「海からの熊野古道」ルートの一つ「比井越」の切通し
10日に開いた日高郡町村会(会長・籔内美和子美浜町長)定例会で小路哲生・日高振興局長が、県教委がめざしている世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の追加登録に向け、日高町比井から紀伊路に合流する「海からの熊野古道」も候補地になるのではと問題提起した。町主導での詳細な文献・学術調査や国史跡指定など課題も多く、一朝一夕にはいかないが、関係町の積極的な取り組みを促した格好だ。
県教委は世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の指定範囲拡大に向け、紀伊路に残る王子社の学術調査を実施するなど将来的に紀中、紀北の地域に指定範囲を拡大させることを目標にしている。世界遺産登録を受けるには国の史跡指定が必要で、管内では平成30年に御坊市の塩屋王子跡と愛徳山王子跡北東参詣道、令和4年に日高町の鹿ヶ瀬峠、印南町の切目王子跡、みなべ町の千里王子跡、千里王子跡北東参詣道が国史跡に指定されるなど、着々と準備が進んでいる。
「海からの熊野古道」は紀伊路最大の難所と言われる鹿ヶ瀬峠を避け、船で比井湊に到着後、比井から志賀谷の久志集落を越える「比井越(ひいご)」を通り紀伊路に合流するルート。この海路から熊野を目指すルートも当時の主要街道だったことから、令和の時代にこれを再現し、新たな観光資源として売り出そうと、日高広域観光振興協議会が今年1月にウオーキングイベントを行い、約80人が参加し好評を得た。
このイベントで歩いた「入山コース」(約14キロ、約4・5時間)のほか「誕生院往復コース」(約5キロ、約2時間)、「高家・道成寺コース」(約14キロ、約4・5時間)、「小池コース」(約12キロ、約4時間)の計4コースを設定。ルートにある比井王子跡、志賀王子跡、小中王子跡、松原王子跡などが国史跡、世界遺産の候補地になり得るのでは、と提起した小路局長は「まず町長の皆さんに追加登録に向けた取り組みの現状、候補地としての可能性について説明させていただいた」と話した。
町村会定例会では令和7年度町村会予算を承認したほか、県町村会理事会、日高地方総務課長会議の報告も聞いた。
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