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令和2年春の叙勲に日高地方(みなべ町除く)から6人 その道一筋の功績たたえる 〈2020年5月1日〉

2020年05月01日 08時30分00秒 | 記事

 令和2年春の叙勲に県内から45人が受章した。みなべ町を除く日高地方から旭日双光章にスポーツ振興功労で美浜町和田1623の3、元県体育協会理事の小宮清氏(78)、食品衛生功労で印南町島田2171の2、県食品衛生協会副会長の辻井和𠮷氏(70)、地方自治功労で日高町阿尾584、元町議の一松輝夫氏(70)。瑞宝双光章に教育功労で印南町山口689の4、元公立中学校長の岡本徹士氏(71)。瑞宝単光章に社会福祉功労で美浜町和田2873、元養護老人ホームときわ寮主任介護支援員の宇戸菊美さん(65)、消防功労で印南町印南1629の2、元町消防団長の浜中芳光氏(66)の6人が選ばれた。いずれもその道一筋の功績が認められた。コロナウイルス感染予防で拝謁、伝達式は中止される。


体操競技発展に尽力
旭日双光章 小宮清氏

 昭和39年3月に日本体育大学を卒業後、39年の長きにわたり県立高校教諭として学校教育と体育・スポーツの指導に打ち込み、体操部の指導者として、生徒の健全育成と優秀な競技者の養成に尽力した。
 自らが競技者としてインターハイ種目別(ゆか)第3位、全日本体操競技選手権大会団体総合(日体大)第2位などの成績を収め、昭和38年には東京オリンピック強化選手にも選ばれた経験を生かして、高校生らを指導。数多くのチームや選手を全国大会へ導き、インターハイには21回出場するなど、県の高校における体操競技の競技力向上に大きく貢献した。その功績から、昭和61年に全国高校体育連盟体操部優秀監督賞、平成11年には同部功労賞を受賞した。
 県体操協会では、常任理事、副理事長、理事長を歴任し、平成26年から現在まで副会長を務め、50年以上の長きにわたり体操競技の普及、発展に尽力。昭和54年には、他の指導者らと協力して、県内にジュニア選手育成の拠点となる「オレンジクラブ」を立ち上げて、小学生から高校生まで一貫した指導体制をつくり、田中和仁、理恵、佑典の3きょうだいらオリンピック選手を輩出するクラブへと育て上げた。現在、近畿体操協会副会長。
 小宮氏の話 光栄で身の引き締まる気持ち。皆の助けや支えがあったからこそ、感謝します。死ぬまで和歌山の体操発展に貢献したい。


自主衛生管理向上に注力
旭日双光章 辻井和𠮷氏

 料理旅館「辻井」を営み、料理長を務める傍ら、日高食品衛生協会の事業に積極的に参加。平成22年から会長を務め10年、県食品衛生協会副会長など歴任する。日高地方内外で食品事業者の自主衛生管理の普及向上に力を注ぐ。
 平成6年に食品衛生指導員となり10年に日高食品衛生協会理事に就任。会長就任後、組織の強化と食品衛生指導員の充実に力を尽くす。特に指導員活動は事業の中核と位置づけ、ATP拭き取り検査を導入し食品衛生の意識向上に貢献。食中毒予防の第一歩は「正しい手洗い」とし、会員に手洗いマスターの登録を推進、小学校で手洗い教室を開くなど、各地で衛生の普及向上に努める。また、製品の安全性を確保するハサップを、個人事業主でも円滑に活用できるよう細やかな取り組みを推進。県食品衛生協会では、食品事故の防止対策や食品表示の適正化などに取り組み県産食品の信頼確保に尽力。26年からは副会長として会の中核を担い、経営基盤の強化に着手、経営の安定化を図った。現在、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、飲食業や旅館業などが苦境に立たされている。「会員の皆さんが今まで通りに事業をできないのが本当に辛い。1日も早い終息を」と心を痛める。
 辻井氏の話 皆さまのおかげ。このような時期だけに心底喜べない。今後も事業者の皆さんの自主衛生管理向上に努めていきたい。


地方自治の発展に貢献
旭日双光章 一松輝夫氏

 昭和58年2月に初当選し、3年8カ月務めた後、町長選に出馬。昭和62年2月、町議に再当選し、以降は連続8期を務め、産業建設常任委員会、総務常任委員会、議会運営委員会、海の里整備事業検討特別委員会、合併問題検討特別委員会の各委員長など多数の要職を歴任した。
 政治信念に基づき原発誘致反対の姿勢を貫き通し、日高町から原発の火種を消し去ることに粉骨砕身。行財政改革や防災・減災対策に卓越した手腕を発揮するとともに、保健福祉総合センターや温泉館「海の里」みちしおの湯の建設、下水道整備の早期完遂などで地域活性化や住民福祉の向上に多大に貢献。公平・公正な信念を旨に迫る姿や、その向上心は多くの地域住民から慕われた。
 第23、27、28、29代の議長や議会運営委員長の役割を果たし、持ち前のリーダーシップと群を抜く指導力で議会を牽引。優れた運営手腕は高く評価され、歴代議長の中でも屈指の名議長と称された。その活躍は1町にとどまることなく、県町村議会議長会副会長、県町村議会議長会政策審議会委員長、日高郡町村議会議長会長などを務め、都道府県議会議員及び市区町村議会議員総務大臣感謝状、全国町村議会議長会創立70周年記念表彰も受けた。
 一松氏の話 天皇陛下に拝謁できないのが残念ですが、大変名誉で光栄なこと。応援してくれた方々に感謝の気持ちでいっぱい。


教育の発展・充実に尽力
瑞宝双光章 岡本徹士氏

 昭和46年4月、真妻中学校教諭として赴任し、平成21年3月に退職するまで、小・中学校で38年間、印南町教育長として5年間の長きにわたり、県教育の発展充実に尽力。
 学習指導・生徒指導の両面から、日々教育実践を高め、特に理科教育の振興・充実や班学習による仲間づくりの実践に力を注いだ。陸上競技や駅伝の部活動指導にも情熱を傾け熱心に指導。切目川中教諭時代には縦割り班での秋の遠足を実施し、班単位で校区内に設けた6カ所のチェックポイントを通過、途中に「クリーン作戦」「歌を一首」「スケッチ一筆」「歴史を知る」の4つの課題に取り組ませ、日ごろ意識することの少ない豊かな自然や文化にふれさせ、郷土の良さを認識させた。
 温厚な人柄と旺盛な研究心、円熟した手腕で、教頭、校長の16年間の管理職として、豊富な見識と卓越した指導力で、学校や地域のもつ課題の解決に尽くし、多くの有能な人材を育て世に送り出し、地域からの学校教育に対する信頼を高めた。
 印南町教育長を5年間務め、町内中学校への空調設備設置など学習環境の充実に努めた。2年間は日高地方教育長会長も務め、印南町だけでなく、日高地方全体の教育発展に貢献した。
 岡本氏の話 栄えある章を頂戴し恐縮しています。受章は、関わった多くの皆さま方のおかげであり、心から深く感謝しています。


常に笑顔で業務に専念
瑞宝単光章 宇戸菊美さん

 平成元年に養護老人ホームときわ寮臨時介助員として奉職し、31年にわたり利用者の多種・多様化するニーズに対応し、利用者個々を尊重しながら、快適で安心安全な生活を送ってもらえるよう、介護・生活支援に尽くしてきた。
 常に笑顔を絶やさず優しく誠実に接し、サービス提供の低下・支障のないように努め、施設のクラブ活動等でも楽しく有意義に過ごせるよう工夫・配慮した。
 平成16年、特別養護老人ホームときわ寮川辺園に異動。経験と知識を生かして後輩の指導・育成に取り組み、平成23年に主任介護員に昇格。和を重んじ、職員のスキルアップや施設運営、地域福祉に尽くした。
 努力を惜しまず自ら先頭に立って業務を行い、不安を抱えて入所する利用者には常に優しい声掛けをし、家庭的な生活の場を提供できるよう心がけた。人柄は明るく活発で思いやりがあり、利用者やその家族、職員、地域住民も信頼を寄せている。
 自己を高めるため平成6年に介護福祉士の資格を取得。向上心が強く、勤勉な働きぶりが認められ、平成23年に全国老人福祉施設協議会会長感謝状、平成24年に同協議会会長表彰、平成25年に県知事表彰「白梅賞」を受賞した。
 宇戸さんの話 職員や家族の理解と協力のおかげでやりがいのある仕事を続けてこられた。まさか自分がという思い。光栄です。


消防団活動45年の功績
瑞宝単光章 浜中芳光氏

 昭和49年1月に印南町消防団員となり、副分団長、分団長を経て平成22年に副団長、平成25年4月から平成31年4月まで消防団長を務め、町民の安心安全を守るために尽力。
 45年間の団員生活では、消防の責務を深く認識し、消防団員の育成と強化に努めた。災害発生時には、率先して防火防災の指揮にあたり、被害を最小限に食い止める実行力と責任感は団内外から認められた。
 平成31年、夜に発生した南谷地内の建物火災では、民家密集地で早急な消火活動を求められた。そんな中、通報を受けると現場に急行し団員を指揮。付近の防火水槽や消火栓、河川からホースを延長すると、的確な消火活動を行えるよう団長としてのリーダーシップを発揮した。迅速な行動と適切な状況判断による指揮が隣接する民家への延焼を食い止め、家族も無事に救出。被害を最小限に食い止めた現場での活動が地元住民からも高く評価された。
 災害時だけでなく、「火を出さない」という基本的な火災予防啓発にも力を入れ、団長として防火講習会などに積極的に出席。消火器実地講習会や防火啓発ビデオの講習会などを開き、火災予防の高揚を図ったほか、消防の機動力や水利の充実、団員の確保、育成などを積極的に進めた。
 浜中氏の話 大変光栄です。団員はじめ多くの皆様のご指導、ご協力のおかげと家族の理解と支えがあってのものです。


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