にゃんこの置き文

行く川の流れは絶えずして、しかも元の水にあらず

受賞は逃したけど

2024年08月21日 | 小説
日本歴史時代作家協会の新人賞にノミネートされていたけど、残念ながら受賞はできませんでした。

以下は結果。



2024年8月19日(月)に、第13回日本歴史時代作家協会賞(2024年度)(主催:日本歴史時代作家協会)の最終選考会が開催されて受賞作が発表されました。
●新人賞
東 圭一『奥州狼狩奉行始末』角川春樹事務所
[候補作
阿野 冠『蛍の光 長州藩士維新血風録』徳間書店
天羽 恵『もゆる椿』徳間書店
神尾水無子『我拶もん』集英社
三本雅彦『運び屋円十郎』文藝春秋


なんだか久しぶりに、候補に残ってから発表までのドキドキ感を味わわせていただきました。
2年前に「大藪春彦新人賞」を受賞するまで、3回最終候補に残りながら、いずれも「残念ながら」で終わってしまった。
この時はきつかった。
受賞できなければ最終に残ろうと一次で落ちていようと同じ事。次の機会まで、一年歳月を重ねてしまうってことだから。

今は取っても取れなくても、執筆中の作品を頑張ればいいだけだから、そんなに落ち込むこともない。
何よりノミネートされただけでも、作家として認めてもらえたような気がして、素直に嬉しい。
次の作品でも、受賞できなくてもいいからあちこちで候補になりたいな。
そして小説界のステイゴールドかロイスアンドロイスを目指したりして
(ステイゴールドはまだしも、ロイロイは例えとして古すぎるかな)



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長編と短編

2024年04月16日 | 小説
「緋の契り」を書き終えてから、はや二ヶ月が過ぎた。
まったく白紙の状態から脱稿まで二か月半というのは、私にとっては最速だ。
今、思い返しても、よく無事に書けたものだと冷や汗が出る。

私は小説の依頼って、最初はあいさつ程度で、それから意向を確かめ合い、ネタを出してオーケーが出たら企画書を提出してという具合に、徐々に話を詰めていくものだと思ってた。
だけど月刊誌でそんな悠長なことをやっていたら日が暮れてしまうのだろう。
依頼はいきなりやってきて、いきなり決まった。
私なんぞが書いて本当にいいのかと思ったけど、ド新人にとっては書く場が与えられただけでも超ラッキー。まさか断れる筈などない。

デビュー作の「もゆる椿」は生まれて初めての長編だったから、慣れないことだらけでいろいろと大変だった。
でも50枚ならR18への応募で何度も書いている。(すべて落選だったけど)
80枚を一か月半で書いたこともあるのだから、きっと大丈夫だろう。
それに小説誌だったら当然他の作家の作品もいっぱい載ってるわけで、一作くらい駄作が混じっていても売り上げには影響すまい。(コラコラ)
そんなふうに自分を励ましたり慰めたりしながら書き始めたんだけど、向こうはどうだったんだろう。
「やっぱり書けませんでした」とか、「できましたぁ~」って渡された作品が読むに耐えないものだったりする可能性は考えてなかったのかなぁ。

私はいつも、キャラだけ先に決めて、筋は書きながら考えていく。
ところが書き始めてすぐに躓いた。
ほぼ1年近く「もゆる椿」で悪戦苦闘していた成果で、いつの間にか頭が「長編脳」になっていたのだ。
これは思わぬ誤算だった。
短編のリズムを忘れてしまってるせいで、筆がまったく進まない。(懐かしい比喩だよね。今ならキーを打つ指が動かないってとこかな)
修正するのに半月くらいかかったかな。
そういや逆の意味で、「もゆる椿」を書き始めた時は大変だったことを思い出した。
なんせそれまで、100枚以上の作品って、書いたことがなかったからね。

けれど、ここでまたまた後遺症が出現。
「緋の契り」を書き上げたら、今度は「短編脳」になってしまったのだ。
今は長編に取りかかっていて、第一章を書き上げたところなんだけど、読み返したらどう見ても短編の流れ。
こりゃ早々に書き直しだなぁ。
なんて融通のきかない私の頭。
世の売れっ子作家さんたちは、長編と短編を同時執筆することもざらなわけで、改めて凄いなぁと感心する。

凄いと言えば、今回改めて思ったんだけど、編集者の人たちはそれ以上かも。
一作にかかりきりになって書き上げればひと息つける私と違って、編集の人は担当の作品をチェックし(それも複数の)、その間に企画を考え、次の次の号に載せる作家に依頼をし、イラストレーターさんと打ち合わせ、校了したと思ったらもう次の号の作業が始まる。私が知らない諸々の仕事もあるだろうし、新人賞の担当をしていたら応募された作品も読まなければならない。
想像するだけでため息が出そう。

兼業だから書く暇がない、なんて甘いことは言ってられんなぁ。
次の長編、頑張ります




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小説新潮

2024年02月26日 | 小説
小説新潮3月号に、短編「緋の契り」が掲載されました。

私にとっては3作目の時代小説。
梶よう子先生をはじめとするお歴々に並んで、自分の名前があるのを見た時はちょっと感動した。
苦労したけど、頑張ったかいがあったかな。






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短編執筆

2024年02月12日 | 小説
元々筆不精で、思い出した時に書く程度だったけど、いつの間にかこの前の記事から2か月以上も経っててビックリ。
でもね、今回のブランクはサボってたわけじゃないんだよ。。
もう、それどころじゃないくらいに忙しかったのだ。

10月28日に拙作「もゆる椿」が出版されて、それを読んだという編集者から嬉しいことに執筆依頼が入った。
締め切りは1月末だという。
自慢じゃないけどこの私、せっせと応募をし続けていた時でも、年に3作以上書いたことはない。
つまり短編一つ仕上げるのに、4か月近くかかっていたってこと。
それが正味2ヶ月。
しかもネタなしで頭の中は真っ白状態。
この短期間でゼロから一作完成させられるのか?
でもありがたく声をかけていただいたのに、ド新人の分際で断るなんて真似はできない。
「もゆる椿」だって、それまで短編しか書いたことがなかったので不安だったけど、やってみたら何とかなった。
えーい、今回も何とかなるだろう。
という根拠のない見通しのもと、初めての小説誌掲載向けの作品を書き始めたのでありました。

結果的に「何とかなった」わけだけど、いやもう大変だった。
11月から1月にかけては、お歳暮とふるさと納税で本業が一年で一番忙しい時期になる。
なので、じっくり執筆できるのは週一回の休みの日だけ。
しかも締め切りがあってないも同然の単行本と違って、雑誌のほうはとってもタイト。
なかなかハードな2ヶ月でありました。

でも執筆自体はとっても楽しかった。
おさきやお美津に負けないくらい、愛おしいキャラがまた生まれた。
この快感があるから、書くことはやめられないんだよね。
今度の主人公も、なかなかの上玉でやすよ^^




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65にして惑いっぱなし

2023年11月09日 | 小説
人の欲ってキリがないものだなと、つくづく思う。

投稿を始めた頃は、「1次だけでも通ってくれたら」と思っていた。
3作目の投稿から2次まで通るようになり、そうなると今度は、「最終候補に残って批評をもらいたい」と思うようになった。
最終候補に残るようになったらなったで、「悪魔に魂を売ってもいいから受賞したい。受賞さえできたらそれで満足」と願い始めた。
めでたく願いがかない、そこで満足だった筈だ。
それなのに、「一冊でいいから本を出したい」と、欲求はさらに続いた。
書いている最中は、「この作品に今の自分の力のすべてを注ぐ。無事に書き上げることができたら、この一冊だけで終わってもいい」と思っていた。

そして刊行。
今度こそ満足すると思っていたんだよ。
なのに今、「かなうものならもう一冊出したいなぁ」などと思っているのだ。
おーい、受賞して一冊出せたら満足するんじゃなかったのかーい?
どこかから声がするが、私自身は聞いてない。
頭の中は何を書こうかということでいっぱいになってる。

だけど「書きたい」という思いが膨らむほど、「書けなかったら」という不安も大きくなるんだよね。
そればかりを考えてると思考の幅が狭くなって、まわりへの配慮を忘れたり、変な方向に自分を追い詰めてしまったりする。
ここのところ後悔したり反省することが多いんだけど、無意識のうちに焦ってるんだろうなぁ。
一歩一歩階段を上がってきて、満足という名の最上階に達したと思ったら、単なる踊り場だったという感じ。
もう一作書けたら、今度こそ満足するんだろうか。
それともこの階段には終わりがないんだろうか。

立ち止まることはしたくないけど、この歳になって階段を上り続けるのは、ちょっと膝が辛かったりして。


ここでまた、「x」で嬉しいコメントをみつけた。

有隣堂淵野辺店
「『もゆる椿』入荷しております。鬼と呼ばれた少女と剣だけが取り柄の青年が織りなす仇討ち道中物語。少女と青年のでこぼこコンビの和やかな道中と迫力のある勝負シーン。デビュー作とは思えない作品です。レジ前エンド台にございます」



置いてない本屋さんのほうが多いのに、レジ前に並べてくださるとは。
三千里をさまよった後、地獄で仏に出会ったみたい



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