紺青小鉢

ミニマムな和の空間で、日本の伝統文化を再発見

特別展「長谷川等伯」

2010年03月02日 | 美術館・博物館
開催期間が25日間という超短期展示。『松林図屏風』を描いた桃山時代を代表する絵師。没後400年という節目で開催される特別展「長谷川等伯」に行ってきました。長谷川等伯というと『松林図屏風』のほか数点の屏風絵しか知りませんで...今回の特別展では、ほとんどの作品が一同に集結するとのことです。
たいていの展覧会ならば前半の展示は軽くスルーして、次々と見てまわるのが多いのですが、今回は初めからじ~っと鑑賞。等伯(その頃は信春と名乗る)の細部にまで描き込まれた仏画にはビックリ。展示室に連なる人々の歩みはゆったりとして、水墨の山水図や人物画の作品を繁々と眺めています。『寒江渡舟図』という作品、寂れた水墨画と掛軸の表装の色合いの絶妙なバランスがすばらしく、ひとり立ち止まってまじまじと見入ってしまいました。
薄暗い展示室に浮かび上がる屏風絵。そこは抑え気味の落ち着いた黄金色に満ちていました。『花鳥図屏風』、『楓図壁貼付』、『松に秋草図屏風』など、絢爛の桃山時代を印象付ける作品が展示されています。
その後、等伯は墨を中心とした作品を描くようになり...そしていよいよ水墨画の最高峰と称される『松林図屏風』の展示室へ足を踏み入れます。濃墨で力強く描かれた松。背後の松は淡墨で描かれ、清冷とした空気さえ漂ってくるかのようです。そして今回初めて見たのが『月夜松林図屏風』という作品。松林の後ろに満月が浮かび上がり、月明かりに照らされた松林図となっているものです。これもなかなか良い雰囲気が出ていました。
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