DV加害者更生プログラム(既婚、未婚、問わず)

DVをしているのではないか、悩んでいる方に心理テスト、グループエンカウンター等を用いて更生の道をお手伝いします

妻からの投稿3

2015-06-06 00:41:50 | 【DV加害者更生教育プログラム】
 (30代女性Cさん)

 リエゾンに通い始めたきっかけは、夫からの4度目の暴力の時でした。
結婚当初に2度、その後、6年間は何もなく過ごしてきましたが、
ある日、言い争いから3度目の暴力に発展し、その1年後に4度目の
暴力がありました。
10年間で4回。
回数が少ないから良いという話ではありませんが、
夫の場合、日常的に暴力を振るう訳では無かったために、
私もなんとなくやり過ごして来てしまいました。

この「やり過ごして」きた事がそもそもの問題だったのだと
思います。

暴力がある無いに係わらず、私達の結婚生活は上手く行っていたとは言えませんでした。
一見、仲の良い夫婦なのですが、
夫とは楽しい話しか出来ないのです。
夫には私ときちんと向き合わない、という問題がありました。

将来の事や子供を作るのかなど、夫婦としての会話が全くできず、
自分にとって都合が悪い話からは逃げ続ける人でした。
家で話を切り出すと、「いつも突然だ」と怒り、話でもしながら
外で食事をしようと出かけても、「今日は話したくない。
せっかく食事に来たのに」と不機嫌になり、面と向かって話ができないのなら、
と手紙を書いても返事が来たことはありませんでした。
また、暴力を振るったくせに可笑しいかもしれませんが、
むしろ夫は喧嘩を避けていました。
それが私にはストレスでした。
夫の本心が解からないからです。お互い、本音でぶつかり合う機会が
持てないのです。
暴力の問題よりも、むしろこちらの方が私にとっては解決したい
長年の問題でした。

「この人はいつになったら大人になれるんだろう。
いつになったら、ちゃんと夫婦になれるんだろう」
と、思い続けた10年でした。
いつしか私は夫に絶望し、諦め、離婚も常に考えるようになり、
自分自身の人生も否定的に考えるようになっていました。

そんな中で起きた4度目の暴力でした。
過去最大の暴力で、精神的にも、もうこれ以上やり過ごすことはできない
ところまできていました。

この時は別居を決めていたのですが、私自身で色々調べリエゾンちょうふにたどり着き、 更生プログラムを受ける条件で同居を継続することになったのですが、初めは夫本人は嫌々行っていましたし、グループワークや交流分析に懐疑的でした。 なかなか変化が見られないなか、私も、この先ずっと夫の様子見に時間とお金を
掛けてばかりいられないと、気持ちが焦ることもありました。
しかし、リエゾンに通い半年が過ぎ、交流分析の他に夫の個人面談で
再決断療法を行うようになった頃から、夫は変わってきました。

会での話も自分からするようになり、
以前より、会話らしい会話もできるようになってきたと思います。
感情的にならずに思っていることを伝える、
相手の話にもきちんと耳をかす、なにより、私とちゃんと話をしようと
いう姿勢が見えるようになってきました。
少しづつですが、本音で話していると思えるようにもなってきました。

そうは言っても、お互いまだ本音を言い合う練習段階で、
私も夫との会話の際に言葉を選んでいることもあり、正直、
暴力を受けたことがフラッシュバックすることもあります。
けれど、半年以上、一度も休まずに会に参加している夫の姿を見て、
私自身も変わらなくてはいけないし、被害者意識を捨て、
夫に歩み寄る気持ちを持たなくてはと思うようにもなってきました。
こう思えるようになってきたのも、私自身も個人面談を続け、再決断を行うなかで、 実家で受けたトラウマや汚染に気付き克服してきたことで、自分自身を取り戻して きたからだと思います。
きっかけは暴力という最悪な物でしたが、交流分析を学ぶ機会が得られ
本当に良かったと思います。
望んでいた、「良いことも悪いことも本音で言い合える関係」を
二人で目指せるようになったからです。

「変わりたい」と自分から思い行動すれば変われると思います。
夫は少し時間は掛りましたが、自分で「気づき」始めた頃から、
変化が現れました。

DVを受けていると聞くと、皆、一様に「別れるべき」、
「暴力は治らない」と言います。そう言われて諦めていた人達にも、
交流分析を学ぶ機会が得らる事を切に願います。



リエゾンからのコメント

 このご夫婦が来た時の第一印象が、「まあ、なんて仲の良い夫婦なんでしょう。」でした。
楽しそうに仲良く話す二人の様子から、暴力があるとはまるで感じられませんでした。
それは、Cさんが我慢して合わせてあげていたにすぎないことにすぐ気が付きました。

大事な話ができない、ちゃんと話そうとすると、逃げる、怒り出す、向き合おうとしない。
どのくらいの妻たちがこの悩みを抱えて過ごしているでしょう。
彼らはなぜ、向き合わないのか?それは、面倒くさいからです。彼らはこう思っています。
いいじゃない、このままでも。なんで波風立てるわけ?難しい話はいやだなぁ。
仕事から帰ってきて、疲れているんだよね。早く休ませてよ。
家族で出かけたときにそういう話はなしだよね。この日をつまらなくしたいの?
何にも起きなければ楽しい我が家だから。(とっくに事は起きているのですが気づいていません)

妻たちもため息をつきながら、ちゃんと向き合いたい、大事な話がしたい、と思う私はいけないのか?だんだんわからなくなっていくのです。周りに聞いても「夫婦なんてそんなもんだよ。」ととっくにあきらめた年配の方たちはそうアドバイスします。はたしてそうでしょうか?
交流分析の最終目標は、他者と親交親密な関係を持てることです。人生せっかく生まれてきたからには、あきらめやそんなものだが答えになってほしくないと私は思います。
リエゾンでは、少しずつ、親交親密な関係を持てる夫婦が増えてきました。
彼らは一様にこう言います。
「すごく楽になった。」そう、みんなは知らないのです。本音で話し合える関係を夫婦で持てるようになった時、今までのツッパリはなんだったのかと。何にエネルギーを使って、疲れていたのかと。本音の関係は大変楽なんだと。

ほとんどのご夫婦は交流分析で言うところの「心理ゲーム」の関係性で夫婦の形態を終えるでしょう。
どちらかが先に亡くなるか、若しくは別居、離婚などです。かなり心には恨みが貯まっている状態です。
Cさんも当初、いつ死んでも構わない。とまで言っていました。人生に希望が持てない、と。
もったいないなぁ、心理ゲームで終わってしまうのは、その先が、親交親密な関係性があるのに、と思います。
妻と向き合うことは面倒なことではありません。向き合わないから、ギャンギャン言うのです。
Cさん夫婦は話し合いを持てるようになりました。
彼はグループで時折、上を向いて涙をこらえている時が見受けられます。
感情を感じられるようになって、よかったなぁと思います。感じられるようになれば、Cさんの苦しかった長年の叫びも感じることができるでしょう。彼はもう逃げることはないでしょう。
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