
「でも、君の目は前よりも、もっと素敵だよ」と…。
バカ正直な人の言動は、人を責める事が急で、相手を思いやる事をしない。
孔子は「直にして礼無ければ、則ち絞す」と言う。
絞すとは、首を締めて人を殺す事だ。
二年ぶりに同窓会に行った処、ある会社を経営している社長が、この不況に対して、社員が「生き甲斐」を持って、活気に満ちた仕事をしてくれれば、何とか乗りきれるのだが、皆んなをしぶしぶと会社に出てくる。
仕事に打ち込んでいない。
「生き甲斐」を持つには、情熱なんだ。
仕事をは、はつらつとこなす事なんだと、喋りまくってきた。
「でも、生き甲斐と情熱を持てる会社にするには、社長さんの仕事ではない のかなあ」と、ちょっと口を挟んだら、異常な勢いで、社員の悪口ばかりをぶち出した。
嫌悪を感じ、友だちは皆んな散って行った。