今、桜前線は青森あたりだろうか。
重松清・著の短篇「さくら地蔵」を読んだ。
子どもたちの通学路に、お地蔵さまがぽつんとたたずんでいる。
頭上に桜の樹はないのに、毎年2月から5月頃まで、お地蔵さま
は桜の花びらで飾られ、ピンク色のじゅうたんで敷きつめられて
いく。 いつからか「さくら地蔵」と呼ばれるようになった。
桜は大型トラックの運転手が桜前線を追って、九州沖縄から北
は北海道まで日本各地に立ち寄った先で拾い集めた桜である。
さくら地蔵を建立したのは、小学校入学を控えた一人息子を交通
事故で亡くした、長距離ドライバーだった ………
子どもを持つ父親にとっては、自分に重ねて胸がしめつけられる
ような物語である。しかし、最後は春のように心も温もる読後感が
いい。
交通安全祈願!