暮らしと古民家

折々の暮らしの中気が付く大切なこと

語らず

2023年02月28日 | 古民家
 人形が怖いと思った幼い時分・・・薄暗い部屋のどこからか、コトリと伝わる影があり・・・
見知ったお家の中でさえ感じてしまえば当然のように・・・田舎や古いお宿で気付いてしまう居心地悪さは・・・
語り諭すほどに・・・表情豊かな顔と目で並んでいる・・・。

命が宿るすべての自然に祈りを求めて・・・誰もが信仰を頼りに暮らしが積み上げられて・・・
お地蔵さまや仏様・・・・節句のお雛様や武者人形には、造る人の技術以外の僅かな命の重さが宿っているような気がする・・・。
墨の筆で描いた目や口の表情に・・・小刀で削られた目の細さも・・・
人として造られた人形よりも人形らしく・・・人が語る以上に饒舌に何かを語り掛けて来る・・・。

子供が生まれる度に人形が贈られ・・・子が無くなれば、こけしを残して・・・
身代わりになる仕草も・・・話し相手になる寄り添いも・・・
今ではすっかり消滅しそうな行事となって・・・大げさに広げる人の輪の中に・・・
どこまで巻き込んで進めばよいのか・・・解らなくなってしまう・・・。
生まれた理由が解りもしない・・・雨風に削れた石の塊も、いつかは意味のあった彫り物が薄れ・・・
誰が連れて来たのか素性も知れ無さそうな人形を背に・・・子供のお祝いが薄くなって・・・
語らずしてモノが言える暮らしの繋がりに・・・大きな意味はあるような気がします。


コメント
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