DV加害者更生プログラム(既婚、未婚、問わず)

DVをしているのではないか、悩んでいる方に心理テスト、グループエンカウンター等を用いて更生の道をお手伝いします

卒業生Mさんからリエゾン活動総括

2024-07-26 11:37:21 | 【DV加害者更生教育プログラム】
2024年7月21日
Mさん
リエゾン活動の総括
◾️はじめに
この度、本誌出版にあたり中島先生よりお声掛け頂き、私のリエゾン活動の総括をしたいと思う。私の心境について、リエゾンに通う前、途中、後に分けて下記する。

◾️リエゾン前
 イライラに支配されていた。不機嫌を表情や態度に出すことで、人に気を遣わせたり、不快な思いをさせたり、言い争いになったり、ということが積み重なっていた。また、「自分は人から歓迎されていないのではないか?」いう不安を潜在的に抱え、心から人を信頼することができずにいた。
その結果、人間関係や場の雰囲気はどこかギスギスし、望まぬ方向に進んでいくことが多々あったと思う。過去の自分を振り返ると、閉塞感や劣等感を抱え、それらを打破するために妙な拘りや義務感を自分に押し付けていた。自分自身との適切な向き合い方が分からず、途方に暮れていた。
 
◾️リエゾン中
 2021年1月に(元)妻の提案もあり、リエゾンにお世話になることになった。当時は別居状態だったことから、(元)妻と子供との生活をいち早く再建したく、祈るような気持ちでとにかくがむしゃらに参加していた。結果的にいろいろあり、後に私から離婚調停を申し立てることになるのだが、自分を変えるきっかけ与えてくれた元妻には心から感謝している(皮肉ながら…)。

①インナーチェンジングセラピー
  カウンセラーと共に過去のトラウマやストーリーを想起し、一つ一つにけじめをつけた。いわゆる再決断であり、自分の「あり方」を整理できた。合計12回受けた当時のカウンセリング記録は今でもよく振り返るし、自分の精神的土台を固められたと思う。中島先生においては、私の心の扉を開け手助けしてくれたことに心から感謝している。

②グループワーク
  グループで自己開示を通じ、適切なコミュニケーションを継続学習した。良いこと悪いこと含めあらゆることを、整理し合い、伝え合い、認め合い、指摘し合った。人との会話には、感情・思考・本音を落ち着いて整理することが大切だと気付けた。そして、辛く長い離婚調停・裁判を乗り越えることができたのは、他ならぬグループの皆様の温かい支えと言葉があったからに他ならない。皆様も同様に辛い境遇であったにもかかわらず、私のことを自分のことのように共感してもらえたことに心から感謝している。

③座学
上記①②の前提となる交流分析を学んだ。コミュニケーションは日々実践する行為であるにもかかわらず、体系的に学習する機会には恵まれなかった。そのため、有益な情報(ストローク、自我状態、時間の構造化、心理ゲーム、禁止令、ドライバー、人生脚本など)に触れられたことは、非常に幸運であり自分の強みとなった。エリック・バーン氏、倉成宣佳氏にも心から感謝している(お会いしたことはないのですが…)。

◾️リエゾン後
 そうこうするうちに、晴れて2024年1月に離婚が成立した。通い始めた当初に思い描いた未来とはまるで違う現在ではあるが、とても納得感をもって受け止めている。自分にできることは全てやり切ったという自負があるからだ。背中を押してもらう形で同年2月にリエゾンを卒業することを決めた。
私自身の変化として、 「いい」と思えることが増えたと思う。楽観的になれた、ポジティブになれた、寛容になれたとも言える。例えば、
•存在していい。
•完璧でなくていい。
•心を開いていい。
•要求を伝えていい。
•感情をもっていい。
•正直でいい。
•自然でいい。
•大切にしていい。
•楽しんでいい。
•積み重ねていい。
•認めていい。
•健康でいい。
•成功していい。
•幸せでいい。
•悩んでいい。
•相談していい。
などなどだ。
自分自身を認めることで、自分自身に無理強いすることはなくなり(もちろん瞬間最大風速的にやる時はやるが)、他人に対しても落ち着いて接することができるようになったと感じる。とは言え、やはり日々の体調が変化するのと同様、精神状態を一定を保つことはやはり難しい。そのため、変化することこそを前提とし、いい時も悪い時もそこに至った自分はある意味自然であると認めるようにしている。その上で、自分の調子と相談しながら、できることを積み重ねていくことを心掛けている。

◾️その後
 今の自分に幸せを感じている。加えて、誰かと幸せになりたいと望んでいる。離婚成立後、幸いにも新たなパートナー(結婚はしていない)に出会うことができた。彼女は、同様に離婚経験があり辛い境遇にあった方だが、精神的に自立・自律した方だと思う。直向きに取り組む姿にとても惹かれているし、幸いにも私の過去に共感もしてくれる(本当に救われる気持ちだ…)。何より何気ない会話が楽しい。
私とパートナーとは他人同士であるが、それでも本音で伝え合い、話し合い、認め合い(そして時には割り切り)ができる関係を構築したいと思う。これは1日で成し遂げることではないし、決して完成形があるものでもない。日々塗り重ね続けて、結果的に木の年輪のように厚みを増せたら素敵だと思う。そのために、やはり私は自身と日々向き合い、時に落ち着き時に悩みながら、日々を積み重ね続けたい。
以上

リエゾンからのコメント

修復プログラムに来て、なぜ自分から離婚調停?と思われる方も多いでしょう。それは女性のDV加害者化が原因です。今まではDVの被害者でした。男性がプログラムに来て良くなっていくうちに何でも言うことを聞いてくれるようになる、聞かないと「全然直ってない」と言えば大方聞いてくれる。そうこうしているうちに、聞いてもらう内容が変化していきます。
それは支配です。
ひと言でいうと相手の自由を奪う、管理したくなるのですね。
これは女性側の問題点なのですが、加害者化していく女性はそのことに気付きません。
修復したのも束の間、彼のお小遣い管理、友人関係管理、時間の使い方管理とキリがなくなっていくのです。
DVをするお父さんから、DVをするお母さんに移行していきます。
この姿を見る子ども達は、やはり、夫婦は分かり合えない人たちだと学ぶでしょう。結婚なんて恐ろしくてしたくないと思うでしょう。
女性はこう言います。今まで子ども達のために我慢してきました。だから今度はあちらが我慢する番だと。でもね、子どもの為に我慢してきたのですよね。では再度子どもの為に、仕返しを我慢してみませんか?
ここからが本当に子どもの為にする我慢だと私は思います。
夫婦は一対の反射鏡とも言います。仕返しをしてしまうことは反射鏡そのものだということです。
リエゾンは対等で尊重しあう夫婦を目指します。決してどちらかが支配する関係性ではありません。
エリック・バーンの提唱した交流分析はOK、OKの関係性を目指します。
なお、仕返しとフラッシュバックの違いも学びます。かなり難しいことを身に付けて行きます。だから修復が叶うとOK、OKの夫婦になれるのです。
卒業したMさんは、本当によく頑張りました。人を大切にする意味を学びました。結婚の意味を学びました。
上記の総括を読むだけでもよくわかります。
自分を大切にできるようになることは、男女ともに大切なことだと私は思っています。無理をしないで生きられる、自分らしく生きられる。このことを多くの人に手に入れてほしいな、と願っています。

コメント
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