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夢の中にしばしば異形の人が現れる。
首だけで動き回ったり、足しかなかったり、姿勢やバランスが奇妙だったり、一見普通、
だけど口をあけると牙がびっしりだったり・・・
彼らの異形は見た目だけではない。大抵頭もイカレてる。正真正銘狂ってる。
そしてロクなことをしない。規則を守らないのは勿論。刃物を振り回したり、覗きをしたり、
所かまわずわめき散らしたり、料金を払わなかったり。
マトモな人間たちは、形がきれいで、解る言葉を喋る。決めたルールを守る。
数が多く、計算が出来て頭が良い。そして圧倒的に強い。
夢の私は知っている。本当はマトモな人たちが住みよい場所に後からやってきたことを。
そして自分たちに都合の良いルールを勝手に作ったこと。
便利なものは全てマトモな人たちが作った。安全な社会もマトモな人たちが作った。
武装した彼らがパトロールをしてくれるから、女の私でも一人で表を歩けること。
そのように思われているけど、本当はどうだかわからない。
夢の私は知っている。異形の人は醜いけど個性が豊か。目は美しく輝いている。
マトモな人たちの目はロボットみたい。皆で同じ格好をして同じ事をする。
私はマトモな人たちの一員。彼らに義理があり、仲間だから守ってもらえる。
だけど真の愛情こそ異形の人が持っているのを知っている。だからこそ?彼らが怖い。
触れられるのが嫌だ。輝く瞳に激しく惹かれて私の心をとらわれながら。
マトモな人たちも時に空寒くゾッとするけど彼らには秩序がある。ルールさえ守れば
勝手なマトモ理屈によって、何故殺されるのかも解らないのであろう異形の人たちのように
消されることがないのを知っている。
マトモでいるために異形の人を戒める。時には私も殺す。
彼らが何故あんな姿で、何を考えている何者なのかは解らないが、決して処刑など
されるべきではない者たち、たとえ足一本でも、首だけでも、秩序がなくても、
夢の中ではどういうわけだか、これでも同じ人間なんだということは解る。
殺すことで異形とマトモのハザマに落ちる。どちらにもいけない私は、生死のハザマの異形の瞳を
見つめながら心が引き裂かれてしまう。
戒めれば戒めるほど、異形はますます奇妙な形になっていく。追い詰めると奇形的に縮んでいく。
道徳や規則を説けば、益々バカで卑しくなる。理屈を言えば、もはや言語なのかすら
わからない音を発する。
目覚めた私は思う。
本当は刃物を振り回すアナタと私も友達になりたかった。殺すよりもいっそ一緒に死にたかった。
本当は覗きの首だけ人間を問い詰め追い出し突き出したくなんかなかった。
ハダカの胸に優しく抱きしめたかった。
夢の世界は両極端。マトモと異形が対立している。
目覚めた私は思う。
仲良くなって…一番美しくなぁれ。
画像はラクガキ・アニメ「まよいの森」カウワと精霊ウサカモ
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