DV加害者更生プログラム(既婚、未婚、問わず)

DVをしているのではないか、悩んでいる方に心理テスト、グループエンカウンター等を用いて更生の道をお手伝いします

妻からの投稿2

2015-05-31 10:28:40 | 【DV加害者更生教育プログラム】

(40代Bさん)
私が二人の子供を連れて家を飛び出したのは、3年前の冬。当時3人目の子を妊娠中で、度重なる彼の暴力に「いつか私達が殺されるか、私が彼を殺す瞬間が来る」と感じていました。
そんな状態で一度は彼の実家に身を寄せるも「関わりたくない」と帰され、さらに私の両親は「ひどいことされたね…」と涙しつつも、「子供たちの為に離婚はダメ。家に帰りなさい。」と言いました。

彼の元には戻れない、でもこれから3人の子供を実家に頼らず私一人で育てていく自信はない…と思い悩み、彼が「加害者更正プログラム」に参加することを条件に、私は再び彼の元に戻る決意をしました。
彼が当時通っていた更正プログラムでは、
「加害者は、一生加害者として生き、被害者を問答無用でケアし続けなければならない」、
「被害者は、相手の絶対に変わらぬ加害グセに見切りをつける(離婚する)か、その加害グセを一緒に居続ける為に受け入れるかの選択しかない」
と教わりました。
彼はプログラムに通い出してから暴力は振るわなくなったものの、感情を表現する手段を制限され、非常に不安定になりました。一方の私も、暴力を振るわなくなった彼を前に、積年の怒りや悲しみが堰を切ったように溢れ出し、同じく不安定になりました。この頃にはお互い仕事や家事にも支障が出ており、生きることすらツライ状態だったと思います。

そんな中、ある方からリエゾンを紹介され、私たちはこちらで学ぶことになりました。最初に通っていたところでは「悪いのはすべて加害者で、被害者には何の落ち度もない」と習ってきましたし、私も完全にそう思い込むようになっていました。「自分の感情を制御出来ない彼が悪い」、「私が彼の暴力を許してきたのは子供の為で、実は不本意だった」と。

そんな状態の私に、リエゾンは個人でセッションに参加することを求めて来ました。正直「何で私が行かなきゃならないの?」と腹立たしい気持ちでした。そんな私に中島さんは「彼をここまでにしたのは、あなたの責任」、「あなたが子供の為にと思って今まで頑張ってきたことは、結局子供の為にも彼の為にもなっていない。もう頑張って我慢するのはやめなさい」と言いました。

正直全く理解ができず、混乱しました。「私が頑張らなきゃ家庭はとっくに壊れていたはず。その上なんで私が責められなきゃならないの!?」と本当にやりきれない悔しい気持ちでした。

一方の彼は、毎回のグループで穏やかに自分の内面と向き合い、だんだん気持ちが安定してきていました。再決断を行ったあとは特に顕著で、まるで今まで彼に憑いていた悪魔がスッとどこかに消えてしまったかのように、雰囲気が柔らかくなって来ました。

私はそんな彼の変化を懐疑的に見ていました。「いつかきっとまたキレて暴れるはず。こんな穏やかさが長く続くわけない」といつもビクビクしていました。そんなタイミングで中島さんは、今度は私にも再決断を勧めてきたのです。

実際に再決断の必要性もあまり感じられない状態で、私は言われるままに過去の自分と向き合いました。しかし、初日は全く何も出来なかった上に、その後数日寝込むことになりました。あまりの得体の知れないダメージに、私自身が恐怖を感じていました。「何がこんなに苦しいんだろう? 問題を抱えているのは彼ではなく私の方!?」と自問自答する日々でした。

そんな状態の私を受け止めてくれたのは、他でもなく彼でした。私は彼に再決断の混乱を怒りながらぶつけましたが、彼はそれを静かに受け止め「焦らなくて良いよ」と言いました。彼の冷静な対応で正気を取り戻した私は、今度は自宅で再決断を繰返し行いました。すると自然と得体の知れない苦しみの正体が見えて来るようになり、それが原因で彼の暴力から逃れられなくなっていた自分に気付いたのです。

彼が私と子供たちに暴力を振るったのは確かな事実で、それが一般社会での出来事なら、彼はすでに刑事罰に処されているところです。ただ私も「暴力する彼を何度でも許してしまうクセ」を持っていたのでした。私のそのクセが彼の暴力を助長し、私自身の心を腐らせ、子供たちに理不尽な我慢を強いてきたことに、私は今やっと気が付きました。

再決断をした彼が今後自分の感情を暴力で表現することは、おそらくないでしょう。
そして同じく、再決断をした私が今後彼のどんな小さな暴力をも許すことは絶対にしないでしょう。

今になってやっと、DV更正に夫婦揃って向かい合うことの理由が理解出来ました。当初の私と同じように、妻の方がリエゾンでの学習に後ろ向きだと、苦しい期間が長引くだけで、事態はなかなか好転しません。男性側の意欲や反省はもちろん大切ですが、夫婦仲の修繕を妻が本気で願うなら、妻も積極的に学習に関わったほうが良いと思います。正直私は、彼との仲が修繕出来てきたことはもちろん、自分自身の心の闇が解消されたことで、とても気持ちが軽く晴れやかになりました。リエゾンでの学習は、妻が一人の人間として自由に軽やかに生きる方法を教えてくれます。妻たちにはぜひ前向きに関わっていかれることをお勧めします



 リエゾンからのコメント 

 Bさん夫婦のように他のところから移ってくる方もいます。一様に皆さんびっくりなさっています。
どうしてかというと教えていることがたぶん180度違うからです。交流分析はどんな相手であってもOKOKの関係を持つことを目指していくからです。私たち妻を苦しめた夫にOKOKの関係を持つなんて、たぶん予想すらしたくないことかもしれません。でも、お互いに許しあわないと、本当の安心はやってこないのです。だから、妻たちがどんなに怒っていたとしても、OKOKを目指すことを勧めていきます。

グループミーティングでは、男性たちは
相手を本気で叱ったり、共感したり、応援したりします。
日常生活ではたぶん手にすることがない関係を味わいます。
まるで幼馴染みのような感覚です。ごくたまに休会する人がいます。
みんなは、何を思うかというと、自分のアドバイスは彼にとってどうだったのか、ということです。
それぞれがグループを体験していくことで、成長していくのです。
本気の練習は人を必ず成長させていきます。
ああ、この人はちょっと時間かかるかな?と思う人が「え!!」と思うほどに成長した時は
本当にうれしくなります。

記事を寄せてくれたBさんは、来た時にボロボロ泣きました。私が我慢しなくていいんだと言ったからです。
ほとんどの妻たちは自分さえ我慢すれば何とか好転するのではないかと、一縷の望みにすがりずっと我慢して頑張ってきたのです。
でも、それは事態を悪化させていきます。我慢すればするほど悪化していくのです。
我慢は抑圧と言い、押し込めた感情は必ず形を変えて出てくることになるからです。
幼児虐待に多くあらわれてきます。彼が静かになっていたら、彼への攻撃になります。
やられたら、やり返せ的なやり取りがお互いを支配していきます。
妻は疑いません。やり返して何が悪いの?と思う事でしょう。
やり返しからは負の生産しか生まれません。交流分析ではお互いのパワーゲームしかなく、
交流分析分析の最終目標である親交親密の関係には程遠く、心理ゲームの域で夫婦を終えることとなります。
心理ゲームはパワーゲームです。どちらが優位に立つかを永遠争って過ごすのです。加害者と被害者に分かれて終わる夫婦もいるでしょう。晩年、積年の恨みを晴らしてやると虎視眈々と相手の隙を狙っている妻もいるでしょう。でも、それはせっかくの人生なのにその人生は悲しいのではないでしょうか。
何を私は望んでいるかを自分は掴めていますか?私の本当の望みはなんですか?
それは復讐ではないはずです。何とかうまくやろうと頑張ったはずです。それがことごとく打ち砕かれ、
絶望を感じていくうちに、恨みが募って、許せなくなり、やり返したい気持ちをため込んでいき、
気が付くと、本当に望んでいた、夫婦仲良くが夢と消え、私が馬鹿だったと後悔し、相手をどうやって痛めつけてやろうか、そのことが意識から消えなくなっていくのです。我慢はダメです。ため込んではダメです。
復讐はラケット感情と言い、相手を納得させるために使ってきた感情なんです。嘘の感情です。
交流分析では、この感情は本当かどうかを確認します。
冒頭の彼女はラケットから本当の感情に気が付きました。
我慢をするとラケット感情だらけになります。ラケット感情は問題解決から遠ざかるという特徴を持ちます。自分が望んでいることと確実に遠ざかるのです。彼女はなんとすごいことに再決断を自分でできるようになったのです。本物の感情が区別できるようになります。

このご夫婦は、お互いを「なんであなたは変わったの?」と言い合っているそうです。
「再決断をした私が彼のどんな暴力も絶対許さない」の一文は涙が出てきます。
お互いの知らなかった良さを本当の目で見えてきたとき、ガラガラ周りの景色が変わります。
それは味わったものしかわからない、何とも表現のしようのない感覚だと記しておきます。

 (再決断療法、ラケット感情については別記事にて後日説明いたします。)



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