「10年後、更にその先考えて」60代男性Hさん
グループのメンバーの中には1年以上参加している方が多くいます。
参加期間が長くなっているのは、ほとんどの場合パートナーとの関係改善が進んでいないことが原因です。
それらのメンバーは程度の差こそあれ、自身の改善は進んでいます。
パートナーと連絡が取れない場合を除けば、パートナーにはその方の改善状況が分かっていると思います。
そのような状況でパートナーとの関係改善が進まないと、心が折れる時があります。
私も別居期間が1年に近づく頃は苦しい思いをしたから、落ち込む気持ちは分かります。
そのような時に、「パートナーとの関係改善を諦めよう。」という思いが湧いてきます。 仕事も忙しいし。 一人暮らしも慣れれば楽だし。 たまには子どもにも会えるし。
そのような誘惑が聞こえてきます。
でも、それで良いのでしょうか。
お子さんには、あなたを必要とするイベントがたくさん控えていると思います。
お子さんが小さければ、授業参観や運動会などがあります。 その先は、進学や進路の相談。 結婚式への親としての参加。
今は、パートナーが認めないだろうから無理! と思っていて諦めたとしたら、お子さんはどの様に思うでしょうか。
自分自身のことでも同様です。
リタイアを迎えれば仕事はなくなります。
その時に、ひとりになることを想像していますか。
その年齢になれば、今と同じ健康状態とは限りません。 その時に支え合えるパートナーが欲しいと思っても間に合うでしょうか。
パートナーとの関係改善が進まない現状では、何をしたら良いか分からなくなっているのは理解できます。
そのときは、10年後、更にその先を想像し、そこに至るために今何をすべきか考えてもらいたいと思っています。
状況が違うので、メンバーひとりひとりの答えは違って当然です。 自分の答えを見つけて、10年後の理想の自分に向かって進んで行ってもらいたいと思います。
リエゾンからのコメント
10年後、更にその先を想像する。
バトルを繰り広げている渦中の二人には難しい想像となります。
しかし、インナーチェンジングセラピーを行った後の彼らには容易に想像できることです。
なぜなら、インナーチェンジングセラピーを行うとA(adult)、つまり大人としての自分が強くなっていくからです。
交流分析で言うアダルト力は冷静な分析力であり、大人としての振る舞いができます。
なぜ私たちはパワーゲームを繰り広げているのでしょうか。
それはP(parent)とC(child)に振り回されているからです。 親、周りの大人からの偏った学び【P(parent)】と子ども時代の傷つき【C(child)】が強烈なほどバトルから抜け出せません。
ほとんどの人がその仕組みに気が付かず、パワーゲームの中に居続け、寿命を終えていくことでしょう。
でも抜け出せるその仕組みに気が付き、パワーゲームから降りる方法を選び、人生を見直した時、新たな道が見えてくるはずです。
インナーチェンジングセラピーをすることは、自分の未来を大切に思える事に繋がっています。
ただし、女性(被害者)には知っておいてもらいたいことがあります。
インナーチェンジングセラピーは今まで傷つかないように着けた鎧を外すことでもあります。
それを一つ一つ剝がしていくのです。
重い鎧が無くなって、男性はDVをしなくなります。
つまり生身になります。
妻との対等で尊重しあう関係のため、彼らは鎧を取り外したのです。
ところがいったん修復が叶って、つまり男性がDVをしなくなって対等な夫婦関係になれた後に、女性(被害者)からの仕返しが起きる場合があります。
仕返しをしたくなる心理は、「この穏やかな状態を迎えられたのは私(女性)の我慢と忍耐のおかげなのだ。 だから少しでも私の意のままにならないことは許せない。」というものです。
仕返しが男性に与えるダメージは以前と違うことを知っておきましょう。
皆さんが知っている彼らは、ちょっとやそっとでダメージを食らう相手ではなかったと思いますが、今彼らは無防備でそこに立っています。
特に妻の前では、本当に無防備です。社会で無防備ではありません。妻の前だけです。
その状態の人に仕返しをすることはどのようなダメージを与えてしまうのかを想像してもらいたいのです。
男性から離婚調停を起こすことになりかねません。
本当に残念でなりません。
だって、穏やかな夫婦関係を望んでいたはずなのですから。
仕返しと言ってもフラッシュバックと仕返しは区別がつきにくいですが明らかに違います。 フラッシュバックは男性の過去のDV行為に対しての怒りであるのに対し、仕返しは今ここ現在、及び未来に対する支配なのです。
インナーチェンジングセラピーをするという事は自分の未来を大切にし始める事です。
女性たちも10年先を見据えてぜひ夫婦関係修復に当たってほしいと切に願います。
リエゾンでは最近修復後に関係が壊れてしまうケースが見受けられます。
幅広い継続的なケアが必要なのだと感じます。
この予防も含め、2023年4月から「円満プログラム実施者育成コース」(DV加害者更生プログラムに応用可能)を始めることにしました。ただいまプログラム実施希望者を募集中です。応募条件はメンタルサポートのインナーチェンジングセラピーを出来るカウンセラーであることです。(受講中可)
リエゾンも10年先を見据えて活動していきたいと思います。