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県自主防災組織交流会で南塩屋(御坊市)小引(由良町)浜ノ瀬(美浜町)発表 〈2018年2月20日〉

2018年02月20日 08時30分00秒 | 記事

パネルディスカッションで発表する楠本、内芝、村岡各会長
(左から)


 県自主防災組織情報連絡会と御坊市は18日、御坊商工会館で平成29年度情報交流会を開き、地域住民や関係者ら約200人が出席。御坊市の南塩屋区自主防災会、由良町の小引区自主防災会、美浜町の浜ノ瀬区自主防災会が事例発表し、パネルディスカッションを行った。地域住民の防災意識、防災力を高めるキーワードとして地域の絆、気づきの共有、発想の転換が挙げられ、出席者は「活動の参考にし、犠牲者ゼロを目指したい」と話した。
 
 南塩屋の楠本文郎会長は避難訓練や通行止め訓練、塩屋小と関西学院大との連携、市や県の補助金を活用したブロック塀や危険家屋の撤去、避難場所と地域の憩いの場を兼ねた観音山整備などを紹介。観音山整備では子どもも参加して植樹やベンチづくりを行い「子どもからお年寄りまで幅広い年齢層が災害に強い地域づくりに取り組めた。防災をきっかけに地域の絆をより深められた」と話した。
 小引の内芝善明会長は「みんなで助け合う手づくり、手探りの活動」として集落内の住民のつながりを強めるため自治会行事等への積極的な参加を促す▽地域で最も高いところにある空き家を活用して防災備品を保管する▽土地を用意して町に避難施設建設を働きかけていること▽摂南大学との交流などを紹介。「防災意識を高めるには、ふるさと意識を高めることが大事。全員参加で今後も取り組みたい」と話した。
 浜ノ瀬の村岡茂会長は浜ノ瀬避難タワー、松原地区高台津波避難場所、蓄電式LED避難誘導灯などハード整備、夜間避難訓練や桜の木植樹、いきいき百歳体操、ラジオ体操など浜ノ瀬老人クラブや地域の子どもたちと一緒になった区内連携行事を紹介。「防災の原点はコミュニケーションだと思う。松原地区高台の整備をきっかけに防災元年と位置づけ、今後も犠牲者ゼロを目標に活動したい」と話した。
 阪神・淡路大震災記念人と防災未来センター主任研究員の本塚智貴氏をコーディネーターに行ったパネルディスカッションでは、今後の取り組みとして楠本会長は「最大のテーマは要支援者の人をどのように避難してもらうか。発想の転換も必要で、夜間訓練なども行いたい」、内芝会長は「自分の身を守る、ふるさとの安全を想う、訓練を少しでも生かした行動をテーマに取り組みたい。早朝訓練もやりたい」、村岡会長は「防災員のなり手がないが、嘆いていても仕方がない。区を挙げて全員野球で取り組みたい」と話した。
 本塚氏は「防災に正解はない。訓練が目的ではなく、訓練で大事なのは失敗すること。問題点や課題を洗い出すといった気づきを共有し、なぜ失敗したか、次はどうしたらいいかを考えて改善する。その積み重ねが大事」「夜間や早朝訓練と言った発想の転換も必要。女性の化粧品道具を備蓄する、女性の下着を干す場所を確保するといった女性目線の取り組みも考えてほしい」「批判する人がいるが、批判からは何も生まれない。より良くするための意見を言ってほしい」とアドバイスした。


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