京都の歳時記

東福寺、伏見稲荷大社等の神社仏閣と祇園の舞妓、芸妓を中心に黒柴の小ざさが京都の美しい四季を紹介する 京都の歳時記

『冬の東福寺』♪其の二

2007-01-31 19:34:47 | 東福寺

『重森三玲の不思議空間』…「東福寺(塔頭)-霊雲院」

_3_p1010197_1 「霊雲院-九山八海の庭(霊の庭)」

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「霊雲院―臥雲の庭」

最初の庭(霊の庭)は一見、通常の日本庭園に見えますがよくみると、

真中に日本庭園では見たこともないモニュメントみたいなものがあります。

よく観ると以下の写真です。

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これは何でしょう?   「遺愛石」と言われています。

霊雲院の第七世湘雪守沅は肥後熊本の人で藩主細川忠利と親交があり、

湘雪和尚が霊雲院に住職される時、細川忠利が寺産五百石を贈ろうとしましたが、

「出家の後、禄の貴きは参禅の邪鬼なり、庭上の貴石を賜はらば寺宝とすべし」

と申されたのです。そこで細川家では、「遺愛石」と銘をつけ、須弥台と石船とを

作っておくられたのです。これが「遺愛石」なのです。

庭中央の「遺愛石」が須弥山で、それを取囲む白砂の律動的な砂紋は九山八海を表現して、

仏教の宇宙世界を象っています。(仏説にこの世界は九つの山と八つの海からなりその中心

が須弥山だという。)

この庭は江戸時代「遺愛石」のある珍しい庭として有名であったが、その後三百年の歳月が

お庭をすっかり荒廃させてしまったが、近年 作庭家 重森三玲氏によって見事に蘇ったのです。

霊雲院を訪れて最も印象に残ったのが、水をうったような静けさでした。

何も動かないし、何も聞こえない。すべてが動きを止めて、まるで、絵の中の世界にいる。

それでも、寂しいという雰囲気はまるでない。あるのは浮世離れした不思議な世界であり、

空間です。……

私が感動した庭はもうひとつの庭―「臥雲の庭」です。

くねくねした雲形のありさま、敷き砂の色使い…。最初にこの雲形を見たときは

絶句してしまいました。

これぞ「重森三玲」の庭という感じです。

重森庭園を数多く見ていくうちに、この刺激が何ともいえない心地よさです。

でもひとつだけ気になったのは、この「臥雲の庭」もっと上から観たい!

このすばらしい雲形をもう少し離れて上から眺めたい!

庭の回りを見渡すとあるではないか!めったに見ない二階建ての茶室が…!

おそらく「重森三玲」はこの茶室から見せるために、「臥雲の庭」を作ったのでは……。

この茶室太閤秀吉が北野大茶会当時のものを、移築したもので「観月亭」と銘銘されています。

桃山時代の清明な茶風偲ばれる茶室ですが、一般公開してほしいですね。