おっさんじゃないぜ!

気が付くと周りはしょぼいおっさんだらけ・・・オレもそうか?いや、ちゃうぜ!・・・きっと・・・

原作おはなしーその9「あの日の朝」

2016年10月25日 14時50分40秒 | ジバクレイ達の世界

時の堰(ときのせき)第九章「あの日の朝」

「もう起きなさい。学校に遅れるわよ。」

ママの声が聞こえた。サヨは飛び起き、驚いたようにあたりを見回し、自分の頬をつねった。

「ああ、戻って来た!初めっからだ!」そう叫ぶとママに飛びついて抱き着いてみた。

「もう、何寝ぼけてんの。早くしたくしなさい。遅刻しちゃうわよ。」ママはサヨの横暴ぶりにちょっと怒ってる。

ループじゃない。サヨはそう感じていた。早く支度してレンを迎えに行こう。そして今日から吉良さんも一緒に登校するんだ。今日は忙しいぞ。
サヨはそう思い、ピイちゃんに餌と水をあげて急いで手を洗い、歯を磨いて口を濯いで食卓についた。

「おっはよ!メイ!」

サヨが妹のメイに声を掛ける。

「おねえちゃん。きょうも遅起きだね。」

妹のメイがそういうとサヨはいつものように「ウッセー!」とメイに言い、変顔をしてメイを爆笑させる。

「レン兄ちゃんにちゃんと”おはよう”って言うんだよ。」

サヨが朝食を済ませ食器を洗っていると偉そうに威張ってメイがそういった。

「メイに言われなくてもいいまーす。」変顔しながらそう答えるとメイは喜んで爆笑している。

「ママー!メイ!行ってきまーす!」サヨはそう言って家を出た。

レンの家の方を見るとレンが走って来る。

「サヨ、ループしてないよな。」

レンがそういうと「うん。全部覚えてる。一緒に吉良さんを探そう。」という。

二人は事故のあう手前まで来て吉良さんを待った。
すると、とぼとぼと吉良さんが一人歩いてくる。サヨとレンが駆け寄り「おはよう」と声をかける。道は通学路だが、今日はしばらく三人でおしゃべりして待った。また、先へ行こうとする下級生も上級生も声をかけて足止めさせた。

キキー!と大きな音が聞こえ大きなダンプが突っ込んできた。
ダンプはそのままT字路の大きな高い壁に大きな音を立てて衝突して炸裂し、炎上した。
みんな驚いていたが、サヨとレンは知ったかのように冷静だった。

人だかりが出来てやがてサイレンを鳴らして消防車と救急車、パトカーが来る。
朝から大騒ぎになったが、通学路をサヨとレンが塞き止めていたおかげで事故の被害者は特にいなかった。

学校に行くといつものように一人寂しそうにいる白井さんに話しかけ友達になろうよとサヨとレンが詰め寄り、強引に友達になった。でも白井さんは嬉しいらしく、顔が赤らんでいた。

昼休みに二人は学校の裏門から抜け出し、駅前にあるゲーセンに向かった。ゲーセンにはキヨミの姿があった。

なにやら、ヤンキーっぽい集団がキヨミと何か話している。サヨとレンは間に割って入り、「キヨミちゃんに近づくな!」とレンが言う。サヨもモップを見つけてヤンキーどもの前へ出て構えた。

「なんだ。生意気なクソガキだな!」いきがるヤンキー共に「友達のピンチに黙ってられるか!」とレン。

「生意気なんだよ!」ヤンキーがそういうとレンに殴りかかってきた。レンはさっと避け、手拳でヤンキーのみぞおちをついた。ヤンキーはその場に倒れ、仲間たちは慌て、倒れた仲間をそのままに逃げて行った。
「卑怯者は許さない。友達を苦しめる愚か者は許さない。」レンがそういうと腹を抱えながらヤンキーは逃げて行った。

「キヨミちゃん。大丈夫。」サヨがそういうと、「君たち強いのね。」という。キヨミは不思議そうにサヨとレンを見つめ、「どこかで会ったかな?」と言った。サヨとレンは「オレらは友達だよ。仲間なんだよ。」と伝え、「オレはレン。こいつはサヨだよ。キヨミちゃんはまだ知らないかも知れないけど、オレもサヨもキヨミちゃんの事はよく知っている。友達だから、仲間だからね。」と言う。

サヨが続けて「あっ。もう昼休み終わっちゃうから、キヨミちゃんLINE交換してよ。」と言って三人でスマホを振り振りして友達追加する。

キヨミには家族以外の初めてのLINE友達だったようで、喜んでレンの手をギュッと握った。レンは少し照れて「また来るね。」と言って二人は学校へ帰った。

午後の授業が終わり、サヨとレンはサヨのNEXUSで青梅市内の綾瀬製作所を探した。そう、うららのお父さんの会社だ。「見つけた!」サヨが言うと、レンが「じゃあ、行こう。」と言って二人は駆け出した。

綾瀬製作所は学校からそう遠くなく、歩いて15分ほどの路地の裏手にあった。中を覗くと綾瀬社長がなにか作業しているのが見えた。

「こんにちは。」サヨがそういいレンと中へ入る。

「ああ、こんにちは。うららの友達かい。」穏やかな表情で二人をにこやかに迎える。そんな綾瀬社長にサヨが駆け寄り、抱き着く、「うららちゃんのパパ。絶対死んじゃだめだよ。」そう言ってギュッと抱きしめた。綾瀬社長は一瞬たじろぎ、どもりながら「大丈夫だよ。」って言う。サヨはギュッと抱き着いたまま「うららちゃんのパパが死んじゃうと、うららちゃんも死んじゃうんで絶対死んじゃダメ!」ってより強く抱きしめた。

「城代も言ってたけど、戦国時代じゃないんだから、どんなに失敗しても殺される事はないんだから、平和なんだから、生きてれば何とかなるよ。ねっ。」

綾瀬社長も幼いサヨにそんなことを言われるとは思わず、ポロポロと泣き始めた。

「でも、おじさんにはもう何もないんだ。うららにも何もしてあげられないんだ。」と言うので更にサヨはギュッと抱きしめた。
レンはそれを遠目で見ていたが、「うららちゃんのお父さん。うららちゃんに何もしてあげられないって言ってたけど、お父さんが死ぬとうららちゃんを殺してしまう事になる。だから絶対に生きて。うららちゃんを殺さないで。」と強く言った。

そこへうららがちょうど帰ってきた。そう、工場兼家になっているんだ。
お父さんがポロポロ泣いていて、それをサヨが抱きしめている。それをギュッと両手を握りしめて立ち尽くすレン。その光景にうららは驚いた。

そもそも何でサヨちゃんとレンくんが家の工場にいるの?


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