分かりづらい増税のインボイス制度
一般的にはあまり問題視されていないというのは実感としてあります。
久慈市内でも一部の商業団体がチラシを出して反対してはいますが、零細な企業の訴えは中々取り上げられないという現実があります。
一般の消費者もよくわからないので、関心がない。
内容を分かる税理士さんなどはかなり反対意見がある。それでも政府はびくともしない。
電気料金の再生エネルギー負担金と同じで、よくわからないまま導入され、段々負担額が増えていく。そんな感じです。
零細企業にはトドメとなり、そして消費者にはじわじわと、ボディブローのように効いてきるので何が問題かもわからない。最後は自己責任です。
単純に、国民を苦しめるための税制です。
「表現者クライテリオン編集長、京都大学教授 藤井聡」より、専門的な視点の解説を載せました。ちと長いですが理解しやすい。
『岸田内閣は今、来年(2023年)10月に消費税についての「インボイス」制度を導入すべく、準備を進めています。この件について、当方のメルマガ『クライテリオン編集長日記』https://foomii.com/00178にて解説差し上げたところ、大きな反響がありましたので、より多くの皆様にご理解頂くべく以下にご紹介差し上げます。是非、ご一読下さい!
インボイス、と言えば、一般の国民にしてみれば、聞き慣れない、何のことだか分からない制度ですから、特に賛成も反対もないという方が大半だと思います。が、一言でいって、これは単なる「消費増税」。結果、中小零細企業の多くが倒産し、大企業においても収益が減少し、一般の消費者にとってはさらに物価が高くなる……という最悪の帰結をもたらします。
このインボイスなる制度によってなぜそんなことになってしまうのか、を、順をおって分かり易く、簡潔に解説いたしたいと思います。
【ステップ1:売り上げの1/11を業者が納税している】
消費税を納めているのは、「業者」です。「売り上げ」には、私達消費者が支払った10%分の消費税が含まれていますから、それを年に一回、まとめてその消費税分を税務署に納めているのです。具体的に言うなら、消費税率が10%ですから、売り上げの1/11(=9.1%)という事になります。例えば、1100万円の売り上げがある商店は、100万円もの消費税を納めているのです!
【ステップ2:ただし、仕入れ分の消費税は、払わなくてもいい】
ただし、そんな「業者」さんも「仕入れ」の時には、仕入れ業者さん(以下「下請け」さん、と呼びましょう)に消費税を払って癒える事になります。だから、仕入れ分の消費税は「下請け」さんに既に払っている、ということで、その分は税務署に払わなくてもいい、という事になっています。つまり、仕入れ分の消費税は、業者さんは払わなくてもいいのです。別の言い方をすると、業者さんは、
「売り上げから仕入れ分を差し引いた利益(一般に粗利、といいます)」の1/11
を税務署に払っているのです(つまり、消費税というのはこう考えると「粗利にかかる法人税」というのが真の姿なのです)。
【ステップ3:ただし、零細業者は、消費税が免税となっている】
しかし、この「粗利の1/11」を、売り上げ1000万円以下の零細業者(個人事業主含む)は、今、払わなくてもいいのです!零細業者さんと言えば、小さな商店や個人タクシー、フリーランスのデザイナーやタレントさんやエンジニアさん、一人親方さん達です。で、こうした「免税制度」は、そんな小さな零細業者さん達に対する「保護」の主旨で、諸外国でも頻繁に採用されている一般な制度です。
【ステップ4:インボイス制度が導入されれば、『仕入れ分差し引くには、インボイスが必要だ!』となる】
以上が、インボイスとは何か、を理解するための基礎知識。
以上の話が国民には全く浸透していないので、「インボイスの恐怖」が全く国民に伝わっていない……というのが実態です。
ではいよいよ、インボイス制度とは何か、の説明に入りましょう。
インボイス制度、というのは、次の様な仕組みです。
1)業者は「ステップ2」で解説した通り、「下請けに支払った消費税を免税できる」のですが、その「免税」を受けるには、「下請け」さんから、「インボイス」(=何円、消費税を祓ったか、の書類)もらわないといけない。
2)で、「下請け」さんは、インボイスを発行するには、「インボイス業者」として、税務署に登録しなければならない。
3)「インボイス業者」に登録されれば、インボイスを発行した分の消費税を、税務署に納税しなければならなくなる。
ややこしいですが、この制度は要するに、「下請けにきっちりと、消費税納めさせる制度」なわけです。
そんなの「当たり前だよな」と思う方もいるかも知れませんが、これは当たり前でも何でも有りません。「ステップ3」で説明したように、零細の「下請け」さん達はこれまで消費税の納税義務がなかったのに、インボイスに登録したら、売り上げの1/11を納税する義務がでてしまうからです!
だから、インボイスの導入は、零細な下請けの「救済」措置として導入されていた、ステップ3に説明した「免税」措置が受けられなくなる事を意味しているのです!つまり、インボイスに登録すれば、彼らは今まで消費税の納税が0円だったのに、売り上げの1/11ものオカネを税務署に払うことになるのです!
つまり、インボイス導入は、事実上の「消費増税」を意味していることになる、第一の理由です。
【ステップ5:「業者」はインボイスに登録しない下請けからモノを買わなくなる】
じゃぁ、「零細業者はインボイス登録なんてしなきゃいいじゃないか」と思う方もいるでしょう。しかし、そうはいかないのです……。
「ステップ4」で説明したように、「業者」は、「下請けに払った消費税分は、税務署に納めなくて良い」ということにするためには、下請けさん達から「インボイス」をもらう必要があるのです。
だから、インボイスが導入されれば、あらゆる業者が、インボイスに登録しない零細企業からはモノを買わなくなって、インボイス登録業者からだけモノを買うようになってしまうのです!
そうなってしまえば、零細の下請けさん達は、売り上げを確保するために渋々、インボイスに登録せざるを得なくなってしまうのです。
もちろん、インボイスに登録しなくてもいい、という事にはなっているのですが、登録しなければ、客が逃げてしまう……という事になります。
つまり、零細の下請けさん達は、インボイス登録をして税務署に納税するようにするか、登録しないで客を減らすか……という最悪の選択を迫られることになるわけです。
インボイスは要するに、零細にとっては、百害あって一利無しの最悪の制度なのです。
その結果、零細企業の多くが業績悪化となり、倒産・廃業に追い込まれるケースが続発することは確実なのです。
【ステップ6:零細ではない「業者」の納税額も増えてしまう】
このように、下請けさん達はインボイスで大打撃、ですが、「業者」のみなさんもまた、インボイスのダメージから免れることは出来ません。
理由は二つ。
第一に、「インボイス登録していない下請けからモノを買うケース」は、どうしても出てきます。その場合、納税額の控除が受けられなくなり、税務署に払う納税額が増えてしまうのです。
しかも、インボイス登録している下請けからの購入金額も「値上げ」されるケースが続発することになるでしょう。そもそも、これまでは、零細の下請けさん達は納税義務ない、ということで、納税分を価格に上乗せしない価格を設定することが多くあったのです。ところが、これからはインボイス登録をすれば納税義務がでてくるわけですから、消費税分をしっかりと上乗せし、価格を引き上げる下請けさんも出てくるのです。
その結果、あらゆる「業者」に、「仕入れ価格の値上げダメージ」のリスクが生ずる事になるのです。
以上の二点故に、あらゆる業者にとって「減収」のリスクがもたらされるのです。
【ステップ7:その結果、消費者にとっての物価も上がる】
そうなれば、消費者が支払う価格そのものも値上がりする事になります。なんといっても、インボイスのせいで平均的な仕入れ価格が上がるのですから、その一部が価格転嫁することは必然なのです。つまり消費者にとっても、インボイスの導入は「消費増税」と同様の効果がもたらされる事になるのです。
……
以上、いろいろと細かいメカニズムについて説明しましたが、この問題は次の様に考えるとシンプルにご理解頂けるようになるのではないかと思います。
そもそも、売り上げ1000万円以下の零細業者には、消費税についての納税義務がなかったところ、インボイス制度が入れば、その分もガッツリ財務省が「巻き上げる」ことができるようになる。
で、そうした財務省が吸い上げる「増税分」を、零細業者、業者、そして消費者の三者でそれぞれに負担する、という事になるのであり、したがって、あらゆる業者と消費者全員が、インボイスによってダメージを受けるのです。
「零細業者」は、これまで払っていなかった10%分の消費税を払う事を通して、
「業者」は、これまで減免されていた零細業者からの消費税分を(納税、あるいは、零細業者への支払いいて)負担する事を通して、
「消費者」は、これまで価格に上乗せされていなかった、零細業者が納税する消費税分の一部を負担する事を通して……。
こうして、インボイスが来年10月に導入されると、零細企業の経営が苦しくなり、その多くが倒産・廃業に追い込まれると同時に、あらゆる業者さん達の利益が損なわれ、挙げ句に消費者が支払う物価もさらに高騰するということになるのです。
すなわち、インボイス制度とは、インボイスという分かりにくい言葉でコーティングされた、特殊な形態の「消費増税」なのです。
そんなことを、岸田内閣は今、一年後に導入しようと、着々と準備を進めているのです。
これで日本経済がさらに傷付くことになるのは必至……だから今、求められているのは、インボイス導入の「中止」を国会の力で実現して頂くか、それともインボイスの弊害を限りなくゼロに近づける対策を実現するかのいずれかなのです。
そうした、インボイス導入を通した「岸田内閣による日本国民への経済政策」をなんとか辞めさせるためにも、まずは、本記事で解説した、インボイス制度のヤバさを、しっかりとご理解下さい。』
「表現者クライテリオン編集長、京都大学教授 藤井聡」より、専門的な視点の解説を載せました。ちと長いですが理解しやすい。
『岸田内閣は今、来年(2023年)10月に消費税についての「インボイス」制度を導入すべく、準備を進めています。この件について、当方のメルマガ『クライテリオン編集長日記』https://foomii.com/00178にて解説差し上げたところ、大きな反響がありましたので、より多くの皆様にご理解頂くべく以下にご紹介差し上げます。是非、ご一読下さい!
インボイス、と言えば、一般の国民にしてみれば、聞き慣れない、何のことだか分からない制度ですから、特に賛成も反対もないという方が大半だと思います。が、一言でいって、これは単なる「消費増税」。結果、中小零細企業の多くが倒産し、大企業においても収益が減少し、一般の消費者にとってはさらに物価が高くなる……という最悪の帰結をもたらします。
このインボイスなる制度によってなぜそんなことになってしまうのか、を、順をおって分かり易く、簡潔に解説いたしたいと思います。
【ステップ1:売り上げの1/11を業者が納税している】
消費税を納めているのは、「業者」です。「売り上げ」には、私達消費者が支払った10%分の消費税が含まれていますから、それを年に一回、まとめてその消費税分を税務署に納めているのです。具体的に言うなら、消費税率が10%ですから、売り上げの1/11(=9.1%)という事になります。例えば、1100万円の売り上げがある商店は、100万円もの消費税を納めているのです!
【ステップ2:ただし、仕入れ分の消費税は、払わなくてもいい】
ただし、そんな「業者」さんも「仕入れ」の時には、仕入れ業者さん(以下「下請け」さん、と呼びましょう)に消費税を払って癒える事になります。だから、仕入れ分の消費税は「下請け」さんに既に払っている、ということで、その分は税務署に払わなくてもいい、という事になっています。つまり、仕入れ分の消費税は、業者さんは払わなくてもいいのです。別の言い方をすると、業者さんは、
「売り上げから仕入れ分を差し引いた利益(一般に粗利、といいます)」の1/11
を税務署に払っているのです(つまり、消費税というのはこう考えると「粗利にかかる法人税」というのが真の姿なのです)。
【ステップ3:ただし、零細業者は、消費税が免税となっている】
しかし、この「粗利の1/11」を、売り上げ1000万円以下の零細業者(個人事業主含む)は、今、払わなくてもいいのです!零細業者さんと言えば、小さな商店や個人タクシー、フリーランスのデザイナーやタレントさんやエンジニアさん、一人親方さん達です。で、こうした「免税制度」は、そんな小さな零細業者さん達に対する「保護」の主旨で、諸外国でも頻繁に採用されている一般な制度です。
【ステップ4:インボイス制度が導入されれば、『仕入れ分差し引くには、インボイスが必要だ!』となる】
以上が、インボイスとは何か、を理解するための基礎知識。
以上の話が国民には全く浸透していないので、「インボイスの恐怖」が全く国民に伝わっていない……というのが実態です。
ではいよいよ、インボイス制度とは何か、の説明に入りましょう。
インボイス制度、というのは、次の様な仕組みです。
1)業者は「ステップ2」で解説した通り、「下請けに支払った消費税を免税できる」のですが、その「免税」を受けるには、「下請け」さんから、「インボイス」(=何円、消費税を祓ったか、の書類)もらわないといけない。
2)で、「下請け」さんは、インボイスを発行するには、「インボイス業者」として、税務署に登録しなければならない。
3)「インボイス業者」に登録されれば、インボイスを発行した分の消費税を、税務署に納税しなければならなくなる。
ややこしいですが、この制度は要するに、「下請けにきっちりと、消費税納めさせる制度」なわけです。
そんなの「当たり前だよな」と思う方もいるかも知れませんが、これは当たり前でも何でも有りません。「ステップ3」で説明したように、零細の「下請け」さん達はこれまで消費税の納税義務がなかったのに、インボイスに登録したら、売り上げの1/11を納税する義務がでてしまうからです!
だから、インボイスの導入は、零細な下請けの「救済」措置として導入されていた、ステップ3に説明した「免税」措置が受けられなくなる事を意味しているのです!つまり、インボイスに登録すれば、彼らは今まで消費税の納税が0円だったのに、売り上げの1/11ものオカネを税務署に払うことになるのです!
つまり、インボイス導入は、事実上の「消費増税」を意味していることになる、第一の理由です。
【ステップ5:「業者」はインボイスに登録しない下請けからモノを買わなくなる】
じゃぁ、「零細業者はインボイス登録なんてしなきゃいいじゃないか」と思う方もいるでしょう。しかし、そうはいかないのです……。
「ステップ4」で説明したように、「業者」は、「下請けに払った消費税分は、税務署に納めなくて良い」ということにするためには、下請けさん達から「インボイス」をもらう必要があるのです。
だから、インボイスが導入されれば、あらゆる業者が、インボイスに登録しない零細企業からはモノを買わなくなって、インボイス登録業者からだけモノを買うようになってしまうのです!
そうなってしまえば、零細の下請けさん達は、売り上げを確保するために渋々、インボイスに登録せざるを得なくなってしまうのです。
もちろん、インボイスに登録しなくてもいい、という事にはなっているのですが、登録しなければ、客が逃げてしまう……という事になります。
つまり、零細の下請けさん達は、インボイス登録をして税務署に納税するようにするか、登録しないで客を減らすか……という最悪の選択を迫られることになるわけです。
インボイスは要するに、零細にとっては、百害あって一利無しの最悪の制度なのです。
その結果、零細企業の多くが業績悪化となり、倒産・廃業に追い込まれるケースが続発することは確実なのです。
【ステップ6:零細ではない「業者」の納税額も増えてしまう】
このように、下請けさん達はインボイスで大打撃、ですが、「業者」のみなさんもまた、インボイスのダメージから免れることは出来ません。
理由は二つ。
第一に、「インボイス登録していない下請けからモノを買うケース」は、どうしても出てきます。その場合、納税額の控除が受けられなくなり、税務署に払う納税額が増えてしまうのです。
しかも、インボイス登録している下請けからの購入金額も「値上げ」されるケースが続発することになるでしょう。そもそも、これまでは、零細の下請けさん達は納税義務ない、ということで、納税分を価格に上乗せしない価格を設定することが多くあったのです。ところが、これからはインボイス登録をすれば納税義務がでてくるわけですから、消費税分をしっかりと上乗せし、価格を引き上げる下請けさんも出てくるのです。
その結果、あらゆる「業者」に、「仕入れ価格の値上げダメージ」のリスクが生ずる事になるのです。
以上の二点故に、あらゆる業者にとって「減収」のリスクがもたらされるのです。
【ステップ7:その結果、消費者にとっての物価も上がる】
そうなれば、消費者が支払う価格そのものも値上がりする事になります。なんといっても、インボイスのせいで平均的な仕入れ価格が上がるのですから、その一部が価格転嫁することは必然なのです。つまり消費者にとっても、インボイスの導入は「消費増税」と同様の効果がもたらされる事になるのです。
……
以上、いろいろと細かいメカニズムについて説明しましたが、この問題は次の様に考えるとシンプルにご理解頂けるようになるのではないかと思います。
そもそも、売り上げ1000万円以下の零細業者には、消費税についての納税義務がなかったところ、インボイス制度が入れば、その分もガッツリ財務省が「巻き上げる」ことができるようになる。
で、そうした財務省が吸い上げる「増税分」を、零細業者、業者、そして消費者の三者でそれぞれに負担する、という事になるのであり、したがって、あらゆる業者と消費者全員が、インボイスによってダメージを受けるのです。
「零細業者」は、これまで払っていなかった10%分の消費税を払う事を通して、
「業者」は、これまで減免されていた零細業者からの消費税分を(納税、あるいは、零細業者への支払いいて)負担する事を通して、
「消費者」は、これまで価格に上乗せされていなかった、零細業者が納税する消費税分の一部を負担する事を通して……。
こうして、インボイスが来年10月に導入されると、零細企業の経営が苦しくなり、その多くが倒産・廃業に追い込まれると同時に、あらゆる業者さん達の利益が損なわれ、挙げ句に消費者が支払う物価もさらに高騰するということになるのです。
すなわち、インボイス制度とは、インボイスという分かりにくい言葉でコーティングされた、特殊な形態の「消費増税」なのです。
そんなことを、岸田内閣は今、一年後に導入しようと、着々と準備を進めているのです。
これで日本経済がさらに傷付くことになるのは必至……だから今、求められているのは、インボイス導入の「中止」を国会の力で実現して頂くか、それともインボイスの弊害を限りなくゼロに近づける対策を実現するかのいずれかなのです。
そうした、インボイス導入を通した「岸田内閣による日本国民への経済政策」をなんとか辞めさせるためにも、まずは、本記事で解説した、インボイス制度のヤバさを、しっかりとご理解下さい。』
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