にゃんこの置き文

行く川の流れは絶えずして、しかも元の水にあらず

大藪春彦新人賞授賞式

2023年05月17日 | 小説
遅ればせながら(遅れすぎだろと思うけど)、授賞式の報告をば。



こんな場に立てたことは光栄だと思うけど、気分は拷問だった。
部屋の片隅に引きこもって「あーでもないこーでもない」と文章をひねくりだしてるのが好きだから小説を書いていたのであって、人前に晒されたりスピーチをしたりするのは「大」が100個つくくらい苦手。
式の最中は、ずっと顔が強張っていたもんね。
マイクの前に立った時は、「ガラスの仮面」の北島マヤを思い出して、自分ではない者の仮面を被ってた。そうでもしなきゃ、ひと言の言葉も出なかったと思う。

でも、憧れの今野敏先生や黒川博行先生とお話ができたのは嬉しかった。
お二方以外の先生たちも、とっても気さく。
大御所と言われる方たちはコミュ力も優れているんだなぁと実感した。(見習えと言われても無理だけど)

今回、賞を取れたのは、運がよかっただけだと思ってる。
自分にセンス(才能)がないことは、過去の選評でも明らかだから、唯一認めてもらった筆力を高めようとひたすら頑張っていただけ。
才能は持って生まれたものだからどうしようもないけど、筆力は努力でいくらでも鍛えられるもんね。
だからもし今回の候補者の中に同じくらいの筆力の人がいたら、私は再び「筆力はプロ並みだがきらめくものがない」という選評とともに落とされていたと思う。
小説の執筆は息をするのと同程度になっているので、授賞しようとしまいと書き続けてはいただろうけど、刊行を視野に置いて書く作業は、先の見えない投稿作を書いている時よりずっと楽しい。
これからもずっと書き続けていきたいなぁ。
今は筆力だけだけど、そのうちひょっこりと、才能の神様が訪れてくれるかもしれないしね。

というわけで、受賞作はここで読めます。
当分の間は無料なので、さくっと読んでみてくださいませ。

https://www.amazon.co.jp/dp/B0BW44YCHK/ref=cm_cr_dp_d_vote_lft?ie=UTF8&csrfT=hJA9AZFX9S2BiDTCCww76qLyjJf2T46a97OCafZMbqiJAAAAAGQPCIwAAAAB&reviewId=RWZKQNNTH67J7#RWZKQNNTH67J7